腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

キャサリン(PS3版)

2018年08月28日 01時54分18秒 | PS3ゲーム感想文
【ハード】PS3
【メーカー】アトラス
【発売日】2011/02/17(元版)
【定価】3024円(ベストセレクション版)
【購入価格】1041円(新品)
【プレー時間】24時間

「ゲームは子供のやるもの」……というのは、社会全般に今も根強く残る人気偏見(?)の一つである。
もちろんこれは「=そんなものを大人がやっているのはおかしい」と繋がる。寧ろ言いたいことはこちらであろう。
「子供のやること」なんだから、成長に伴いそれを卒業して当然。なのに続けているなんて異様で異常というわけだ。
まぁ確かに、積み木や虫取り、仮面ライダーやプリキュア等は、普通誰もが通って卒業していく。オタ視点は別として。
ゲームも登場時点ではそれらと同様の扱いだった。実際、日本にゲームを定着させたファミコンは、「子供のもの」だった。
……現実には大人も魅了したと思うのだが……今では分からん。とにかく、ファミコンが子供間で大ブームになったのは事実。
そしてテレビゲームは急速に世に広まると共に、「部屋に籠もる」「目が悪くなる」といった悪評も同時に定着していった。
それらもまた「子供のやるもの」に絡みつき、あれから30年以上が経ったが、ゲーム悪玉論は今も残っている。大したもんだ。
俺としては別に言うことはない。「ゲームは素晴らしいもの」なんて反論をする気もない。俺は俺でやるだけだ。
もうそんな次元はとうに過ぎちまったからね。仮にゲームが悪でも、死に至る病であっても、俺は続けるしかないのだ。はぁ。

で。いきなり矛盾したことを言うようだが……「ゲームは子供のやるもの」の偏見は、今は大分薄らいでいると思う。
薄らぐも何も、今は大人もゲームやってるからだ。20代30代はもちろん、40代50代のプレーヤーも珍しくも何ともない。
ゲームは一過性のファミコンブームで終わらず、定着した。定着したのだから、やがて子供だけのものでなくなるのも当然。
また単純に「かつての子供がそのままゲームを続けて大人になった」ケースもある。俺は完全にこれだ。フフン。威張るな。
最早ゲームは子供だけのものではない。近年は寧ろ若年層のゲーム離れが懸念されるほどだ。ガキよもっとゲームやってよ。

んで、市場がそうなってきたんだから、当然ファミコン時代とは違って「大人向けゲーム」もバンバン出るようになった。
マリオやドラクエも悪くはないが、それらはやはり子供向け、よく言っても万人向けだ。大人は「大人のゲーム」をやりたい。
ゲーム機の性能が進歩し、昔とは比較にならないほど綺麗な絵を出せるようになったことも、この流れに好都合だった。
今や実写と遜色のないキャラを動かし喋らせることが出来る。「映画的ゲーム」も普通にある。隔世の感とはこのことだ。
客層という意味でも表現力という意味でも、今やゲームは「何でも出せる」時代だ。本当に有り難いことである。
……後は、「コントローラーと画面」が生き残ることを願う。スマホ一択の時代、それだけは、それだけは勘弁っ……っ!!


「キャサリン」である。アトラスのペルソナチームが製作した完全オリジナルタイトルだ。
そして今作は、露骨なまでに「大人向け」を標榜していた。それもバイオレンスではなく「アダルト」な方面で。
「大人向け」の一番分かりやすい区分けは「表現の過激さ」であり、それは概ねバイオレンスとアダルトに集約される。
このうちバイオレンス系は何故か世間の許容度が高いので、年齢区分はキッチリされつつ、多くのタイトルが発売されている。
一方アダルトはバイオレンスに比べて非常に厳しく、単純な話、生命誕生の営み描写は不可能。日本でも海外でも、だ。
まぁ人間の一大欲求だけにそれを扱ったゲームは多いが、どれも「お色気」止まりだ。せめて乳首出せぇや畜生め。
そしてお色気ゲームは子供……いや青少年向けであって、大人向けとは言い難い。いや俺も好きだけどね。今後もずっと。
「ガチ大人向けのアダルト(な雰囲気の)家庭用ゲーム」となると、これは非常に非常に珍しい存在なのである。
だから今作は印象的だった。「ペルソナという人気シリーズを作ったチームが、こんなニッチ狙いをするんか」と。
非常に珍しい狙いだけに、当たれば大きい。さてどうなんだろう。「アダルト(×エロ)ゲーム」は、売れるものなのか?
業界注目の一本が発売された。PS3・XBOX360のマルチである。今から7年前。もうそんなに経つんだな。

……で、俺は華麗にスルー。いやー、だってこれ、俺がやれるようなゲームじゃないだろ。「大人向け」だよ???
俺を誰だと思ってんだ。いい年してゲームゲーム、マリオもドラクエも寧ろ喜んでやるような奴だよ? 分かってんの??
はぁ。言ってて虚しい、虚しすぎる。アダルト? まぁそら年齢だけは。あと働いてゼー金は納めてますが。額はお察し。
これは俺に限らなかったようで、今作は結局あまり「受けた」ようには感じられなかった。具体的な販売本数は知らんが。
ペルソナチームの威光も響かず、ひっそり終わっていったように思う。続編やメディアミックスもなかったしな。
が。ある時、新品1000円を発見。ちなみに廉価版だ。廉価版が値崩れってかなり悲惨だが、それは別にいい。安けりゃOK。
てわけで購入、数年寝かし、何となく始めた。買った以上アダルト云々はあんま関係ない。俺は在るゲームをやる。
恐らくかなり独自色が強いゲームだろう。それでいい。「知らない世界」を楽しませて下さい。ファンタジーを。はぁ。


ゲーム開始。で。ハッキリ言って、↑で延々述べたアダルトなゲーム云々は、「今作の本質」とは殆ど無関係である。
もちろんその要素もあるが、そんなの言わばマリオ本編の物語部分程度。……言い過ぎか? でも個人的にはそんな感じ。
今作の本質は、見た目や設定ではなく「ゲーム部分」にあった。今作は文字読み中心のアドベンチャー系ではなかったのだ。
ずばり、パズル。「主人公が毎晩悪夢を見る」「その悪夢から目覚めるために足場を登って上を目指す」というものだ。
ステージにはブロックが積み上がっていて、それを引いたり押したりして足場を作り、登っていく。頂上がゴール。
俺の知ってるゲームだと「引ク押ス」「引ク落ツ」に近い。が! 今作にはそれらと決定的に違うシステムがある。
「フチに掴まれる」のだ。ブロックを押し引きし登るというデジタルな要素だけでなく、ある種アナログな行動が可能なのだ。
これにより今作は高度で奥深いパズルゲームとなった。ブロックのフチに掴まり移動出来るから、考えることが非常に多い。
この手のパズル好きなら大喜びするくらい「凝った」システムである。一筋縄ではいかず、真剣に取り組む必要がある。
……で、その結果として、今作は。めっっっっっっちゃ難しいゲームとなってしまった。そらもうビックリするほどに。

実は今作についての逸話は、アダルト云々以外でも耳にしていた。「発売後に低難度モード搭載パッチが配信された」と。
今作の難度は易普難の三段階あるのだが、発売当時、イージーでも「難しすぎてクリアー出来ない」て人が続出したらしい。
その声を受けて急遽ベリーイージーのパッチを配信したという。……この事は、プレー前から俺の耳に入っていた。
だから難度については覚悟を固めたつもりだった。変にカッコ付けず、取り敢えずイージーから始めることにした。
ベリーイージーは……さすがにちょっと情けない気がするので無視。「キャサリンの難しさ」は体験しておきたいからね。
まぁとにかく、イージーならさすがに何とかなるだろう。このご時世、「無茶」なゲームはそうそう生まれるもんじゃない。
ましてペルソナチームである。難しいにしても、「ライン」は弁えているはずだ。やれないゲームであるはずがないさ。
……そう思っていた頃が俺にもありました。確かに大人向けだよこのゲーム。ガキにやらせたら泣くんちゃうか。嗚呼。


とにもかくにも、今作のパズルは難しい。度肝を抜かれた。その理由を箇条書きしてみる。

・考えるべき要素が多い
さっき書いたが、「ブロックのフチに掴まって移動できる」ことにより、パズルが非常に立体的で複雑なものになっている。
更に先に進めばブロックの種類も(厄介な方向で)増え、お邪魔キャラも登場。高い「把握能力」が要求される。

・操作が難しい
3Dブロックパズルにフチ移動要素が追加されたことで、何気に操作難度が高い。「思い通りに動かす」のが大変だ。
ワンミスが命取りになるパズルゲーで操作能力まで求められるのはかなりキツい。これは「納得行かない」レベルである。

・巻き戻し不可能
ブロックを一つ押し間違え、降りる場所がズレただけで、もうクリア不可能になるシビアさ。今作のパズルはそういうものだ。
そのくせ「一手戻す」が不可能なのである。どのステージでも一発勝負。ハッキリ言ってあり得ない厳しさである。
今作は各ステージがかなり長く、仮に真っ直ぐクリアー出来ても結構時間と手数がかかる。考えながらプレーすれば尚更だ。
なのに1回間違えただけで全部パー。全部がそうではないが、そうなるケースが多い。思考だけでなく操作ミスでも同じだ。
……と言いつつ、実はイージーでのみ1手戻しが可能。非常に便利というか、これでやっと普通のパズルゲームという印象だ。
続けてやれば数手戻せる。戻し手に制限はあるが、戻すことの回数制限はない。イージーではこれに頼りまくることになる。
ノーマル以降は洒落にならん。非常に高い純粋難度+極悪の再起難度の最強タッグである。確かに悪夢のゲームである。

・演出が重い
ストーリー性重視(一応)なゲームなので、死ぬ時の演出が割とマジで痛い。何度も見せられると気が滅入ってくる。
またパズル開始前に挟まれるストーリー部分の描写が長々しくて鬱陶しくて、パズルと合わせてイライラさせられる。
椅子に座っての質問コーナーとか毎回要らんよ面倒臭い。さっさとパズルに入らせろ。いややりたくはないんだけど!
要するに「サクサクやれない」のである。残機の概念も要らんと思う。そこまでプレーヤーに嫌がらせしたいのか?

・追われる
非常に難しいパズルだから、当然場面場面でじっくり考えたくなる。が、今作はそれさえも許してくれない。神はいない。
「悪夢からの脱出」という世界設定により、ステージが下から徐々に崩れていくのである。当然、追いつかれると落下して終了。
このスピードも相当に容赦なく、イージーであってもゆっくり考えてはいられない。殆ど即断即決レベルの速さを求められる。
ステージによってはボスキャラが横から邪魔してくるものもある。最早理不尽ささえ感じられる。いや、理不尽である。

・クリア評価がある
ステージを単にクリアーするだけでいいならマシだったが、残念ながら違う。クリア時の得点により評価されるのだ。
得点はステージに落ちている金塊を取ることのほか、ブロックを素早く登っていけばコンボボーナスが加算されていく。
コンボボーナスは「追われる」理由の一つで、とにかく上へ上へと急かされる。停滞している奴に待つのは死神だけだ。
金塊は今作らしく厄介な場所にばかり置かれていて、取ろうとすればタイムロスになる。が、無論取らなきゃ低評価になる。
クリア評価の基準がこれまた非常に厳しく、俺がやった限りでは、コンボボーナスと金塊を全て取って、やっと最高評価だった。
つまり殆ど完璧なプレーをしないと最高評価は得られないのである。表現的には矛盾してないが、そらちょっと厳しすぎだろう。
俺は一応イージーでオール最高評価を取った。でもそれは「戻し」があったからだ。でなきゃそもそもプレーがままならない。
戻しなしで最高評価とか、一体どんな完璧超人を求めてんだ今作は。戦慄する。難しすぎる。ちょっとあり得ないよこれ。あー。


というわけで。ベリーイージーが必要かまでは分からんが、今作は本気のガチで「無茶苦茶難しいゲーム」なのである。
俺はイージーで始め、何とか進めることは出来た。でも無論それで終えるつもりはなく、クリア後は上の難度に挑戦予定だった。
無理である。実は今作、一度クリアーしたステージは後で自由に再挑戦が可能で、その際は難度も変更可能なのだ。
つまりイージーで本編を進めつつハードステージに挑戦することも出来るのだ。で、やってみた。無理である。無理すぎた。
パズル自体が破格の難度になっているが、それはまぁいい。ハードなんだから当然だ。でも「戻し」がないのは。無理すぎる。
さっきも書いたが、一手でも間違えたら、全部パーになるのである。ステージはそれなりに長いのに、後半でミスっても、だ。
ちなみに今作のステージは「ある程度」固定形態だから、手順を覚えれば再挑戦時はスムーズにいく。「ある程度」は。
現実には少々のランダム要素や操作の難しさが絡み、挑戦を重ねれば安定するというわけでもない。死が糧にならない。
まぁそもそも、そんな難所まで辿り着けないというか、最初から難所だらけなのだが。全貌を把握することすら出来ない。
冷静に自分を見積もって、「ノーマルをクリアー」くらいならやれると思った。けどそれを最高評価で、はやれる気しない。
ましてハードなんて。はい、降参。早々に諦めたが、あまり悔いはない。製作者に恨みがましい思いはあるが。はぁ。

何なんだろうなぁ一体。「大人だったらこれくらいやれるだろう」って? アホか。大人にそんな気力があるかってんだ。
今作をプレーしていて、とにかく難しいと思ったが、それ以上に「間違ってる」と強く感じた。こんなの絶対おかしいよ、と。
ゲームの世界設定やアトラスのファン層やらをぼんやり想像しても、今作がそれに合ってるとは全く思えない。全くだ。
アダルトな物語とキャラを前面に宣伝し、実際は超絶難度パズルでプレーヤーを悪夢に誘う。作り手はこれがやりたかったのか?
どうも「延々テストプレーを繰り返すうちに難度に対する感覚が麻痺してしまった」らしいが……それにしたって酷い。
難度のせいで、一周しただけですっかりやる気が無くなった。マルチEDでしかもその数が多いのに、見る気がしない。
同難度での周回プレーだとステージスキップが可能なので2周目以降は早いはずだが、それでもやる気にならん。もう嫌だ。
パズルの無茶苦茶な難度が、本編シナリオへも大きく影を落とした。ハッキリ言って罪深いと思う。
最早大人向けとかそんなんどうでもいいくらい、今作は「出鱈目難度ゲー」であった。俺はこれがやりたかったんじゃない。
純粋なパズルゲームとして、キャラや物語を削って発売すれば、印象は全く違ったであろう。それなら難しくても分かる。
けどこのガワでこの中身は……ほんま、ない。あり得ない。難度に燃える気にもならず、正直呆れた。はぁ。

ゲームを進めていくと、数々の「ワザ」を教えてもらえる。パズル突破に役立つテクニックだ。
つってもただの「考え方」であって、別に教えて貰わなくても使える。目から鱗の役立つワザは正直見当たらなかった。
ちなみにワザは後で参照することが出来ず、教えてもらえるその場限り。アホか死ねよ。だからこのゲームはダメなんだ。
一度の説明でカッチリ記憶出来る人なんてそうそういないよ。ワザがいつでも参照可能なら、難度も少しは下がったと思う。
ほか、「金で買えるインチキアイテム」も一応あるが、そんな大したものではなく、これも超絶難度に対しての効果は低い。
一応俺は一切買わなかった。さすがにイージーモードでやってる立場を考慮して、ね。惨めでちっちゃいプライドさ。は。
あとゲーム内ゲームとして「ラプンツェル」という別ゲーを遊べる。……のだが、内容は本編パズルと殆ど同じ。
当然というか難度も本編と変わらない。ステージが小規模という違いがあるが、その分ステージ数は膨大に用意されている。
製作者はよほど今作のパズルに自信と愛があるようだ。そうですか。もうアンタらだけで一生やっててくれよと思う。
逆に言うと今作のパズルが肌に合った人には一生モンのゲームにもなり得ると思う。パズル尽くしだからな。
ああ、一応言っておくが、もちろん今作はダメゲーじゃないぞ。非常によく出来たアクションパズルゲームだ。多分。
難度が面白さをブチ壊してるのが欠点だけどな。それが気にならないならサイコーだろうよ。知らんけどな。


ふぅ。ではすっかり忘れられてた本命要素・物語について。あー。もう大人とかどうでもいいよ。生きる気力だけが欲しい。
パズルでベキベキに心を折られたが、実はこの物語面もかなり期待外れだった。「大人向けとはこんなものか」と。
ああまず、今作には「キャサリン」が二人登場するので、現恋人をキャサリン美、浮気相手をキャサリン若と書くことにする。
……何気に結構考えたんだよ。「老」「若」だと殺されそうだし言いすぎだし、「熟」も違うし。まぁ美人だからよし。

主人公「ヴィンセント」は、冴えないサラリーマン(SE職)、32歳。しかし彼にはキャサリン美という恋人がいる。
二人は高校の同級生で、もう付き合い始めて結構長い(高校時代から付き合ってるわけじゃない)。「結婚」がチラつく。
キャサリン美は微妙にそれを匂わせてくるが、ヘタレなヴィンセントの覚悟が固まってるわけはなく、曖昧な返事で濁し逃げる。
そんなある日、行きつけのバーでヴィンセントはキャサリン若という奇しくも恋人と同名の女に声をかけられ、一緒に飲む。
そのままベロベロに酔っ払って帰宅。……で、目を覚ましたら横には裸のキャサリン若が。そう、浮気をしてしまったのだ。
何故かキャサリン若はヴィンセントを気に入り、積極的に絡んでくる。一方キャサリン美は結婚と妊娠の可能性を匂わせてくる。
二股に悩むヴィンセントは、その日から毎晩「追われる」悪夢に苛まれるようにもなる。起きてても寝てても修羅場の日々。
彼は一体どちらのキャサリンを選ぶのか? 悪夢を見るようになった原因は? 「大人の物語」が、今幕を開けるのだった……。

うーん。まぁこの辺の概要は事前に知っていた。「浮気してしまい、二人の女の間で板挟みになる主人公」と。
しかし、である。最初から非常に裏切られたというか、ヴィンセントは「浮気はしていない」のである。能動的には。
バーでキャサリン若に声をかけられしばし飲むが、別に口説いてる様子はなかった。そしてその後は「朝チュン」である。
要するに「知らないうちに浮気してしまっていた」のである。少なくとも作中で明確にヴィンセントが動いた様子はない。
これではダメだろう。「浮気をする」というのはこの物語の大前提であるはずだ。そうでなきゃ話が始まらない。
「やっちまった男」としてプレーヤーも感情移入し、そこから三角関係に入っていかなきゃならんだろう。なのにそれがない。
「具体的な描写をしてないだけ」と返されるのかもしれんが、そんなテキトーなアダルトゲームがあるかいや。舐めんな。
大前提を満たしてないのに、ヴィンセント自身は「やっちまった」と自覚し、行動する。……全く感情移入が出来ないのだ。
浮気してないのに浮気してることにされてる男の右往左往。なんて作りが甘い。これじゃ大人には通用しないよ。はぁ。

その後もヴィンセントは「よく分からない三角関係」に追われ、夜は悪夢に追われる。意外とタフな男ではあった。
でも発端からして感情移入が出来ず、話が本格化してからはパズルの難度でそれどころじゃない。結局全然浸れなかった。
ヴィンセントは終始困っているが、「あれ、あれ?」と翻弄されている感じで、なーんか主体性を感じない。
「どっちも好きだー!」というクズ(正常)男ならいい。「こっちが好きだ!」という誠実な男でもいい。でも両方違う。
製作者が朝チュンなどという「子供騙しな」手抜きに逃げるからこんなことになる。大人なら責任持って描写せぇってんだ。
俺が見た感じだと、ヴィンセントの気持ちはちゃんとキャサリン美にあり、キャサリン若の存在にはただ困っているだけ。
「どうやらやっちまったらしい」から無碍には出来ないが、鼻の下伸ばしてる様子もない。そら少しは反応してるけど。
だからある意味キャサリン若が気の毒だと思ったね。積極的にヴィンセントに迫ってるのに、君全然脈ないやんて。
とにかく製作者の表現とこちらの認識がズレてるんだよなぁ。こんなんじゃラブコメ漫画の方がマシじゃないかと思うよ。はぁ。

今作はマルチEDということで、プレー中に選択肢が多く登場する。その答え次第でEDが分岐するというわけだ。
が、これも多すぎて鬱陶しく、また結局は「どちらのキャサリン寄りか」を選ぶだけなので、次第に飽きてくる。
特に悪夢の中でやらされる二択は答えるのが毎回非常に面倒臭かった。そんなもんどうでもええわ! 面白くもないわ!
分岐はEDのみでシナリオは変わらない(多分)から、周回やるのも相当かったるいだことだろう。やる気失せてよかった。
せめて「今現在どちらのキャサリン寄りなのか」は分かるようにしてほしかった。そんなとこ隠しても意味がなかろうに。
色んな部分で、今作は周回プレー前提としては難がある。選択肢が多く、読み込みも多く長く、いちいいちテンポが悪い。
仮にパズルを楽しめても、全EDを埋めるまで頑張れたかは微妙である。ちゃんとプレーヤーのこと考えてるんかよ。ったく。

悪夢を見るのは主人公だけじゃなく、最近町のあちこちで男の変死体が発見されていて、そいつらも悪夢に悩んでいたという。
そう、悪夢現象には原因がある。今作の世界設定は現実的だが、そうした不思議要素もあるのだ。その謎解きも楽しみだ。
……がこれまた非常に期待外れ。何やねんそれ、と思った。何が悪魔だよ。若本規夫を活かしたかったとか? アホかい。
悪夢ボスにキャサリン美を模したようなのもいたから、彼女が思い悩んだ末に呪いをかけたとか、そういうのを期待してたのに。
ほんーーーーま下らん真相だった。キャサリン若もそういう意味で不思議ちゃんだった、と? 大人を舐めんのも大概にせぇよ。
ちなみに俺が見たEDは「両方のキャサリンに去られる」というバッド気味のものだった。何が悪かったのか? 知らん。
もちろんそれぞれを選ぶEDや二股EDもあるのだろうが、やる気ない。ついでに言うと魅力もないし。ごめんなガキで。
パズルを置いておいても、これを「大人向け」と自信満々で出されては、ガッカリと言うしかない。アダルトはこの程度なのか。
寧ろ欠点だらけにしか感じられなかった。これなら慣れ親しんだ剣と魔法と美少女の世界の方がいい。もうそれでいいよ。

グラフィックは、良質。PS3熟練期のタイトルということもあり、「3D表現のアニメキャラ」が丁寧に作られていた。
アニメムービーが多く挿入されていて、こちらも質が高かったと思う。ガワ担当者はいい仕事をしていた。エラソーに言う。
悪夢モードで、ステージ開始前に全体マップを表示、ヴィンセントの現在地を示すって手法、あれ「魔界村」のパロディかな?
ホラーめいた雰囲気が似通ってるし、多分そうだろう。魔界村ファンとして嬉しかった。まぁそれだけだが。
音楽は……よう分からん。ただバーや悪夢ステージに雰囲気が感じられたので、ちゃんと「BGM」していたのだと思う。
今作は声優陣がかなり豪華で、ヴィンセントは山寺孝一、キャサリン美は三石琴乃という、エヴァファン狂気のキャスティング。
キャサリン若は沢城みゆきで、こちらも妖しさある良い演技をしていた、と思う。それと友人の一人、子安武人。実に特徴的。
いつも思うけど、子安氏の声って、一発で分かるよなぁ。「子安声」というジャンルというか。何言ってんだか分からん。
それどころか、漫画等の声のないメディアでも「このキャラは多分子安声」て思うことがある。「根付き度」が半端じゃない。
子安氏の存在感を改めて叩き込まれたのであった。……友人のキャラ名? 忘れた。どんな奴かもよう知らん。残念。


ふぅ。
トロフィーは言うまでもなく全く取れず。取る気にもなれず。これトロコンした人はスゲーわ。自力なら神の領域かもしれん。
総合的には「質は高いが面白くなかった」ゲームだろうか。パズルは難しさが、物語は稚拙さが魅力を潰してしまっていた。
馬鹿げた難度からはプレーヤーのことを全く考えていない「俺様」思想が感じられ、それも鼻についた。反論出来まい。
クリエイターに俺様思想はあって当然だが、それが強すぎても良くない。バランスの問題だ。今作は、偏りすぎだった。
そして物語は「なんちゃって大人向け」でしかなく、真面目にそういうのを描こうとする意志が感じられなかった。
こちらはパズルとは違って中途半端だった。物語が偏ったものだったら、何らかのメッセージにはなっただろうにな。
まぁグダグダ言ったが、俺の負けである。難しすぎて太刀打ち出来ませんでした。……どんなプレーヤーを想定してたんだよ。
それでもイージーにだけは真面目に取り組み、全て最高評価を取った。今作でならこれで「最低限のプレー」と言えると思う。
これをもって勘弁して下さい。あー。こういう「負け」ゲーはいつもキツいな。何故俺はゲームが上手くならないんだろう。
子供だったら「大人になれば!」と思えるが、俺はもう大人過ぎるほど大人だ。年齢だけは。もう成長なんて望めないんだよ。
才はもちろんなく、長年の積み重ねも吹けば飛ぶような儚いもの。これが「大人の俺」の現実。ゲームにおいてさえ、な。
そういう現実をプレーヤーに教え込むのが、今作の真のテーマだったりするんだろうか。なわけないか。……ないよね?
大人には「未来」がない。可能性がない。少なくとも俺には。そういう存在に向けたゲームって、どういうものなんだ? 
知らん。取り敢えず、あんま難しいゲームやらされると心折れてますます未来が閉ざされるので、ほんま勘弁願います。

さて、実は今作は「キャサリン・フルボディ」としてリメイクされることが決まっている。無論PS4世代のゲームとして。
この発表には正直驚いた。出て2年後くらいならともかく、7年も経って、今更需要があるのか? ファンが残っているのか?
リメイクでは第三のヒロインが登場するということで、シナリオは大幅に変更されているはず。……力は入ってるのだろうな。
んでパズルも、さすがに反省した難度になっていることだろう。高難度は高難度でクリア後モードで残せば問題ないさ。
俺は面白く遊べなかったが、悪印象まではない。リメイクで蘇ったキャサリンが、今度こそ世の大人を魅了することを祈る。
そして比類なき娯楽・テレビゲームがこれからも老若男女を楽しませてくれることを願って終わり。ゲームは万人が遊べるのだ。
大人がゲームやって何が悪い。何も悪くない。働いて飯食ってゲームやって。それで人生が成り立つならそれでいいのだ。

……成り立つなら、な。もう、な。だーいぶな。そろそろな。限界が近付いている気がしてならないのだよな。
やはりゲームは卒業すべきものだったのか? 他の、「大人がやるべき」遊びに行けば、相応のものが手に入ったのか?
は。今更そんな仮定をしてどうする。無駄無駄。俺はただファミコン世代としてゲームをやり続けるのみ。他の道はない。
今現在は「子供の頃から老いて死ぬまでゲームやった」人は存在しない。俺らがほぼ第一期生だ。後進に道を示すのだ。
まぁ現時点でも「止めといた方がええよ」と思うけどね。ゲームはほどほどにしとき。ガキの頃言われたことは正しかった。
はぁ。






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8 コメント

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Unknown (ケンシロウ)
2018-09-04 20:17:13
このゲーム、マジで気になってたんですけど、問題があって、とてもじゃないけど子供達の前でできないなーって、敬遠してましたw
でも、俺には無理だったと思いますwパズル系統がそんなに好きではないのにそれにくわえて高難易度とかマジ無理っすw
ユウチューブで動画でもあさろうかなーw
Unknown (ota)
2018-09-05 01:33:57
あー、確かに小さいお子さんの前ではちょっとやれないゲームですねw つっても「エロ」とは言えないレベルですが。
難しさに関してはガチです。ただベリーイージーが追加されたことで、無理ゲーではなくなったと思います。
難しいゲームにも「ムキにならない」てのは大人として大事なことなのかもしれませんね。諦めが肝心。はぁ。
Unknown (ケンシロウ)
2018-09-08 15:52:44
なんに対してもムキになれるのはいい事だと思いますよ!
これからも時間があるときには読みますんで頑張ってくださいw
Unknown (ota)
2018-09-09 01:16:32
そですね。
諦めるとこは諦めつつ、拘るところには拘っていきたいです。
>これからも時間があるときには読みますんで頑張ってくださいw
はい、お願いします。更新殆どないからごくたまに覗いてもらえればw
Unknown (mizz)
2019-01-05 22:35:17
これ、間もなくリメイク発売ですね。

ゲームショップでPV見ました。
雰囲気、ペルソナ5でした、かなり。

アクションやパズルはちょっと苦手ですが
ちょっと買ってみようかなって思いました。
Unknown (ota)
2019-01-06 18:05:21
このゲームは鬼のように難しかったです。題材はいいのに調整を間違ってるとしか思えない。
リメイク版ではさすがに配慮されてると思いたいです。俺は挑戦する気になれませんがw

>ちょっと買ってみようかなって思いました。
異様に難しいゲームですが、元版でもベリーイージーまで用意されてたし、やれないことはないと思います。
パズルゲームは解けりゃ天国解けなきゃ地獄ってやつですね。こういうゲームをサクサクやれたらなぁ……。
Unknown (Unknown)
2020-12-18 01:52:06
さいごのやつは皮肉というか冗談のつもりで書いたんでしょうけど、強いて言うなら「お前の人生の失敗をゲームのせいにしないでもらいたい」ですかね
だからダメなんじゃないんですか
Unknown (ota)
2020-12-30 00:58:55
……?
いや何事もゲームのせいになんてしてませんが。仮にしても「ゲームをした自分のせい」なので。

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