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オリンピック招致失敗の原因

2009-10-06 14:16:56 | 坂本慎一
日本時間10月3日未明、国際オリンピック委員会総会で、2016年の夏季オリンピック大会がブラジルのリオデジャネイロで開催されると決定された。
招致活動を進めていた東京は落選が決定し、日本の夏季オリンピック招致は、名古屋、大阪に続いて3連敗となった。

今回の招致活動において、当初は「1964年の遺産を未来に引き継ぐ」というコンセプトが表明されていた。
これは「なぜ東京で2回目の開催をするのか」という疑問に答えるためには最も重要で、国内外の支持を得る上でも欠かせない理念であった。
しかし、いつの間にか私たち外野の人間には、環境重視のオリンピックという主張しか見えなくなっていて、コンセプトの「ブレ」があったように思う。
「遺産の相続」という点が強化できなかったことについて、私には思い当たるところがあった。

昨年の秋、私は日本体育協会資料室に何度かお邪魔をして、1940年に開催が予定されていた「幻の東京オリンピック」について調査した。
その時に驚いたのは、先行研究があまりにも少なかったことである。
日中戦争の開始によって返上となったこの大会について、その時点で本格的に調べていた人は、多く見積もってもおそらく5人はいなかったであろう。

1964年の東京オリンピックも、公式の「正史」はあるが、その背後には関係者の間でのみ語り継がれる「外史」があり、「正・外合わせ含めた歴史」は未だ研究が不足している。
経済思想史を専門とする私にとって、体育史は専門外であるものの、あまりにもこの分野は層が薄いと感じている。

リオの勝因は何と言っても、南米大陸初の開催という点であろう。
言いかえれば、オリンピック開催の「歴史がない」ということがプラスに評価されたのである。
日本は今後も招致活動を行うならば、開催の「歴史がある」ことをプラスに変えてゆかなければならない。
東京の落選を受けて、オリンピック開催に関する体育史研究は、もっと充実させるべきだと強く感じた次第である。

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