【ハード】PS3
【メーカー】UBIソフト
【発売日】2009年12月3日
【定価】1650円(DL版 1とセットのウェルカムパック)
【購入価格】1650円(DL版 1とセットのウェルカムパック)
【プレー時間】45時間
【ハード】XBOX360
【メーカー】UBIソフト
【発売日】2009年12月3日
【定価】7329(税込)
【購入価格】110円(中古)
【プレー時間】18時間
去年、13年ほども遅れて、俺は「アサシンクリード」シリーズに足を踏み入れた。本当に長かった。感無量である。
非常に作品数の多いシリーズだけに、評判は幾つも耳にしていたし、そもそも何本も既に持っている。もっとはよやれよ!!
おう、やるよ。……けどそこは俺である。こんだけ遅れて始めるんだから、焦ってもしゃーない。じっくり最初から行こうや。
シリーズプレーの一本目に選んだタイトルは、比類なき初代「アサシンクリード」だった。我ながら誠実やのう。素敵。
初代アサクリは何故かリメイクやリマスターが一切なく、やるなら発売当時のバージョンしかない。ほんま、謎の冷遇である。
だがPS3もXBOX360もバリバリ現役な俺にそれ問題ではなく、結果として両機種でクリアー、XBOX360版は実績コンプを達成した。
PS3版で始めた当初は古くて粗いゲーム性に馴染めず放置に走ったが、自棄糞でXBOX360版を並行開始すると状況は一変。
XBOX360版だけにある実績をプチプチ埋めているうちに、ハマってしまったのである。強制力がゲームを面白くするいい例だった。
ともあれ初代のプレーは大団円で幕を閉じた。その後PSPで「ブラッドライン」もやり、取り敢えずアルタイルの物語は完了。
シリーズは、そして世代は新たな主人公へバトンを渡した。新主人公・エツィオが活躍するのは、「アサシンクリード2」である。
今回は元々持ってたPS3版だけにする。そらそうやろ、同内容を別機種で同時にやるって。おかしいよ。……と思ってたんだがな。
さて、アサクリ2。前作から約2年を経て発売された続編。鉄が熱い内にガンガンに打ちまくって作られた、待望の続編だ。
それはまぁ、大幅にパワーアップしていた。例えばグラフィック。前作は時代背景もあり、全体的に白く無機質な町並みだった。
それが今作では非常に色彩豊かになり、ひと目で進化が分かる。……単純に時代背景が進み、文明が進歩したからとも言えるが。
システム部分も、武器や技が増え、殺し方もかなり豊富になった。それでいてチュートリアルが充実し、自然に色々学べる。
単調で画一的だったサブイベントにも手が入り、ある程度の多彩さと面白さを兼ね備えた良質の寄り道要素に変貌した。
前作では非常に大変だった旗集めも数がグッと減らされ、かつ楽ではない調整で、適度な面倒臭さを持つサブ要素になった。
前作の良さを伸ばし欠点を潰し新規要素を多数追加……実にいい続編、実に良い二作目である。脂が乗ったシリーズなんだなぁ。
……が。一方で前作からまるで進歩のない箇所もあった。不自然さである。俺の命名したところの「半径5mの世界」結界だ。
今作はアサシンゲー、当然ながら多くの人を殺す。イベントで強制される相手はもちろん、衛兵から無実の通行人まで殺せる。
殺人は、一般社会における最大の禁忌だ。それはいつの時代でも変わらんだろう。今作でも当然、そうなると大騒ぎになる。
モブ人達は逃げ惑い、応援の衛兵が駆けつけてくる。……が、それはその場だけ。少し離れた場所に行けば、平穏な日常が戻る。
時間を置いて元の場所に戻ったら、死体は綺麗に片付けられ、モブ人は何事もなかったかのように歩いている。……はぁ。
前作でこの点は盛大に突っ込んだが、初代だということで我慢した。こんだけ不自然なんだから、続編で必ず手直しがある、と。
だが蓋を開けてみれば、ほぼ何も変わらず。他の要素が大きく改良・追加されているのと比べたら明確な手抜きである。
いや、「どうしようもない」のだろう。確かにこれをリアルにしたらゲームが成り立たないことは俺にも分かる。分かるよ。
けど、だったらそもそもこのゲーム自体が、アサシンクリード自体が成り立たないのではないか。なら何故作った!?!?
結局、「大人だろ? 見逃せよ」でしかない。激烈な不自然さに目を瞑ってスルーし、他の「リアル」を楽しむ大人のゲーム。
仕様がない。これが現実なんだよ。アサシンクリードは、「諦めのゲーム」でもある。2作目でそれがハッキリした。終わり。
続く。半径5mの不自然さを受け容れさえすれば、前作より格段に遊びやすくなったパルクールアクションを存分に楽しめる。
街のあちこちを走り、登り、飛び降り、また登る。アサシンに行けない場所などない。その自由さは、強い快感を連れてくる。
この点に関しては、別にパワーアップは感じられないが、前作の時点で十分な出来だったから文句はない。縦横無尽に、動ける。
今作は建物の外装が格段に凝ったものになったから、どこへ登っても前作より高揚感がある。「悪さしてる感」が強いというか。
今作のエツィオも前作のアルタイル同様、どんな高所でぶら下がっても平然としている鋼の胆力を持つ。マジで化け物である。
そんなエツィオが地上10メートルはあるであろう建物に登っていく行為は……楽しい半面、操作していても心底怖い。
これも前作であった特徴を今作でも受け継いでいた。アサクリで高所に登ると、冗談でなく怖い。ひぃいいと悲鳴が口をつく。
この現象自体は3Dアクションでなら、それこそゼルダ時オカの頃からあった。けどアサクリのそれは別格で強烈だと思う。
体術だけで登ってるからなのか、建物が現実的だからなのかは分からんが、とにかく高さに謎のリアリティがあり、超怖い。
更にアサシンはそんな超高所から、地面の藁束に向かって「イーグルダイブ」をし、無事着地する。本当に頭がおかしい連中だ。
地上10mから藁束に向かってダイブするだけでも狂気だが、正確に落ちるし無事だし!! 中に石でもあったらどうする!!!
パルクール周りは、こういうのが好きなら大いにハマれるだろう。俺も何だかんだってかなり魅せられていると思う。怖いし。
ちなみに死んでもリスクなく再開可能だから、嫌になったら飛び降り自殺するのも一興。それもまためっちゃ怖いけど、な。
自殺こそは「バーチャル体験」の究極だと俺は思ってる。こればかりは現実で絶対に試せないし。ゲームで存分に楽しもう。
では現実では「ほぼ」試せない行為の一つ、殺人はどうか。今作はアサシンのゲームだ。クリアーまでに三桁は軽く殺す。
先述のようそれはゲーム中で非常に「軽い」ことなので、気に入ったなら幾らでも殺せる。モブ人は文字通り幾らでも湧くし。
……ちょっと危険だからこの考え方は止めよう。ともあれ殺人は今作の要だ。殺しなくして未来なし。あさしんだもの。
今作では敵の武器を奪えたり、後半では何と鉄砲が使用可能になったりと、かなりの改良が見られたが……うーん。
「根本的な部分では変わってないな」と。基本的に狙うのはカウンターで、それ以外の攻撃は効率が悪い。やる意味を感じない。
こちらの攻撃はほぼガードされるので、何度も切りつけてそれを崩すしか無い。そこの面白味がなく、ただ面倒臭いだけだ。
一方カウンターは一発入れるだけでいい。まぁ中盤からはカウンターもガードされるが、ダメージは通るからいずれ倒せる。
前作では無法の強さだった投げナイフは調整が入り、近距離ではほぼ役立たず。鉄砲も予備動作が長すぎてほぼ無価値。
武器も技も色々増えたが、それを使いこなしても強くはなれないのよね。少なくとも俺の場合は強くなれる気がしない。
だから一番効率の良いカウンター狙いに行き着いてしまう。後はアサシンブレードを使った一撃必殺のランダム発生を狙ったり。
この世代のゲームとしては質が高いとはお世辞にも言えない。戦闘がメインじゃないからいい? アサシンなのに? うーむ。
アサシンというと機械的・計画的に人を殺すイメージだが、今作でも前作と同様、泥臭い大立ち回りを演じてばかり。ダサい。
それもこれも「暗殺」を真面目に作ると、ゲームにならないからだ。仕事が一瞬で終わり、失敗時のフォローもとても描けない。
そのためこんな泥臭い不自然な大立ち回りをするアサシンが生まれてしまう。……もしかして実際に昔の暗殺ってこういうもん?
半径5mの不自然さと共に、殺人アクションのつまらなさも改善されていなかった。「無茶言うなよ」ってことなのかもしれない。
戦闘難度が全体的に低く、どうにでも勝てることからも、どこか製作者の諦めを感じる。「緩いがこれで勘弁してくれよ」って。
初代で妥協しても、続編では頑張ってくれと思ってたんだがな。まぁ更なる続編に期待するか。さすがにこのままじゃなかろう。
ちなみに、今作も子供は特定イベントを除いて一切登場しない。故に一切殺せない。そらそうか。……温いよね。はぁ。
サブ要素。前作では異様に画一的なネタばかりで、しかもやってることが不自然だから違和感しかなく、ただの埋め要素だった。
それが今作では随分と色付けされ、割と楽しい寄り道になっていた。無論報酬もあるので、ゲーム進行上もやって損はない。
暗殺ネタは軽い物語が用意され、スピードランはやり甲斐があり、浮気男を殺さずお仕置きするミッションなんてのもある。
そして一番デカいのは、前作から引き続き用意された「羽集め」だ。全100枚がマップ各地に配置されている。ヒントなし。
これに関してはもう、先人が集めてくれた情報を頼るしかなかった。つまりネットガン見。しゃーない。自力の意義ないからな。
作業ではあるが、前作ほど多くないし、収集の快感はあるから、意外と悪くなかった。人間は根源的にこういうの好きだな。
また羽という対象に何の根拠もなかった前作と違い、今作では「亡き弟が欲しがってたもの」という熱い動機がある。
羽を集めることで、その弟の死により塞ぎ込んでる母親を慰められるというのもいい。殺人塗れなゲームにおける尊い家族愛だ。
……で。俺は今回、この羽根集めで大被害を食らったのよね。あれはもうゲームも終盤、ラスボス戦に挑む直前のことだった。
クリア後にやってもいいが、ラスボス前にサブ要素全部埋めとくかと色々動いたのだ。当然、羽も苦労して全部集めた。
んで。今作には「既に終えたイベントを追体験する」モードがクリア前から搭載されている。VR体験という作りならではだな。
俺はこの機能を全く使ってなかったんだが、その時たまたま、あるダンジョンのクリア前まで飛ぶ選択を選んでいた。
それが多分ダメだったのだろう。「今は正当な時間軸じゃない」ことを忘れ、集めた羽を投入ボックスに入れてしまった。
そこから母親とのイベントになるのだが、何故かそれが途中シャットアウトされ、場面が戻ってしまった。????
……終わってた。その状態からラスボス戦に行こうとすると、何故か母親イベントが再度実行され、操作を受け付けなくなった。
色々試した。リセットはもちろん、もう1回過去に戻って再び引き返したり、自分で想像できるフラグ弄りは全部やってみた。
でも無駄だった。何をやっても、拠点に戻るだけで母親イベントが始まり、操作不能に。完全に進行不能バグだった。
今作はセーブデータの複製が不可能で、かつ完全オートセーブである。お分かりだろうか。詰み、詰みである。マジ対処法なし。
そこまでじっくり25時間はプレーしていたのに……久々にゲームのバグで嘆いたよ。殺しまくった衛兵の呪いかとも思った。
PS3版のプレー時間が長いのは、ここで最初からやり直したからである。……ほんまはもう止めようかと思ったよ、マジで。
終盤も終盤での悲劇だったからね。偉いなぁ俺。2回目のプレーは死ぬほどビクビクしながらだったことは言うまでもない……。
拠点と言えば、エツィオの拠点となる小さな町を発展させる遊びも今作の売りの一つだ。つってもそんな大したものではない。
教会や商店といった施設の増強に金が要るからくれと言われるので渡せば町が発展し、それに合わせ貰える上納金が増える。
そう、今作には金の要素もある。武器防具の購入から賄賂まで幅広く使い道がある。中でも一番大きいのがこの町への投資だ。
しかし調整がテキトーで、中盤までは面白いものの、割とあっさり町は発展上限に達し、その後は金があまりまくる。
武器や防具もすぐ最高性能を買えてしまうのでますます金に意味がない。昔のゼルダシリーズを思い出す調整不足だった。
まぁ金も町発展も要素としては面白かったので、これは次回作に期待しよう。この部分は大いに進歩を望める。多分。
尚、金の使い道で一番楽しかったのは、「その場にばら撒く」だったりする。通行の邪魔になるモブをこれで排除出来るのよ。
撒く金は1回10円で、数十万も余る終盤ならまさに端金だ。それを地面に投げつけると、大喜びで拾い始める貧乏人共。
……ぬっかっかっか、なんて気分の良い!! 前澤氏の気持ちが分かる新要素だった。ヤバいか。でも楽しめたからよし。はぁ。
サブ要素には一つ、デズモンド側のネタもある。まぁそれも動かすのはエツィオなのだが、現代編に対するメッセージ解読だ。
要はアニムス(DNAからVR体験をする機械)にデズモンド以前の被験者が残した暗号メッセージらしい。それが偶然発見された。
メッセージは多数に分割されフィールドに隠されていて、更に発見して謎解きをすることでやっと内容を知ることが出来る。
しかし断片的な情報だけでは中身が薄く、全部集めてひと繋ぎにしなければ殆ど意味不明だ。今作で最も厳しいパズル要素だ。
まそれはいいんだが……ここで提示されるパズルが、意味不明なんよね。いやパズル自体じゃなく、その題材が。
歴史上の名画や戦争写真を引用したシンボル探しやルールさえよう分からん数字合わせ等、ほんまやってて「???」だ。
歴史的資料を扱う案件は、その生生しさがオカルト的な怖さを醸しており、なんか急にホラーゲームやってる気分になった。
この要素は何なんだろう。いや最終的なメッセージは「そういうことか!」と面白かったんだが、パズルの内容が、ね。
終盤のパズルは非常に難しく、つーか知識がないと無理っぽいのもあったので、ここはネットを頼った。しゃーない。OK。
「真実」……重い言葉である。俺みたいな奴は真実に辿り着けないし、仮に辿り着いてもそれが真実と気付かない。はぁ。
あとダンジョン。今作はリアル寄り設定なのに、もっとゲームゲームしたかったのか、幾つかダンジョンが投入されている。
何やら過去の先輩アサシンらの墓という設定だが……なんでそれがダンジョンになってんの。仕掛けは誰が作ったのよ……。
まぁツッコミは抑えよう。今作のダンジョンは「難しめのアスレチックを求められる」作りだ。宝物は最後に一つあるだけ。
普段街でやるパルクールは、難しいものは殆どなく、感覚でテキトーにやればいい。方法も複数用意されており、自由度がある。
それに対しダンジョンのパルクールは難度が高く、正解も一つだけなものばかり。まず正解に「気付き」、その後練習が必要。
街でテキトーなプレーをしていたら、かなり面食らうだろう。逆にパルクールを楽しんでいたなら、歯応えにニヤリとするはず。
俺は後者だったので、6つほどあるダンジョンはどれも大いに楽しめた。この追加要素は文句なしだ。……設定さえ無視すれば。
ダンジョンがあること自体不自然なのに、更に衛兵が警備してるからな。なんやねんここは。アサシン先輩の墓ちゃうんかいな。
このシリーズは「ブッ飛ぶ部分は徹底的ブッ飛ぶ」方針で作ってるんだろうなぁ。史実? リアリティ? ふふっ、「ゲーム」。
物語。今作で一番気合を感じたのはここだった。シナリオもキャラも、前作より遥かに綿密に作られていたと思う。
まず今作、前作と同様「現代編」が存在し、そこでの主人公「デズモンド」のDNAを辿って見る記憶がエツィオの活躍となる。
そのデズモンド編もかなりキッチリ描かれ、前作での監禁ビルから脱出し別の拠点へ向かうところからゲームが始まる。
……尚、ここで協力するのが、前作でも登場した女性研究員「ルーシー」なのだが……いや、あんた誰よ? ルーシー何処よ!?
ルーシー、前作とは似ても似つかない姿になっててほんまビックリ。具体的には美人になり、スタイルも一気にモデル体型に。
恐らく営業的理由なんだろうけど、時系列的に完全に繋がってる続編でこんなことしてええんかいな。これもブッ飛び要素か。
脱出から拠点への移動はチュートリアルにもなっていて、その辺余念がない。「DNAの記憶」という設定も相変わらず良い。
メインは当然エツィオ編ながら現代編にも気合は入っており、手抜きはない。デズモンドも一気に強くなり、続編が楽しみだ。
……セルフパロとして、ルーシーの変貌に驚くシーンを入れてほしかったな。それくらいすべきやろ。UBI、凄い会社である。
そして舞台はメインの中世イタリアへ。……なんといきなり出産シーンから始まる。生まれるのは主人公・エツィオだ。
さすがに上半身しか映されないが、エツィオの母親がいきむ姿が生々しい。これ見せられて客喜ぶか? UBI、凄い会社だ。
その後一気にエツィオ17歳へ。彼は貴族家の次男として奔放に暮らし、この時点では街の不良少年といった立ち位置だった。
不良グループを率いて他の陣営と喧嘩し、夜は恋人の部屋に夜這いへ行く……そんな生活を楽しんでいた彼に、悲劇が訪れる。
ある日突然、父親と兄、弟の3人が捕縛され、裁判も何もなく、首吊り刑に処されたのだ。エツィオはそれを間近で見てしまう。
怒りを爆発させるエツィオは、同時に父の裏の姿、そしてアウディトーレ家の本当の使命が「アサシン」であることを知る。
彼は周囲の協力者により鍛えられ、アサシンとしての力をつけていく。いつか家族を謀殺した奴に復讐するために。
前作のアルタイルは始まった時点で完成されたアサシンで、生い立ちの描写は殆どなく、顔もずっとフードで隠されていた。
それに比べるとエツィオの作り込まれ方は、ゲーム界全体で見てもかなりのものだと思う。今作はエツィオのためのゲームだ。
内面も、軽い性格ながら正義感が強く(ただし人殺しに躊躇は皆無)、プレーヤーの分身として嫌味のないいいキャラだった。
基本はフードを被っているが素顔を出す場面は何度もあり、その顔もイケメン過ぎず、なんつーか親しみやすい。
彼を取り巻くサブキャラも、ワガママ気味な妹に豪放な叔父、そしてあのレオナルド・ダ・ヴィンチと皆個性的で魅力がある。
エツィオを軸に紡がれるアサシン教団とテンプル騎士団の闘い、「預言者」の謎、そして「秘宝」の在り処……色々熱い。
バグにより2周やる羽目になったが、それにより物語の理解度が深まったのは良かったと思う。少なくとも前作よりはずっといい。
イタリアの建物や人物、出来事を上手くゲームに絡めている(らしい)のも今作の魅力だろう。イタリア好きなら最高だろうな。
……が。今作の物語には大きな問題がある。「長い」のだ。ゲームとしてじゃない。シナリオ上で経過する時間である。
最初、エツィオは17歳。家族惨殺の悲劇が発生し、復讐のため叔父の家で2年修行に明け暮れ、いよいよ行動開始。
そしてEDを迎える頃には? なんとエツィオ、40歳である。冒頭から23年も経過していた。表示された年数にめっちゃ驚いたよ。
今作は章立て構成で、章の初めに西暦が表示される。その増加具合にはずっと違和感があったが、最後に至ってはもう叫んだよ。
だって、20年である。23年である。そしてエツィオの最大目的は「復讐」だった。……そんな長い期間、復讐心って保つか?
「保つよ、俺も〇〇を20年頃したいと思ってるよ!」て意見もあるかもしれない。……君はもう忘れろ。それはともかく。
俺は非常に無理を感じた。23年である。エツィオは半生以上、復讐心を持ち続けたことになる。全くリアリティを感じない。
今作のシナリオは史実と整合性を取る必要があるので、その辺の絡みなのだろうが、にしても長すぎ、おかしすぎである。
これだけの期間活動していたなら、家や家族も必要なはずだが、エツィオには拠点はあってもそういう描写はない。
女好きなことは多く描写されてるのに、子供いないのおかしいやろ。何度も言うが、23年である。せめて10年だろうと。嗚呼。
またエツィオはアサシンとしてずっと活動しているが、叔父ら仲間に認められるのはずっと後で、もうゲーム後半だった。
つまり30後半くらいまでは半人前扱いだったわけだ。……おかしいやろ。その歳なら寧ろ後進育成に入っていなきゃならんわ。
その叔父ら周辺人物も、20年経っても絵に殆ど変化がない。娼婦のお姉さんとかいつまでそんな若いのよ! 全然OKだよ!!
妹は23年間結婚もせず帳簿仕事に従事かよ! 超真面目だな! 母親は23年間も塞ぎ込んでるんかよ! その割にずっと若いし!
色々と年齢と年月に矛盾……ではないかもしれんが、違和感ばかりが噴出する。まして今よりずっと平均年齢が低い時代だぞ?
全体の流れは良い。エツィオの成長(殺人者であることはこの際目を瞑る)、協力者との絆、明かされる謎……どれも良かった。
これが10年で纏まっていれば、もう手放しで絶賛したかもしれない。けど23年はない。ンな長く人間の気持ちは続かないよ!!
こういう形でガッカリ来るのは初めてだな。惜しいわ。40歳のエツィオは、復讐を遂げて心が晴れたのだろうか……。
グラフィックは、建物も人も大幅に綺麗になってたと思う。同ハードで、前作もハイレベルだったのに、大したもんだわ。
おかげでパルクールが盛り上がった。……まぁもちろん結局は画一的な建物が並ぶ、あり得ないOWだけどな。しゃーない。
あと今作でもやはり扉には一切入れず(モブも入らない)、書き割りの奇妙な建物ばかりだった。ゲームの限界かのう。
一応Z指定ゲームなので、殺人の残酷さはある。……ただ正直、血飛沫よりもハンマーで殴殺することの方がエグかったが。
音楽も、印象に残るわけではないが、とにかく長い時間歩き回って長く聴いたから、不思議な愛着が湧いた。
スポッチにサントラがあったから愛聴している。最近はスポッチのサントラには本当に助けられてる。インターネット万歳。
またフルボイス&日本語完全対応で、エツィオの声は関智一と、お金もかかっている。叔父の大塚明夫も何かニヤリとした。
前作で「うるさい」レベルだった街なかのモブの声は控えられ、静かにパルクールに耽ることが出来た。無論少しは騒がれるが。
それにしても、目立つアサシンやんねぇ。闇夜でやるならともかく、昼間に人前でいきなり屋根に登り始めて……。
あと今作の「通行お邪魔モブ」は流しの吟遊詩人で、前作の基地や金くれ女と比較してかなり大人しくなった印象である。
前作のあいつらは、ある意味作中で一番強烈だったからなぁ。今じゃ絶対出来ない表現だろうし。まぁ、時代である。
ゲームをクリアーしたらトロフィータイム! ……けど今回はクリア前にあらかたやることやってたんで、ほぼ同時に終わった。
2周やったから、2周やったから!!! 細かい案件も取り零しなく回れたしな。……畜生。1周でほぼ網羅出来てたのに。
ちなみに俺のやったDL版はDLCも含まれている完全版だった。このことは知らなかったんで、気付いて凄く得した気分になった。
まぁDLCの別トロはなかったんだが、それも含めて完全にアサクリ2をやり遂げたのは僥倖だった。後買いのメリット炸裂だった。
そして!! ……PS3版のプレー中に、ネット中古屋でXBOX360版を110円で見つけちまったのよ。そんなん、買うしかないやん。
けどこれはさすがに買うだけでやる気はなかった。今回はPS3版にトロフィーあるから。2機種でやる意義はない。と思う。
しかし、例の進行不能バグに遭遇したことでPS3版をもう1周やる羽目になり、そこから自棄糞でXBOX360版も開始しちまった。
当然、Xbox Series Xでの互換プレーである。読み込み快適、絵は強化、最高である。……もう、やるしかなかった。
PS3版の経験があるから進行は極めてスムーズだしな。てわけで、XBOX360版も実績コンプまでやっちまった。俺偉すぎやろ。
都合3周だよ。ようやるわほんま。もちろん、そんだけやれるいいゲームだからってのもある。よう殺したなぁ……。
ふぅ。今作は、シリーズにおける「エツィオサーガ三部作」の第一作である。つまりあと2作、エツィオ主役のタイトルがある。
そして俺は既に2本とも持っている。……PS3版だが。今からやるなら、上位機種での3本セットにすべきだよなぁ。ごめんよ。
まだまだアサクリシリーズ、そしてエツィオとデズモンドの物語は続く。じっくり追っていこう。……いつまでかかるかね。
後追いしてる以上これはしゃーない。今更じたばたせず、着実に進むのだ。そうして歴史は紡がれる。何を偉そうに。
「自分が正しいと思う道を行け、それでこそ人間だ」……とあるイベントでエツィオが民衆に向かって叫ぶ台詞である。
自由……それは今作のテーマなのだろう。自由は素晴らしい反面、責任や意志の強さも求められる面倒臭さが付随する。
人間、言われたことだけやってる楽さを好む部分もあるのだ。しかしそれでは窮屈だから自由を求める。勝手な生き物である。
でもいいのだ、人間だから。俺はこれからもノロノロとマイペースに後ろからアサクリをやっていこうと思う。
それでいいんだよな、エツィオ? それも自由を求め戦うアサシン達の比類なきゲーム・アサシンクリードファンの自由だよな?
うむ。自由を謳歌していると、不安を感じることもある。だがそれでも自由に我が道を行くのだ。それでこそ、人間だ!!
……最後に。今作では前作主人公アルタイルが残した長い手記を読めるのよね。重要情報から彼の人生観まで色々で面白かった。
その中の一節がさすがの慧眼だったので、転記しておく。
【人間について私が確信をもって言えることがひとつあるとすれば、それは言い聞かされてもなお学ばないということだ。身をもって思い知り、自分で悟るしかないのが人間だ。】
いやーさすがマスターアサシン、人間を熟知していなさる。ほんまになぁ。身につまされた。人殺しは人を深くする、のかのう。
はぁ。
拍手を送る
【メーカー】UBIソフト
【発売日】2009年12月3日
【定価】1650円(DL版 1とセットのウェルカムパック)
【購入価格】1650円(DL版 1とセットのウェルカムパック)
【プレー時間】45時間
【ハード】XBOX360
【メーカー】UBIソフト
【発売日】2009年12月3日
【定価】7329(税込)
【購入価格】110円(中古)
【プレー時間】18時間
去年、13年ほども遅れて、俺は「アサシンクリード」シリーズに足を踏み入れた。本当に長かった。感無量である。
非常に作品数の多いシリーズだけに、評判は幾つも耳にしていたし、そもそも何本も既に持っている。もっとはよやれよ!!
おう、やるよ。……けどそこは俺である。こんだけ遅れて始めるんだから、焦ってもしゃーない。じっくり最初から行こうや。
シリーズプレーの一本目に選んだタイトルは、比類なき初代「アサシンクリード」だった。我ながら誠実やのう。素敵。
初代アサクリは何故かリメイクやリマスターが一切なく、やるなら発売当時のバージョンしかない。ほんま、謎の冷遇である。
だがPS3もXBOX360もバリバリ現役な俺にそれ問題ではなく、結果として両機種でクリアー、XBOX360版は実績コンプを達成した。
PS3版で始めた当初は古くて粗いゲーム性に馴染めず放置に走ったが、自棄糞でXBOX360版を並行開始すると状況は一変。
XBOX360版だけにある実績をプチプチ埋めているうちに、ハマってしまったのである。強制力がゲームを面白くするいい例だった。
ともあれ初代のプレーは大団円で幕を閉じた。その後PSPで「ブラッドライン」もやり、取り敢えずアルタイルの物語は完了。
シリーズは、そして世代は新たな主人公へバトンを渡した。新主人公・エツィオが活躍するのは、「アサシンクリード2」である。
今回は元々持ってたPS3版だけにする。そらそうやろ、同内容を別機種で同時にやるって。おかしいよ。……と思ってたんだがな。
さて、アサクリ2。前作から約2年を経て発売された続編。鉄が熱い内にガンガンに打ちまくって作られた、待望の続編だ。
それはまぁ、大幅にパワーアップしていた。例えばグラフィック。前作は時代背景もあり、全体的に白く無機質な町並みだった。
それが今作では非常に色彩豊かになり、ひと目で進化が分かる。……単純に時代背景が進み、文明が進歩したからとも言えるが。
システム部分も、武器や技が増え、殺し方もかなり豊富になった。それでいてチュートリアルが充実し、自然に色々学べる。
単調で画一的だったサブイベントにも手が入り、ある程度の多彩さと面白さを兼ね備えた良質の寄り道要素に変貌した。
前作では非常に大変だった旗集めも数がグッと減らされ、かつ楽ではない調整で、適度な面倒臭さを持つサブ要素になった。
前作の良さを伸ばし欠点を潰し新規要素を多数追加……実にいい続編、実に良い二作目である。脂が乗ったシリーズなんだなぁ。
……が。一方で前作からまるで進歩のない箇所もあった。不自然さである。俺の命名したところの「半径5mの世界」結界だ。
今作はアサシンゲー、当然ながら多くの人を殺す。イベントで強制される相手はもちろん、衛兵から無実の通行人まで殺せる。
殺人は、一般社会における最大の禁忌だ。それはいつの時代でも変わらんだろう。今作でも当然、そうなると大騒ぎになる。
モブ人達は逃げ惑い、応援の衛兵が駆けつけてくる。……が、それはその場だけ。少し離れた場所に行けば、平穏な日常が戻る。
時間を置いて元の場所に戻ったら、死体は綺麗に片付けられ、モブ人は何事もなかったかのように歩いている。……はぁ。
前作でこの点は盛大に突っ込んだが、初代だということで我慢した。こんだけ不自然なんだから、続編で必ず手直しがある、と。
だが蓋を開けてみれば、ほぼ何も変わらず。他の要素が大きく改良・追加されているのと比べたら明確な手抜きである。
いや、「どうしようもない」のだろう。確かにこれをリアルにしたらゲームが成り立たないことは俺にも分かる。分かるよ。
けど、だったらそもそもこのゲーム自体が、アサシンクリード自体が成り立たないのではないか。なら何故作った!?!?
結局、「大人だろ? 見逃せよ」でしかない。激烈な不自然さに目を瞑ってスルーし、他の「リアル」を楽しむ大人のゲーム。
仕様がない。これが現実なんだよ。アサシンクリードは、「諦めのゲーム」でもある。2作目でそれがハッキリした。終わり。
続く。半径5mの不自然さを受け容れさえすれば、前作より格段に遊びやすくなったパルクールアクションを存分に楽しめる。
街のあちこちを走り、登り、飛び降り、また登る。アサシンに行けない場所などない。その自由さは、強い快感を連れてくる。
この点に関しては、別にパワーアップは感じられないが、前作の時点で十分な出来だったから文句はない。縦横無尽に、動ける。
今作は建物の外装が格段に凝ったものになったから、どこへ登っても前作より高揚感がある。「悪さしてる感」が強いというか。
今作のエツィオも前作のアルタイル同様、どんな高所でぶら下がっても平然としている鋼の胆力を持つ。マジで化け物である。
そんなエツィオが地上10メートルはあるであろう建物に登っていく行為は……楽しい半面、操作していても心底怖い。
これも前作であった特徴を今作でも受け継いでいた。アサクリで高所に登ると、冗談でなく怖い。ひぃいいと悲鳴が口をつく。
この現象自体は3Dアクションでなら、それこそゼルダ時オカの頃からあった。けどアサクリのそれは別格で強烈だと思う。
体術だけで登ってるからなのか、建物が現実的だからなのかは分からんが、とにかく高さに謎のリアリティがあり、超怖い。
更にアサシンはそんな超高所から、地面の藁束に向かって「イーグルダイブ」をし、無事着地する。本当に頭がおかしい連中だ。
地上10mから藁束に向かってダイブするだけでも狂気だが、正確に落ちるし無事だし!! 中に石でもあったらどうする!!!
パルクール周りは、こういうのが好きなら大いにハマれるだろう。俺も何だかんだってかなり魅せられていると思う。怖いし。
ちなみに死んでもリスクなく再開可能だから、嫌になったら飛び降り自殺するのも一興。それもまためっちゃ怖いけど、な。
自殺こそは「バーチャル体験」の究極だと俺は思ってる。こればかりは現実で絶対に試せないし。ゲームで存分に楽しもう。
では現実では「ほぼ」試せない行為の一つ、殺人はどうか。今作はアサシンのゲームだ。クリアーまでに三桁は軽く殺す。
先述のようそれはゲーム中で非常に「軽い」ことなので、気に入ったなら幾らでも殺せる。モブ人は文字通り幾らでも湧くし。
……ちょっと危険だからこの考え方は止めよう。ともあれ殺人は今作の要だ。殺しなくして未来なし。あさしんだもの。
今作では敵の武器を奪えたり、後半では何と鉄砲が使用可能になったりと、かなりの改良が見られたが……うーん。
「根本的な部分では変わってないな」と。基本的に狙うのはカウンターで、それ以外の攻撃は効率が悪い。やる意味を感じない。
こちらの攻撃はほぼガードされるので、何度も切りつけてそれを崩すしか無い。そこの面白味がなく、ただ面倒臭いだけだ。
一方カウンターは一発入れるだけでいい。まぁ中盤からはカウンターもガードされるが、ダメージは通るからいずれ倒せる。
前作では無法の強さだった投げナイフは調整が入り、近距離ではほぼ役立たず。鉄砲も予備動作が長すぎてほぼ無価値。
武器も技も色々増えたが、それを使いこなしても強くはなれないのよね。少なくとも俺の場合は強くなれる気がしない。
だから一番効率の良いカウンター狙いに行き着いてしまう。後はアサシンブレードを使った一撃必殺のランダム発生を狙ったり。
この世代のゲームとしては質が高いとはお世辞にも言えない。戦闘がメインじゃないからいい? アサシンなのに? うーむ。
アサシンというと機械的・計画的に人を殺すイメージだが、今作でも前作と同様、泥臭い大立ち回りを演じてばかり。ダサい。
それもこれも「暗殺」を真面目に作ると、ゲームにならないからだ。仕事が一瞬で終わり、失敗時のフォローもとても描けない。
そのためこんな泥臭い不自然な大立ち回りをするアサシンが生まれてしまう。……もしかして実際に昔の暗殺ってこういうもん?
半径5mの不自然さと共に、殺人アクションのつまらなさも改善されていなかった。「無茶言うなよ」ってことなのかもしれない。
戦闘難度が全体的に低く、どうにでも勝てることからも、どこか製作者の諦めを感じる。「緩いがこれで勘弁してくれよ」って。
初代で妥協しても、続編では頑張ってくれと思ってたんだがな。まぁ更なる続編に期待するか。さすがにこのままじゃなかろう。
ちなみに、今作も子供は特定イベントを除いて一切登場しない。故に一切殺せない。そらそうか。……温いよね。はぁ。
サブ要素。前作では異様に画一的なネタばかりで、しかもやってることが不自然だから違和感しかなく、ただの埋め要素だった。
それが今作では随分と色付けされ、割と楽しい寄り道になっていた。無論報酬もあるので、ゲーム進行上もやって損はない。
暗殺ネタは軽い物語が用意され、スピードランはやり甲斐があり、浮気男を殺さずお仕置きするミッションなんてのもある。
そして一番デカいのは、前作から引き続き用意された「羽集め」だ。全100枚がマップ各地に配置されている。ヒントなし。
これに関してはもう、先人が集めてくれた情報を頼るしかなかった。つまりネットガン見。しゃーない。自力の意義ないからな。
作業ではあるが、前作ほど多くないし、収集の快感はあるから、意外と悪くなかった。人間は根源的にこういうの好きだな。
また羽という対象に何の根拠もなかった前作と違い、今作では「亡き弟が欲しがってたもの」という熱い動機がある。
羽を集めることで、その弟の死により塞ぎ込んでる母親を慰められるというのもいい。殺人塗れなゲームにおける尊い家族愛だ。
……で。俺は今回、この羽根集めで大被害を食らったのよね。あれはもうゲームも終盤、ラスボス戦に挑む直前のことだった。
クリア後にやってもいいが、ラスボス前にサブ要素全部埋めとくかと色々動いたのだ。当然、羽も苦労して全部集めた。
んで。今作には「既に終えたイベントを追体験する」モードがクリア前から搭載されている。VR体験という作りならではだな。
俺はこの機能を全く使ってなかったんだが、その時たまたま、あるダンジョンのクリア前まで飛ぶ選択を選んでいた。
それが多分ダメだったのだろう。「今は正当な時間軸じゃない」ことを忘れ、集めた羽を投入ボックスに入れてしまった。
そこから母親とのイベントになるのだが、何故かそれが途中シャットアウトされ、場面が戻ってしまった。????
……終わってた。その状態からラスボス戦に行こうとすると、何故か母親イベントが再度実行され、操作を受け付けなくなった。
色々試した。リセットはもちろん、もう1回過去に戻って再び引き返したり、自分で想像できるフラグ弄りは全部やってみた。
でも無駄だった。何をやっても、拠点に戻るだけで母親イベントが始まり、操作不能に。完全に進行不能バグだった。
今作はセーブデータの複製が不可能で、かつ完全オートセーブである。お分かりだろうか。詰み、詰みである。マジ対処法なし。
そこまでじっくり25時間はプレーしていたのに……久々にゲームのバグで嘆いたよ。殺しまくった衛兵の呪いかとも思った。
PS3版のプレー時間が長いのは、ここで最初からやり直したからである。……ほんまはもう止めようかと思ったよ、マジで。
終盤も終盤での悲劇だったからね。偉いなぁ俺。2回目のプレーは死ぬほどビクビクしながらだったことは言うまでもない……。
拠点と言えば、エツィオの拠点となる小さな町を発展させる遊びも今作の売りの一つだ。つってもそんな大したものではない。
教会や商店といった施設の増強に金が要るからくれと言われるので渡せば町が発展し、それに合わせ貰える上納金が増える。
そう、今作には金の要素もある。武器防具の購入から賄賂まで幅広く使い道がある。中でも一番大きいのがこの町への投資だ。
しかし調整がテキトーで、中盤までは面白いものの、割とあっさり町は発展上限に達し、その後は金があまりまくる。
武器や防具もすぐ最高性能を買えてしまうのでますます金に意味がない。昔のゼルダシリーズを思い出す調整不足だった。
まぁ金も町発展も要素としては面白かったので、これは次回作に期待しよう。この部分は大いに進歩を望める。多分。
尚、金の使い道で一番楽しかったのは、「その場にばら撒く」だったりする。通行の邪魔になるモブをこれで排除出来るのよ。
撒く金は1回10円で、数十万も余る終盤ならまさに端金だ。それを地面に投げつけると、大喜びで拾い始める貧乏人共。
……ぬっかっかっか、なんて気分の良い!! 前澤氏の気持ちが分かる新要素だった。ヤバいか。でも楽しめたからよし。はぁ。
サブ要素には一つ、デズモンド側のネタもある。まぁそれも動かすのはエツィオなのだが、現代編に対するメッセージ解読だ。
要はアニムス(DNAからVR体験をする機械)にデズモンド以前の被験者が残した暗号メッセージらしい。それが偶然発見された。
メッセージは多数に分割されフィールドに隠されていて、更に発見して謎解きをすることでやっと内容を知ることが出来る。
しかし断片的な情報だけでは中身が薄く、全部集めてひと繋ぎにしなければ殆ど意味不明だ。今作で最も厳しいパズル要素だ。
まそれはいいんだが……ここで提示されるパズルが、意味不明なんよね。いやパズル自体じゃなく、その題材が。
歴史上の名画や戦争写真を引用したシンボル探しやルールさえよう分からん数字合わせ等、ほんまやってて「???」だ。
歴史的資料を扱う案件は、その生生しさがオカルト的な怖さを醸しており、なんか急にホラーゲームやってる気分になった。
この要素は何なんだろう。いや最終的なメッセージは「そういうことか!」と面白かったんだが、パズルの内容が、ね。
終盤のパズルは非常に難しく、つーか知識がないと無理っぽいのもあったので、ここはネットを頼った。しゃーない。OK。
「真実」……重い言葉である。俺みたいな奴は真実に辿り着けないし、仮に辿り着いてもそれが真実と気付かない。はぁ。
あとダンジョン。今作はリアル寄り設定なのに、もっとゲームゲームしたかったのか、幾つかダンジョンが投入されている。
何やら過去の先輩アサシンらの墓という設定だが……なんでそれがダンジョンになってんの。仕掛けは誰が作ったのよ……。
まぁツッコミは抑えよう。今作のダンジョンは「難しめのアスレチックを求められる」作りだ。宝物は最後に一つあるだけ。
普段街でやるパルクールは、難しいものは殆どなく、感覚でテキトーにやればいい。方法も複数用意されており、自由度がある。
それに対しダンジョンのパルクールは難度が高く、正解も一つだけなものばかり。まず正解に「気付き」、その後練習が必要。
街でテキトーなプレーをしていたら、かなり面食らうだろう。逆にパルクールを楽しんでいたなら、歯応えにニヤリとするはず。
俺は後者だったので、6つほどあるダンジョンはどれも大いに楽しめた。この追加要素は文句なしだ。……設定さえ無視すれば。
ダンジョンがあること自体不自然なのに、更に衛兵が警備してるからな。なんやねんここは。アサシン先輩の墓ちゃうんかいな。
このシリーズは「ブッ飛ぶ部分は徹底的ブッ飛ぶ」方針で作ってるんだろうなぁ。史実? リアリティ? ふふっ、「ゲーム」。
物語。今作で一番気合を感じたのはここだった。シナリオもキャラも、前作より遥かに綿密に作られていたと思う。
まず今作、前作と同様「現代編」が存在し、そこでの主人公「デズモンド」のDNAを辿って見る記憶がエツィオの活躍となる。
そのデズモンド編もかなりキッチリ描かれ、前作での監禁ビルから脱出し別の拠点へ向かうところからゲームが始まる。
……尚、ここで協力するのが、前作でも登場した女性研究員「ルーシー」なのだが……いや、あんた誰よ? ルーシー何処よ!?
ルーシー、前作とは似ても似つかない姿になっててほんまビックリ。具体的には美人になり、スタイルも一気にモデル体型に。
恐らく営業的理由なんだろうけど、時系列的に完全に繋がってる続編でこんなことしてええんかいな。これもブッ飛び要素か。
脱出から拠点への移動はチュートリアルにもなっていて、その辺余念がない。「DNAの記憶」という設定も相変わらず良い。
メインは当然エツィオ編ながら現代編にも気合は入っており、手抜きはない。デズモンドも一気に強くなり、続編が楽しみだ。
……セルフパロとして、ルーシーの変貌に驚くシーンを入れてほしかったな。それくらいすべきやろ。UBI、凄い会社である。
そして舞台はメインの中世イタリアへ。……なんといきなり出産シーンから始まる。生まれるのは主人公・エツィオだ。
さすがに上半身しか映されないが、エツィオの母親がいきむ姿が生々しい。これ見せられて客喜ぶか? UBI、凄い会社だ。
その後一気にエツィオ17歳へ。彼は貴族家の次男として奔放に暮らし、この時点では街の不良少年といった立ち位置だった。
不良グループを率いて他の陣営と喧嘩し、夜は恋人の部屋に夜這いへ行く……そんな生活を楽しんでいた彼に、悲劇が訪れる。
ある日突然、父親と兄、弟の3人が捕縛され、裁判も何もなく、首吊り刑に処されたのだ。エツィオはそれを間近で見てしまう。
怒りを爆発させるエツィオは、同時に父の裏の姿、そしてアウディトーレ家の本当の使命が「アサシン」であることを知る。
彼は周囲の協力者により鍛えられ、アサシンとしての力をつけていく。いつか家族を謀殺した奴に復讐するために。
前作のアルタイルは始まった時点で完成されたアサシンで、生い立ちの描写は殆どなく、顔もずっとフードで隠されていた。
それに比べるとエツィオの作り込まれ方は、ゲーム界全体で見てもかなりのものだと思う。今作はエツィオのためのゲームだ。
内面も、軽い性格ながら正義感が強く(ただし人殺しに躊躇は皆無)、プレーヤーの分身として嫌味のないいいキャラだった。
基本はフードを被っているが素顔を出す場面は何度もあり、その顔もイケメン過ぎず、なんつーか親しみやすい。
彼を取り巻くサブキャラも、ワガママ気味な妹に豪放な叔父、そしてあのレオナルド・ダ・ヴィンチと皆個性的で魅力がある。
エツィオを軸に紡がれるアサシン教団とテンプル騎士団の闘い、「預言者」の謎、そして「秘宝」の在り処……色々熱い。
バグにより2周やる羽目になったが、それにより物語の理解度が深まったのは良かったと思う。少なくとも前作よりはずっといい。
イタリアの建物や人物、出来事を上手くゲームに絡めている(らしい)のも今作の魅力だろう。イタリア好きなら最高だろうな。
……が。今作の物語には大きな問題がある。「長い」のだ。ゲームとしてじゃない。シナリオ上で経過する時間である。
最初、エツィオは17歳。家族惨殺の悲劇が発生し、復讐のため叔父の家で2年修行に明け暮れ、いよいよ行動開始。
そしてEDを迎える頃には? なんとエツィオ、40歳である。冒頭から23年も経過していた。表示された年数にめっちゃ驚いたよ。
今作は章立て構成で、章の初めに西暦が表示される。その増加具合にはずっと違和感があったが、最後に至ってはもう叫んだよ。
だって、20年である。23年である。そしてエツィオの最大目的は「復讐」だった。……そんな長い期間、復讐心って保つか?
「保つよ、俺も〇〇を20年頃したいと思ってるよ!」て意見もあるかもしれない。……君はもう忘れろ。それはともかく。
俺は非常に無理を感じた。23年である。エツィオは半生以上、復讐心を持ち続けたことになる。全くリアリティを感じない。
今作のシナリオは史実と整合性を取る必要があるので、その辺の絡みなのだろうが、にしても長すぎ、おかしすぎである。
これだけの期間活動していたなら、家や家族も必要なはずだが、エツィオには拠点はあってもそういう描写はない。
女好きなことは多く描写されてるのに、子供いないのおかしいやろ。何度も言うが、23年である。せめて10年だろうと。嗚呼。
またエツィオはアサシンとしてずっと活動しているが、叔父ら仲間に認められるのはずっと後で、もうゲーム後半だった。
つまり30後半くらいまでは半人前扱いだったわけだ。……おかしいやろ。その歳なら寧ろ後進育成に入っていなきゃならんわ。
その叔父ら周辺人物も、20年経っても絵に殆ど変化がない。娼婦のお姉さんとかいつまでそんな若いのよ! 全然OKだよ!!
妹は23年間結婚もせず帳簿仕事に従事かよ! 超真面目だな! 母親は23年間も塞ぎ込んでるんかよ! その割にずっと若いし!
色々と年齢と年月に矛盾……ではないかもしれんが、違和感ばかりが噴出する。まして今よりずっと平均年齢が低い時代だぞ?
全体の流れは良い。エツィオの成長(殺人者であることはこの際目を瞑る)、協力者との絆、明かされる謎……どれも良かった。
これが10年で纏まっていれば、もう手放しで絶賛したかもしれない。けど23年はない。ンな長く人間の気持ちは続かないよ!!
こういう形でガッカリ来るのは初めてだな。惜しいわ。40歳のエツィオは、復讐を遂げて心が晴れたのだろうか……。
グラフィックは、建物も人も大幅に綺麗になってたと思う。同ハードで、前作もハイレベルだったのに、大したもんだわ。
おかげでパルクールが盛り上がった。……まぁもちろん結局は画一的な建物が並ぶ、あり得ないOWだけどな。しゃーない。
あと今作でもやはり扉には一切入れず(モブも入らない)、書き割りの奇妙な建物ばかりだった。ゲームの限界かのう。
一応Z指定ゲームなので、殺人の残酷さはある。……ただ正直、血飛沫よりもハンマーで殴殺することの方がエグかったが。
音楽も、印象に残るわけではないが、とにかく長い時間歩き回って長く聴いたから、不思議な愛着が湧いた。
スポッチにサントラがあったから愛聴している。最近はスポッチのサントラには本当に助けられてる。インターネット万歳。
またフルボイス&日本語完全対応で、エツィオの声は関智一と、お金もかかっている。叔父の大塚明夫も何かニヤリとした。
前作で「うるさい」レベルだった街なかのモブの声は控えられ、静かにパルクールに耽ることが出来た。無論少しは騒がれるが。
それにしても、目立つアサシンやんねぇ。闇夜でやるならともかく、昼間に人前でいきなり屋根に登り始めて……。
あと今作の「通行お邪魔モブ」は流しの吟遊詩人で、前作の基地や金くれ女と比較してかなり大人しくなった印象である。
前作のあいつらは、ある意味作中で一番強烈だったからなぁ。今じゃ絶対出来ない表現だろうし。まぁ、時代である。
ゲームをクリアーしたらトロフィータイム! ……けど今回はクリア前にあらかたやることやってたんで、ほぼ同時に終わった。
2周やったから、2周やったから!!! 細かい案件も取り零しなく回れたしな。……畜生。1周でほぼ網羅出来てたのに。
ちなみに俺のやったDL版はDLCも含まれている完全版だった。このことは知らなかったんで、気付いて凄く得した気分になった。
まぁDLCの別トロはなかったんだが、それも含めて完全にアサクリ2をやり遂げたのは僥倖だった。後買いのメリット炸裂だった。
そして!! ……PS3版のプレー中に、ネット中古屋でXBOX360版を110円で見つけちまったのよ。そんなん、買うしかないやん。
けどこれはさすがに買うだけでやる気はなかった。今回はPS3版にトロフィーあるから。2機種でやる意義はない。と思う。
しかし、例の進行不能バグに遭遇したことでPS3版をもう1周やる羽目になり、そこから自棄糞でXBOX360版も開始しちまった。
当然、Xbox Series Xでの互換プレーである。読み込み快適、絵は強化、最高である。……もう、やるしかなかった。
PS3版の経験があるから進行は極めてスムーズだしな。てわけで、XBOX360版も実績コンプまでやっちまった。俺偉すぎやろ。
都合3周だよ。ようやるわほんま。もちろん、そんだけやれるいいゲームだからってのもある。よう殺したなぁ……。
ふぅ。今作は、シリーズにおける「エツィオサーガ三部作」の第一作である。つまりあと2作、エツィオ主役のタイトルがある。
そして俺は既に2本とも持っている。……PS3版だが。今からやるなら、上位機種での3本セットにすべきだよなぁ。ごめんよ。
まだまだアサクリシリーズ、そしてエツィオとデズモンドの物語は続く。じっくり追っていこう。……いつまでかかるかね。
後追いしてる以上これはしゃーない。今更じたばたせず、着実に進むのだ。そうして歴史は紡がれる。何を偉そうに。
「自分が正しいと思う道を行け、それでこそ人間だ」……とあるイベントでエツィオが民衆に向かって叫ぶ台詞である。
自由……それは今作のテーマなのだろう。自由は素晴らしい反面、責任や意志の強さも求められる面倒臭さが付随する。
人間、言われたことだけやってる楽さを好む部分もあるのだ。しかしそれでは窮屈だから自由を求める。勝手な生き物である。
でもいいのだ、人間だから。俺はこれからもノロノロとマイペースに後ろからアサクリをやっていこうと思う。
それでいいんだよな、エツィオ? それも自由を求め戦うアサシン達の比類なきゲーム・アサシンクリードファンの自由だよな?
うむ。自由を謳歌していると、不安を感じることもある。だがそれでも自由に我が道を行くのだ。それでこそ、人間だ!!
……最後に。今作では前作主人公アルタイルが残した長い手記を読めるのよね。重要情報から彼の人生観まで色々で面白かった。
その中の一節がさすがの慧眼だったので、転記しておく。
【人間について私が確信をもって言えることがひとつあるとすれば、それは言い聞かされてもなお学ばないということだ。身をもって思い知り、自分で悟るしかないのが人間だ。】
いやーさすがマスターアサシン、人間を熟知していなさる。ほんまになぁ。身につまされた。人殺しは人を深くする、のかのう。
はぁ。
拍手を送る
アサシンクリード2はゲーム内で23年も経つんですか。なんというか、凄いですね
3部作なので、きっとエツィオの生涯を描ききるんでしょうね。大河ドラマならぬ大河ゲーム。壮大ですね
子供は『オリジンズ』でも殺せないようになってましたね。普通に道端にいるんですが、攻撃しても子供にはダメージを与えられないようになってました
しかし一番いい時期を1作目で使い切ってるので、続編で盛り上げるのが大変だと思いますw
若い時期に様々な場所で凄まじい経験をしたのに内面があまり変わってないように感じられるのは、良いのか悪いのか。
>普通に道端にいるんですが、攻撃しても子供にはダメージを与えられないようになってました
ああ、そう逃げましたかw ハード性能向上で何でも表現できるようになっても、何でも表現できるわけじゃないんですよね。
一番好きなアサシンです(まあ3までしかやってませんがw)
ちなみにアサシンクリードリネージという実写映画はご覧になりましたか?
確か2の限定版に含まれていたものでエツィオの父ジョバンニが主人公の2の前日譚となる話です
もう一つ補足としてリベレーションのその後を描いたアサシンクリードエンバースというCGの映像作品もあります
こちらはリベレーションの限定版に含まれていたものでこれをもってエツィオ編が完全に完結となります
前者は正直見なくていいかもですが後者は是非見て頂きたいですね
現在では上記の方法の他にエツィオコレクションにも収録されてるみたいですね
観ました、観ました。でもあんまし面白いとは思いませんでした。当時大好評だったらしいですが、そんなに高品質かな?
弟の存在がバッサリ削られてるのと、吹き替え声優がゲームと違うのはどういうこっちゃねんと突っ込んでしまいましたw
>リベレーションのその後を描いたアサシンクリードエンバースというCGの映像作品もあります
え! こっちは知りませんでした。そんなのもあるのか……しかもこれがエツィオ編の本当の最後ですか。
一応ネットに上げられてはいるようですね。うーん……割れはしたくないけど、もう古いし観ちまうか……。