八国山だより

ノーサイレントマジョリティ!ごまめの歯ぎしりといえど、おかしいと思うことはおかしいと自分の意思を発信しなければ

先進国中でもワースト3(2004年)の貧困率なのに逆にさらに生活保護を受けにくくする日本政府

2013-05-14 17:24:39 | 政治


 兄弟間や子が親に対する生活扶助義務の取扱いについて実務面では、厚生事務次官通「達扶養義務の取り扱い」によると「…民法上の扶養義務は、法律上当然の義務ではあるが、これを直ちに法律に訴えて法律上の問題として取り運ぶことは扶養義務の性質上なるべく避けることが望ましいので、努めて当事者間における話合いによって解決し、円満裡に履行させることを本旨として取り扱うこと」と指導されています。

 ということは、家族間での助け合いを前提とするものの、あくまでも精神的なフォロー(電話をかけて安否を確認するだとか、声を聞いてあげるだとか)に限定され、仕送り等の金銭的な面倒まではみる必要はないという考え方ですね。(ブログ「介護の再生」ー「助け合える家族がいれば、生活保護を受けられないのでは
?」)

 それにもかかわらず片山さつき議員は、その権力を利用して弱い立場にある一芸人河本準一の母親の生活保護受給を不当にバッシングした。元夫舛添要一氏の姉が生活保護を受給していた事実にはスルーしておいてである。

 その煽りが今回の政府の決定につながっているのだろうが、日本は2004年当時でさえ先進国中でもワースト3の貧困率である(橘木俊詔『格差社会』岩波新書)。また生活保護は以下の記事が示すように劣悪である。



第65回「日本の奇妙な生活保護制度」原田泰氏 大和総研 常務理事チーフエコノミスト

日本の生活保護制度には、国際的に見て奇妙な特徴がある。…

日本の公的扶助支出額の国内総生産(GDP)に占める比率を見ると、わずか0.3%であり、
経済協力開発機構(OECD)諸国の平均(2.4%)の約8分の1と極めて小さい。
当然のことながら、公的扶助を受けている人々(子供を含む)の総人口に占める比率も0.7%と低く、
OECD諸国の平均(7.4%)の約10分の1にすぎない。
イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの公的扶助総額の対GDP比は、
それぞれ4.1%、2.0%、2.0%、3.7%であり、日本は前述のように0.3%である。
また、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの公的扶助を与えられている人の総人口に占める比率は、
それぞれ15.9%、2.3%、5.2%、10.0%であり、日本は前述のように0.7%である(以上の数値は前掲埋橋論文による)。
要するに、日本の1人当たり公的扶助給付額は主要先進国の中で際立って高いが、
公的扶助を実際に与えられている人は少ないということになる。

これは極めて奇妙な制度である。
日本に貧しい人が少ないわけではない。
同志社大学の橘木俊詔教授は、生活保護水準以下の所得で暮らしている人は人口の13%と推計している(「格差社会」岩波新書、18頁)。
ところが、実際に生活保護を受けている人はわずか0.7%である。
私は、日本も、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカのように給付水準を引き下げて、
生活保護を受ける人の比率を高くすべきだと思う。

これまで日本で奇妙な制度が続いてきたのは、おそらく、高い給付水準のままで実際の支給要件を厳しくし、
保護を受ける人の比率を下げていた方が、給付総額が減るという財政的要請があるからだと思う。
しかし、今後、65歳以上の無年金者が続出する中では、現在の制度は維持できないだろう。
65歳以上の人は、支給要件の1つである「働けないこと」を容易に証明できるからだ。日本独自の制度をやめて、
グローバルスタンダードに合わせるしかないのではないか。
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/harada.cfm?i=20071101c3000c3&p=2

総人口に占める生活保護率(=公的扶助受給者率)は、
 イギリス   15.9%
フランス    2.3%
ドイツ      5.2%
アメリカ    10.0%
日本      0.7%
と、日本が際だって低い。そして、その数少ない受給者の給付水準は高い。
「私は、日本も、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカのように給付水準を引き下げて、
生活保護を受ける人の比率を高くすべきだと思う」(原田泰氏)

■生活保護制度の改正を!/“負の所得税”(≒擬似ベーシックインカム)化が必要
生活保護制度を誰もが利用できるよう改正する必要があると思います。
現行の「最後の砦」であるはずの生活保護制度は、給付を受ける際に極めて厳しい条件が課せられており、
また、“水際作戦”のような悪質な違法行為が横行していることもあり、日本の捕捉率は9~20%に過ぎません。
( http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/booklet/data/seikatuhogohou_kaisei_youkou_leaflet.pdf )
ちなみに、イギリスは87%、ドイツは85~90%です。
これは、先進国であるはずの日本が、他の先進国に比べて、いかに貧困層を見殺しにしているかの証左です。

この欠陥だらけの現行制度を、何らかの理由でフルタイムで働けなくなり、一時的に稼得所得のみで生活ができなくなった人が、
フルタイムで働けるようになるまで利用できる「入りやすく出やすい」制度へと変える必要があります。
そのためには、全額国庫負担とした上で、以下のように改正する必要があります。
(1)水際作戦を不可能にする制度的保障
(2)保護基準の決定に対する民主的コントロール
(3)権利性の明確化
(4)ワーキングプアに対する積極的な支援の実現

■生活保護の捕捉率
ドイツで稼動年齢層に対応する「失業手当Ⅱ」の捕捉率は85~90%、
イギリスの「所得補助」の捕捉率は87%と言われています。
日本については、上記各研究のうち最も低い数値は9%、最も高い数値でも、19.7%にすぎません。
困窮者のうち、8割以上の者が放置されているのが現状です。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/booklet/data/seikatuhogohou_kaisei_youkou_leaflet.pdf

■生活保護法改正要綱案 生活保護法改正要綱案
http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/booklet/data/seikatuhogohou_kaisei_youkou_leaflet.pdf

■日弁連・生活保護法改正要綱案
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/081118-4.html
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/081118_3.pdf

■「年越し派遣村」後の生活保護、入りやすく出やすい合理的な制度設計を
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/e7af0fe01d0f796f45f3ee108b447500/page/1/








生活保護法改正案 議論なく申請厳格化
政府が自民党に十日に提示した生活保護法改正案に、保護の申請を厳格化する項目が盛り込まれていたことが十三日分かった。これまでの政府や与党内の議論ではほとんど取り上げられていない内容で、関係者や専門家、受給者の支援団体などから「本当に生活保護を必要とする人が利用できなくなる」「制度の根幹に関わる見直しをこっそり隠すやり方は問題だ」と批判が出ている。政府は十七日にも閣議決定して国会に提出する方針だが、野党が反発するのは必至だ。 (上坂修子)

 改正案は申請時、本人の資産や収入、扶養義務者の扶養状況を記した申請書を提出し、必要な書類を添付しなければならないと新たな規定を設けた。現行は施行規則で住所、氏名、保護が必要な理由を書いた書面を提出すればよく、資産や収入までは入っていない。判例で、口頭での申請も認められている。申請の意思を明確に示すことが難しい人もいるからだ。

 保護の開始時、扶養義務者に書面で「省令で定める事項」を通知することも盛り込まれた。

 生活保護受給者と過去に受けていた人の扶養義務者の収入や資産の状況について官庁や銀行、勤務先、日本年金機構などに報告を求め、調査することができるとの項目も入った。

 制度見直しを議論してきた厚生労働相の諮問機関・社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の宮本太郎部会長(中央大教授)は「部会では議論されなかった。(部会がまとめた)最終報告にも入っていない。保護が必要な人への心理的な脅威になることは避けるべきだ」と指摘した。

 生活保護問題対策全国会議の事務局長を務める小久保哲郎弁護士は「これまで違法とされてきた(自治体が窓口で申請を受け付けない)水際作戦を法制化するもので、多くの保護が必要な人を窓口で追い返す効果がある」と批判した。

 厚労省社会・援護局保護課は取材に「政府としては与党に法案審査をしていただいている段階なので、現時点での個別の条文についてのコメントは差し控える」と答えた。

(東京新聞)


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