織内将男の山旅の記録

若かりし頃よりの山旅の記録です・・!!

南ア・鳳凰三山紀行(18) 「信仰の道」

2012年06月02日 | 南ア・鳳凰三山紀行
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南ア・鳳凰三山紀行(18) 「信仰の道」



燕頭山からの登山道1


燕頭山からの登山道2





空身であるが地元の女子高の山岳部パーティが、われ等をあっと言う間に追い抜いていった。
女子とは言いながら大したもんだと半ば感心しながら、そんな時、フト自分の年齢と体力について水平思考が脳裏をかすめる。
年甲斐もなくこんな重荷を背負い、苦行しながら何で山に登らなければいけないのか・・?。
尤も、苦しい山登りの最中には時折、このような愚問が頭をよぎる。
「クソッ、・・!!」
「あと何時間、こんな思いをしなければならないんだ・・!!」
だが、いつもの事ながら納得のいく、答えは浮かんでこない内に時だけは過ぎ去ってしまうのである。
一歩一歩、左右に重心を慎重にかけながら、確実に歩調は進んでいる。
それにしてもウンザリするほどの物凄い急登の連続である。


混成林の中の登りを登っていくと時々大きな松の大木がある。
見上げながら脇を抜けていく。
半分朽ちた大木には大きなサルノコシカケもついている。
しばらくは展望のきかない登りをひたすら登って行く。

まだ青々とした林の中を登って行くと左側で治山工事をしている場所を通過する。
それにしても大きな崩落防止の工事だ。
この山は、未だ活動期の山岳らしく、いたるところに崩落している谷があり、そのうち登山道も崩壊してなくなってしまうのではなかろうかと不安にもなる。

尾根筋の樹林の開けたところで左手を見ると、韮崎の平地越しには中央に茅が岳、その後ろに国師が岳、金峰山といった奥秩父の名山が雲に浮かぶように見えている。
1時間ほどで西の平という石空川渓谷(いしうつろがわけいこく)からの分岐に出た。


まだまだ急登は続く。
西の平から1時間近く歩いていると、右手(北)に木々の間から八ヶ岳連邦が見られた。少し登った左手(南東)の開けた所から富士山も見られる。
しかしながら急坂は途切れることなく続く。
なおも樹林の中の道を進むと何故か七合目の石柱のある広場に出た。
普通、「合目」の標識のある山はほとんど1合ごとに標識が建っているはずであるが、ここでは突然7合目が現れた。
昔は信仰登山が盛んだった頃は、列記とした案内柱があったのであろうが、次第に風化してしまったのであろう。
ただ、昔の信仰登山のルートは石空川渓谷からが一般的だったらしく、このルートには石仏や道祖神、合目を表す高度標柱などが苔むして風化しながら未だ存在しているらしい。

ところで直下の石空川渓谷には、北精進ヶ滝と呼ばれる高さ120mの大滝がある。 
山を隔てたドンドコ沢にある南精進ヶ滝と区別するために北精進ヶ滝と称しているが、元来は精進ヶ滝といえば当滝を指しているようである。

鳳凰山を信仰する行者が石空川を遡行する経路を辿る場合、この滝で斎戒沐浴(さいかいもくよく;沐は髪を洗う、浴は体を洗うの意で、心を清め身を洗うこと)する事からその名がついたとされている。 
北精進ヶ滝は、日本の滝百選の一つでもある。
又、石空川の北沢には「行者の滝」という名滝もあり、何れも信仰登山の行者に縁のある名前がついている。

現在、滝ブームと言われる。 
石空川渓谷も林道がかなり奥まで開削されていて、名の通った北精進ヶ滝やその他の滝を見物すために多くの人々が訪れているらしい。
この名瀑布を次の機会にでも訪れてみるか・・?。

尚、昔の信仰登山のルートであった石空川渓谷から燕頭山(つばくろあたま)へ到る道は現在では一般ルートでは無くなっているようだ。
 

次回、「石碑・不動明王」




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