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開かずの国道で知られたR425,とりわけ尾鷲~池原ダム区間は自然災害によって通行止めになっていることが多い.2022年4月時点,通行止めの規制がないということで,尾鷲市街から池原ダムを目指して走行してみることにした.
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おそらく1年振りとなるシニゴー線の走行だ.この尾鷲~池原ダム区間は,道幅もそこそこあって,路面状況もいいのでR425の中では比較的に走りやすいと言える.快調に進んでいき,真っ赤な出合橋のたもとで,一息入れる.
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坂本貯水池の荒涼とした風景は,人工物が一切なく,大自然のど真ん中にいることを実感させてくれる.このような場所は,今の日本には中々ないと思う.そして,この時期の湖畔は新緑の樹木がとてもきれいだ.湖面が樹木の色を反射して,緑色に染まって見えた.
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順調にシニゴー線名物である不動橋までたどり着く.この橋の正面から,銚子滝と不動滝を拝むことができる.坂本貯水池の水量は,少ないように見えたが,滝の水量はなかなかのものだ.ここまで水量のある不動滝を見るのは初めてかもしれない.
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不動橋を通過すると,その先に坂本ダムが現れる.そして,坂本ダムまで来れば,池原ダムまで目と鼻の先だ.シニゴー線の走行も終盤を迎え,いつものように砂防堰堤前にある廃屋の前で定点撮影を行う.やはり水量がかなり多いようで,堰堤が水のカーテンを形成していた.
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ところで,この廃屋は一体何だったのだろうか.元々の集落はダムの底に沈んでしまったわけなので,一軒だけ国道沿いに民家があるとは思えない.作業小屋か茶屋のような休憩施設のどちらかだったと思われる.もう役目を果たすことのない消火器が虚しそうに横たわっていて,哀愁を誘う.
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3年目を迎えたコロナ禍の4月末の日のことだったが,結局,ここまでのあいだ誰一人とも出会うことはなかった.大瀬水没の碑の前で,再び休憩を入れる.ここは芝生が整備されていて広々とした駐車スペースがある.かつてを偲ぶ人達によって,定期的に管理されているのかもしれない.
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そして,あっという間の内に池原ダムまでたどり着く.ダムサイトは妙に静まり返っていて,音のない世界のように感じた.時折,堰堤直下にあるキャンプ場から人の話し声が聞こえてくるのが,より一層,周囲の静寂さを強調しているように思えた.このあと,下流にある七色貯水池で,オートバイのオドメーターが記念すべき数字を刻むのだった.
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