昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

ミザール10cm反射

2021-08-20 | 天体望遠鏡
 かつて、10cm反射はいくつものメーカーが製作していた売れ筋の望遠鏡だった。その中でもミザールのH100は、ベストセラーだったのではないかと思う。その頃天文ガイドの裏表紙の内側は、ミザールの広告の指定席で、「いま一番日本でよく売れている」の枕詞も忘れられない。手元に同社の10cmF10鏡筒があるが、R100型という経緯台のもので、耳軸と上下微動竿が取付けてあったところに穴があるものだが、基本的にはH100と同仕様の鏡筒である。譲ってもらった際には、主斜鏡のメッキが劣化し、ヘリコイド式の接眼部が微動リングを回しても前後しない状態だったが、ミザールに問い合わせたところ、対応可能という事だったので、修理をお願いし見事に蘇っている。

 ご存じのように、この望遠鏡の最大の特徴は、ヘリコイド式接眼部であろう。修理後の接眼部は、ビスの打ち直しによって、一番奥まで収納できなくなったのだが、そのことによる支障は小さく、それよりも少しのガタもなくスムーズに動くようになったのには、驚いたものだ。ちょと回転が重いような気もするが、精密なピント合わせには有用だと思う。

 この鏡筒は初期のタイプで、ファインダーは二本脚のタイプである。ファインダー本体が付いていなかったので、3cmファインダーならどれでも合うだろうと同社のものを入手したのだが、後期型の全長の短いファインダーだったようで、残念ながら合わなかった。そうすると、悪い癖なのであるが、正規の状態それもなるべく綺麗な姿に、戻したくなってくるのである。その結果、長焦点のものを何本か揃えることになってしまっている。架台も中古のH100赤道儀を購入したのだが、どういうわけかタバコのような匂いがして、好みの状態ではなかったので、手持ち望遠鏡の有効利用を口実に、同口径の鏡筒バンドを持つT社の赤道儀まで入手してしまった。古い望遠鏡を入手すると、このように周辺の部分まで手が広がってしまうので、注意が必要なのである。

 後日、同社のカメラアダプターを手に入れたのだが、箱の中には接続金具が数種類付属していた。その中には、なんと30.5mm用の接続リングまであるではないか。これは昔のH100(R100)鏡筒などの接眼筒の規格であり、ミザールが昔の望遠鏡のユーザーも大切にしているということを知り、うれしくなったものだ。




 接眼筒の繰り出し量は、約27mmである。




 主鏡側である。押し引きネジが、周辺より奥まった位置にあるため、鏡筒を立てかけることができる。ただ主鏡保持部は、鏡筒側リングの内側へすっぽり入る所に位置していれば、もっと良かったであろう。




 観望の際には、アメリカンサイズの接眼鏡を利用することが多いので、使用しているADについて紹介する。
 上方は、ドイツサイズのオリジナル接眼ADで、取付けネジの規格は30.5mm径のピッチ0.75mmである。下方は、左から30.5mmのオスを、36.4mmピッチ1mmのオスにするリング。真ん中は、36.4mmピッチ1mmのメスメスのリング。右は、一般的なオスの36.4mmピッチ1mmネジを持つアメリカンサイズADである。この組み合わせで、アメリカンサイズの接眼鏡を利用している。



 アメリカンサイズADを取り付けたところ。これで、格段に覗きやすくなっている。



 同社のカメラADを、紹介する。
 真ん中の部品の下部には、見えていないが30.5mmのネジがある。これを、まず接眼筒に取付ける。右の部品は、真ん中の部品にそのまま被せることができる。



 対象を確認する際の状態。



 写真を撮影する際の状態。実際には、この上にカメラが取り付く。

 ミザールは、各地の星まつりに出店しているので、いつも寄らせてもらっている。HPもいろいろ工夫されており、楽しいものだ。同社には老舗として、マニア向けの製品も是非作ってもらいたいと思う。