PIAFUL♪

ピアノを愛する私の・・・独断と偏見による
その時々の旬な話題?を気紛れに~♪

セイジ

2008-08-19 | book
「人間が生きる意味」 を深く描いた
太宰 治賞作家の原点とも言うべき話題作・・・?

『セイジ』 著者 : 辻内 智貴(単行本

正直言うと、取っつき悪かった。この作家さんとは相性良くないな~って感じた。
正直言うと、最後まで その感は拭えなかった。ストーリー的にも。でもね・・・
“セイジ” という青年の生き方、考え方(おそらく著者の代弁であるのだろう)には、
深く共感するものがあった。

ある意味 鈍感だからやっていける人間だからこそ、社会というものが成り立つ。
でも、ものごとが みえすぎる、わかりすぎる、感じすぎてしまう人間だっている。

純粋すぎて不器用。だからこそ、鈍感な者には見えないキレイなもの、ウツクシイ
ものが見えてくる。“陸の魚”・・・この人間社会で上手くやっていけない性質。

“人間は一体何の為に生きてるんでしょうね?” そんな問いかけに・・・
“人間はよ、多かれ少なかれ、カナシイ思いをする為に生きてるんじゃねえのか”
“カナシクなるほどに、色んな事に気がつき、色んな事が見えてくる。
もしかしたら、人間は、星を目にするために生まれてきたんじゃないのかな”・・・

道端の石ころ一個にだって優しくて、敏感で、傷つきやすくて、他人の哀しみも
自分のものとするような、そして人と交わる事に苦しみ、苦しみながら愛し・・・。
そんな “セイジ” に魅かれる。

大切な人が苦しんでいる時・・・
言葉の無力さ、観念の心細さ、学問というものの頼りなさを感じる・・・。

取っつき悪かったこの本の “良さ”・・・上手く伝えられません。が、
“生きる” ということ・・・見つめ直すキッカケになるかもしれない本でした。