お母さんが亡くなってから8年以上が過ぎた。
そうして、日々を過ごすうち、自分のことも理解できるようになってきた。
今、やっと気付くことができたけど、わたしの与えられた環境の中では、今の生活が、最大限の幸せだと思う。小さい頃からお母さんが、心の病のこと、薬をのめば普通の暮らしが送れることなどを教えてくれた。
思春期高校を出てから進学した先で、つらいことが続き、社会人になったあとの失恋でとうとう発病、でも自分では1年間ずっと不眠で、2、3時間しか寝られないこととか、体調が物すごく悪いのに自分に何が起きているのか、気付けなかった。お母さんと妹が上京してくれて病院に行った。
その病院も妹が何軒か電話してくれていいクリニックを見つけてくれて、奇跡的に名医にかかることができた。
関西に引っ越してからは、お母さんとの関係の修復ができ、東京でひとり暮らしでつらすぎた20代よりはるかに元気になり、人生で、30代半ばから、お母さんが生きていてくれた間が一番幸せだった。
今もお母さんの教えてくれたことを守りながら過ごして、仕事はつらいけど、お母さんがいなかったら、もっとひどい人生、何もわからなくなって野垂れ死にとか、もう生きていられないか、病院送りだったと思う。今まで何もかも思い通りにいかないのをお母さんのせいにしてきたけど、今の状況がわたしにとっては最大限の幸福なんだと実感できた。
このことに気付くまでに時間がかかった。
いろいろなことがあった。普通の人生ではなかったけど、残りも頑張って生きようと思う。出産は命懸けなこともわかり、お母さんが産んでくれたことに本当に感謝の気持ちが心から持てる。
まだ、希望のある時に生まれた初めての子どもだったから、お母さんは本当にわたしが生まれた瞬間だけは幸せに思ったのかもしれない。望まれて生まれてきた。
この先、どうなるかわからないけど、希望を捨てずに頑張ろうと思う。