腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

武刃街

2009年07月17日 00時38分51秒 | PS2ゲーム感想文
・主演 Gackt

これは知ってた。と言うより、事前に知ってたのは、
これと「タイトー創立50周年記念タイトル」という事だけだった。
ガクトと言えば当時、幅広く一般人気のあった芸能人だ。
タイトーの記念碑的な作品として、幅広いユーザーに売りたかったのだろう。
うん。


・ヒロイン 坂本真綾

と思ったらいきなり真綾さんかよ! 一般人に売りたいんじゃなかったんかよ!


・ライバル(ラスボス) 山寺宏一

ガクトに対する存在は山ちゃんかよ! 一体どんな人選なんだよ!


・ガクトと山ちゃんの師匠  若本規夫

今度は若本御大かよ! もうマジわけわかんねーよ!!
演技は期待通りだったが。



……はぁ、はぁ。登場人物は以上4人だけである。
か、軽く説明書読むだけでポルナレフAAを幾つ使ったことだろう。
と、とにかくゲームを開始しよう。


・このゲームのデータを保存するにはメモリーカードに1020KB以上の空きが必要です

1000KB以上ってどんなセーブデータだよ! 何をそんなにメモリーしたいんだよ!
タイトー50年の詳細な社史でも残しておきたいのかよ!
こんな馬鹿でかい容量要求されたのはときメモ3のEVSデータ以来である。



メモカのデータを整理して……何とか1020KBを確保した。
さ、さぁゲーム開始の準備は整ったぞ。さて、どんな世界設定なんだ?


・西暦22××年、核の雨により、西暦は終わりを告げた。

ふむ、なるほど。ありがちな設定だな。


・そして西暦の代わりに、技が全ての「技暦」が始まった。

何だよ技暦って! わけわかんねーよ!


・核戦争の影響で月のマイクロウェーブ放射衛星が暴走。
 変なビームが地上に降り注ぎ、生き残った人の多くが「鬼」に変化した。

どんなマイクロウェーブだよ!


・技暦674年

技暦ってそんなに続いたのか。スゲーぜ未来人類。


・400年前と全く同じ姿で登場する主人公。宇宙空間を飛んで。

……え?


・師匠との修行シーンが回想される。3000年前の。


……は?



ごめんもう無理。
言っとくけど嘘はいっこも書いてないですから。
いきなり数百年も時間が進んだり、回想シーンで3000年前が描かれたりするが、
主人公らが不死の存在であるとか、そういう説明は一切ない。
主人公らは平気で空飛ぶし、それどころか宇宙空間を飛ぶし、空間に変な穴空けるし、
何かする度にいちいち踊るし、彼ら以外に一切人影が見当たらないが、説明は一切なし。
正直者が馬鹿を見る。
世の真実をまたしても再確認させられたのであった。



はぁ。
タイトー。ゲームやる人間なら誰もが知ってるメーカーであろう。多分。
実質的なゲーム業界の祖である「スペースインベーダー」の偉大さは語るまでもない。
ある意味ファミコンよりもマリオよりも偉大な存在なのだ。
任天堂だって当時はインベーダーのコピーゲームを作成し、
比類なき山内前社長は「遊びにパテント(特許)はない」という歴史的失言を口にしてしまったのだ。
これは未だにあげつらわれるほど、山内氏にとって大きな汚点となっている。
もちろんあの任天堂がコピーゲーを平然と作っていたことも、だ。宮本茂も関わってるんだぜ?
変な言い方だが、あの世界最強ゲーム会社・任天堂にこれだけの汚点を残させたという事実も、
スペースインベーダーの偉大な伝説の一つだと思う。

しかしインベーダーを離れると、タイトーに一体何が残るであろうか?
辛うじて「電車でGO!」くらいだろうか。
まさか「チェイスHQ」とか「ラスタンサーガ」とか「ドンドコドン」とか言う人はいないだろう。
俺だってただ言ってみただけだ。
長い歴史を誇る有名メーカーなのに、本当にパッとしない二流メーカー。
タイトーはそんな会社と言っていいだろう。
今現在はスクエニの子会社になってしまっているが、何を作っているのか知らない。
正直興味もない。


そんなタイトーも、「50周年記念作品」にはさすがに気合いも金も注ぎ込んだのだろう。
少なくとも金は注ぎ込んだに違いない。それは感じることができた。
そんなタイトー50年の歴史と想いを込めた渾身(多分)のタイトルが「武刃街」である。
尤も世間的には、タイトーどうこうではなく「ガクトのゲーム」としか伝わっていないであろうが。
売り上げがどうだったかは知らない。まぁタイトーの期待通りではなかっただろうな。
俺は中古100円というほぼ極限価格で購入した。
して武刃街、「ゲーム」としてはどうなのだろうか。



まず何より、「馬鹿」との印象は拭えない。
冒頭に書いたゲームの概要だけでも、もう馬鹿の極みである。
このゲームの世界設定は「武侠」を強く意識しているらしい。
日本じゃ馴染みがないが、香港映画とかでは人気があるジャンルであるらしい。
要は「カッコ付け」な感じなのかな。よう分からん。アウトロースターしか思い浮かばん。

そんな「武侠」な世界は、とにかく馬鹿。
剣術は一応流麗でカッコいいが、とにかく何をするにもいちいち踊るし、空飛ぶし、
あの動きを見て「綺麗だな」とは思えても「カッコ良い」と思うのは難しい。
そしてメディアに浸りきったオタなら「馬鹿」と思うしかない。
武刃街、要するに馬鹿ゲーなのである。
世が世なら、クソゲーサイトで絶対に取り扱われたことだろう。

世界設定が馬鹿なら、物語もキャラも馬鹿。
ゲームの物語は「恋人の死をきっかけに人を捨てて鬼になったライバルを止める為に戦う」
であるようだが、詳しい事は一切語られない。語られないんだから理解しようがない。
このゲームは「脚本・黒田洋介」も一応大御所起用として宣伝しているのだが、
黒田氏が一体何の仕事をしたのか、甚だ疑問である。
だって、ストーリーがないから。マジで。嘘じゃないよ。
いきなりキャラが登場し、何故か踊って、戦闘が始まる。意味不明に理解不明。
一体何なんだろう。
「グランディア3」とは違い、製作者の無能ではなく「狂気」を感じる。
真面目に考えると頭がおかしくなりそうだからやめとこう。
どっちにしろ、魅力的とは思えんし。

少し同情的に見てやると、このゲームの発売日「2003年12月25日」というのが引っ掛かる。
2003年末、ギリギリの発売だったのだ。
このゲームがタイトー50周年記念タイトルであることは前述の通り。
つまり50周年に間に合わせる為に、本当にギリギリの発売だった事が分かる。
……恐らく、物語を練り込む時間が全くなかったのではなかろうか。
そうでなければここまで無茶苦茶なものが出来上がるとは思えない。
納期を優先し、物語内容を半ば捨て去ったとすると、非常に勿体無い、ふざけた話である。
世界設定が馬鹿なのは良いとしても、物語はきちんとやってほしかった。
最初はかなり笑わせてもらえたが、最終的には笑えない次元であった。
せっかくガクトを使っていても、キャラが全然立ってないし。真綾や山ちゃんも。
いつも安心の演技を聞かせてくれる若本さんの師匠だけはキャラ立ってたけど。
ちなみにガクトは掛け声以外では殆ど喋らない。
せっかくのキャラなのに何故喋らせないのか、本当に理解不能である。
はぁ……。




物語は馬鹿で中身がなく駄目。じゃあゲーム内容は?
これが、意外と良い。……部分もある。

ジャンルは3Dアクションである。見慣れた画面構図に、これまた見慣れた悪い視点。
攻撃とジャンプ、壁を利用したアクションは「NINJA GAIDEN」とかなり似通っている。
つっても発売は武刃街の方が早いからパクリではない。まぁこんなのパクッてても別にいいんだけど。
アクションはそれなりに多彩で、ガクト自らモーションキャプチャーをしている動きは綺麗だ。
意外や意外、それなりにちゃんとしたアクションゲームなのである。タイトーのくせに。ごめん。

また、このゲームの独自要素「剣戟(けんげき)システム」も面白い。
要はガードキャンセルで、敵の攻撃をガード後、素早く斬り返すことが出来るシステムだ。
ただしガードにはゲージがあり、強力な攻撃や多段攻撃を受けた場合は
あっさりガードが弾かれ、ダメージを受けてしまう。
ガードキャンセル成功時は綺麗なエフェクトと掛け声がかかり、爽快感がある。

そしてこのシステムが最大限に活きているのが、ボス戦だ。
と言うのも、ボスも同様にガードゲージを持ち、剣戟システムを使ってくるのである。
こちらがガードキャンセル攻撃を仕掛けても、ボスは更にそれをガードキャンセルしてくるのである。
ガードキャンセルの応酬、そして展開される「チャンバラ状態」。
これが見た目も楽しいし、駆け引きが熱いのである。

序盤はボタン連打していればそのうちチャンバラに勝てるが、
徐々に敵のガードゲージが長くなり、連打だけではチャンバラに負けるようになる。
そうなると連打だけでなく攻撃を一旦止めたり、
ガードキャンセル後に回避行動を取るといった工夫が必要になってくるのだ。
そうして何とかボスに隙を作り、そこを突いて攻撃する。
特に人型ボスとの一対一の戦いはなかなか楽しめた。
まだまだ調整の余地はあるが、剣戟システムはこのゲームの独自要素として誇っていいと思う。


……でも不満もある。
最大の欠点は、アクションがいちいち大きすぎることかな。
剣を振るのもジャンプするのも、とにかく動きが大きい。もっさりしている。
おかげでアクションは多彩で流麗だが、「快適に動かせる」とは言い難い。
特に剣攻撃のアクションの大きさは酷く、非常に先行入力が効いてしまうこともあり、
ちょっと攻撃ボタン連打していると、数秒間は攻撃を止めてくれない。
当然、その隙を敵に攻撃されることも多い。
比べていいのかは分からんが、この点「NINJA GAIDEN」とは対照的である。
剣戟システム以外では「手元に返ってくる快感」がない。
よって、あまり手がプレーを欲しない。
うーん……。



ステージ構成。
動きの重さは「味」としてアリとしても、こちらはナシである。酷い。

このゲーム、全8面しかない。しかも8面はラスボス戦だけだ。
こう書くと短いと思うかもしれないが、そうではない。プレー時間はそれなりにかかる。
……つまり、1ステージが長いのである。非常に。

とにかく長い。冗長。
似たような景色が続く半端な迷路と、面白さが全く無い謎解き要素が絡んだステージの数々。
しかも困った事に、ステージ中では一切セーブが出来ないのである。
つまりセーブをする為には、とにかくそのステージをクリアーしなければならないのだ。
異様に長くて退屈なステージを。強いボスに詰まることも許されない。
これはちょっとなぁ。

このステージ構成には、製作者の「センスのなさ」を強く感じた。
そういう意味では俺の「タイトー観」とピッタリ合っていた。
タイトーのゲームならこんなもんだろう、と。もちろん非常に悪い意味で、である。
アクションの重さは擁護の余地があるが、このステージ構成は論外だと思う。
せめて途中でセーブ可能であれば、大分違うのに。
コンティニューは無制限にできるので、時間をかければクリアーは可能だ。
だったらセーブくらいさせてくれてもいいだろう。何故こんな仕様なんだ。
とてもじゃないがガクトを顔にした「広く一般向け」ゲームとは思えない。


ふぅ。
難度は、無限コンティニューが可能であることを考えると、まぁ低い。
しかもコンティニューをすると体力・魔力が全回復するので、半端な状態で
ボスに辿り着いた場合は、さっさと死んでコンティニューした方が効率が良いほどだ。
コンティニューに関しては極めて甘いゲームだと言える。
ただしクリア後の評価は当然ながら低くなる。

単純に難度を見ると、序盤は楽だが徐々に厳しくなり、終盤はかなりしんどい。
特にステージとしての最終面である7面では、最初で最後の非常に厳しいアスレチックを
要求されるので、同じゲームとは思えないくらい難しい。
あそこでゲームを投げ出す人が続出したと思う。
ゲームが徐々に難しくなるのは当然のことだが、そのカーブが殆ど二次曲線級である。
ここでも製作者のセンスの無さを強く感じる。
7面なんか一応作り込んであるとも言えるが、だったらあんなのプレーして
このゲームの客が喜ぶかどうかも分からないもんだろうか。

ちなみに俺は難度「並」でやった。最初は「並」と「易」を選ぶ事ができ、
クリアーすると「難」が出現する。もう一個上もあるかもしれないが、
とてもやれる気がしないし、やる気もしないのでやらない。
これ「並」をクリアーできた人、あまりいないんじゃないか?
俺がスゲーと言う気はないが、訴求対象を考えるとそう思う。
なんでこんな調整なのかなぁ……はぁ。


ンなわけで、ゲームの構成に全く好感が持てなかったので、
ちょっと不誠実だが1周クリアーしただけで終了。
でも1周やっただけでもそれなりに頑張ったと思うよ。
終盤はマジで難しかったし。ラスボスが強い強い。

ステージの各所に存在するメダルを集めることで、様々なオマケ要素が解放される。
主人公の衣装をガクトそのものに変えられたり、ゲームの発表記者会見のビデオや
各声優のインタビュー等を見られるなど、あんましゲームそのものには関係ないが、
ガクトファンには一応嬉しいのではなかろうか。
この要素だけでも全部埋めたかったが、もう無理。
あのダラ長ステージにもう一回挑む気がしない。はぁ。



はぁ。
このゲーム、結局何だったんだろう。
アクションゲーム、ガクトもの、タイトーの記念碑的作品、どの観点から見ても
中途半端である。せめてアクションゲームとしての質をもっと上げてくれていればなぁ。
「タイトーのくせに、やるじゃねぇか!」そんな感想を抱いてみたかった。

……ところで製作スタッフの中に気になる名前があったんだよね。

『スーパバイザー・広井王子』

何となく、全ての原因はこの男だと思ってしまうのは偏見だろうか。
俺はこの男を全く信用していないのである。チッ。
ま、あんま考えないようにしよう。考えたくもないわ。




ガクトものとしても中途半端だとは思うが、主人公は一応そっくりさんだし、
モーションも取り込んでるので、一応ファンアイテムとしてはアリなのかもしれん。俺には分からん。
特典映像では長めのガクトトークが入っているので、それも楽しめるのではなかろうか。
んでそのトークで一箇所、結構良いこと言ってたんで、引用してみよう。
一度聞いただけなので、正確な引用ではない。


『僕はさ、人はもっと殴り合いのケンカをすべきだと思ってるんだよね。
でも最近はそれをせず、心の傷付けあいばかりやっている。
殴り合いをすると当然痛いんだけどさ、殴られた傷ってのは、時間が経てば治るんだよね。
それに対し、心の傷ってのは、いつまで経っても治らないんだ。
最近は殴り合いをせず、心の傷ばかりを作ってる気がするんだよね。
イジメとかまさにそれでしょ』


正確ではないが、概要は合ってるはず。
インタビュー内容になど興味はなく、何となく流したんだが、ここだけはグッと来た。
このゲームで一番心に残ったメッセージかもしれないな。はは。
これが絶対に正しいわけではないが、一面の真理ではあると思う。
少しだけガクトの好感度が上がったのであった。
……大人がやったらただの傷害罪になっちまうんだけど、どうすればいいですかね。はぁ。
いや俺は撲殺される方か。はぁ。




タイトーはやっぱタイトーだった。
ガクトの好感度がちょっと上がった。
まぁこんなもんだろうか。俺とタイトーには今後も縁は……なさそうだな。
スペースインベーダーは真面目にプレーしたことがないので、
ゲーム業界の歴史勉強という意味で、いずれ取り組んでみようかな。
比類なきインベーダーを生み出した業界の祖に敬意を払って終わり。
……過去しか輝いてないってどうなのよ。
もっと今を生きろよ! 今を輝かせろよ!!
うがあああ耳が痛すぎ。

まぁあれだ、能動的に触れる気はないが、もちろん意図して無視してるわけでもないんで、
頑張ってまたインベーダー級のゲームを作ってください。
そして俺の凝り固まった偏見をぶち壊して下さい。
キャッチ・ザ・ハートってね。
あん頃は……はぁ。






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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-11-15 01:05:21
楽しめないのはお前にセンスが無いだけ
返信する
Unknown (ota)
2015-11-15 02:39:10
このゲームは割と楽しめた方だと思うけど。はぁ。
返信する
Unknown (Unknown)
2017-03-01 17:09:24
はぁはぁうるせーよオナニーでもしてんのか
返信する
Unknown (ota)
2017-03-02 00:43:40
だいたい合ってる。
返信する

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