ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「万引き家族」

2018-08-26 | 映画のお話



話題の映画、
ロングラン上映もそろそろ終わりというので慌てて見にでかけた。

今年のカンヌ国際映画祭ではパルムドールを受賞した作品
観ておかなければ・・・

是枝監督の作品は「誰も知らない」「そして父になる」は覚えているが
「歩いても 歩いても」「奇跡」も観ているようだ。

最初に観た「誰も知らない」は、特に印象深かった。

何年前だったか、何かのイベントで
監督を迎えての上映会があり、話を聴いてみると、なかなかユニークな人物だと感じた。
大学時代の教育実習の話が面白かった。

私の観たどの作品にも必ず子供が出てきていて、テーマはいつも家族だった。
確執だったり、希望だったり、絆だったり、子供たちの姿と家族のつながりが取り上げられている。

役者経験のない普通の子というより、やんちゃな子供らしさを持ったタイプの子供を見い出しては
本来の素の子供の姿が見られる作品にしているようだった。

ベテランの俳優陣の中でそんな素人の子供たちが生き生きとしている。
樹木希林やリリー・フランキーはおなじみだが
今回妻役の安藤サクラは、名前だけは知っていたがなかなかの演技派だった。

高層マンションの谷間にある崩れかかるような様相の古い平屋。
雑然とした部屋、ユニットバスではない昔懐かしい風呂。

何だか現在から取り残されたような光景、そして寄せ集めの家族

食事のシーンが何度も出てきてどれも美味しそうだ。
家族で食べるたっぷりのなべのシーンは熱々でにぎやかだ。

はきだめに投げ出されていようなた子どもを一人、また一人と拾ってくる。
掬い上げてきたという感じが近いかもしれない。

偽りの家族体験とはいえ
楽しい食事風景も、みんなで食べるおいしさも、笑いあう暖かさもすべて体験できたのだから
これからの人生にはきっとプラスになるはずだろう。

複雑な立場での慰謝料という名のわずかな年金、
危険だが労災もない日雇いの仕事と怪我
劣悪な環境での最低賃金すれすれのパートはいつでもすげ替えられる危うさだ
人というより物としての扱いだから代わりはどこにでもいる

世の中のひずみが大人をゆがめ、いつでもそれは子供に覆いかぶさってくる

貧しいはずだが、タバコを吸い、酒を飲み、普通に食べて暮らす

そのために生活の糧を万引きで得る生活
綱渡りだが、それぞれの過去があり、生き延びてきたのだ。

学校にも行っていないけれど、拾った教科書で読んだスイミーの話は、
新鮮で感動的で少年を突き抜けてゆく。
万引きのほかに「教えることができなかったのではないはずだ

心優しく、温かく、けれど、シビアで
お金のためならやれることはとりあえず何でもやるしかない


いつか、またどこかで再会する日があるだろう

その時は皆どんなふうに変わっているのだろうかとふと思う











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