大倉草紙

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【東京】 特別展 江戸の粋・明治の技 柴田是真の漆 × 絵 (三井記念美術館)

2010年01月12日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
12月12日(土)
当日の行程:(東京メトロ・日本橋駅) → 【安井曾太郎の肖像画(ブリヂストン美術館)】【特別展 江戸の粋・明治の技 柴田是真の漆 × 絵(三井記念美術館)】 → (東京メトロ・日本橋駅~神田駅…JR・神田駅~お茶の水駅) → 【大名と領地 お殿様のお引っ越し(明治大学博物館)】 → (東京メトロ・新お茶の水駅~日比谷駅) → 【ユートピア -描かれし夢と楽園-(出光美術館)】


勝手な想像だが、柴田是真は、イタズラ好きだったに違いない。
例えば、カップにコーラを注ぎ「コーヒーをどうぞ」とすすめ、それを飲んだ瞬間に驚く人の顔を見てはガハハと笑うような。
コーヒーだと思ってコーラを飲まされた人は、一瞬ムッとするかも知れないが、すぐに一緒にガハハと笑うだろう。
んー、私のような凡人の考えうる例えは的確じゃなかったかも。
兎にも角にも、うっとりするほど見事で、お茶目な騙しっぷりを披露してくれる。
こういう騙され方は、騙されるほうも楽しい。

『紫檀塗香合』と書かれているが、これはフェイク。
紫檀を使ってなんかいない。
木材に漆を塗り、紫檀かのように仕上げているのだ。
ワザと干割れを入れてかすがいを打っているところが、なんともニクイ。

『砂張塗盆』も、だまし漆器。
「砂張」とは、銅の合金。
ところが、漆の下は紙という「なんちゃって砂張」なので、手に取った人はずっこけてしまうだろう。

『花瓶梅図漆絵』は、和紙に漆を塗り、紫檀の木目を刀で彫ったというもの。
額に入っているように見えるが、実はこの額も描かれている。
結構な大きさなのだが、総重量は450グラム。
ここまでして騙すか……。

騙しだけではなく、そのデザインの斬新さも目をひくものがある。


『流水蝙蝠角盆』


『雛飾り図』
こんな角度からの雛飾りを描くなんて!

『瀑布に鷹図』は、鷹が滝に映る自分の姿を見つめている図。
不思議な感じがした。

そして何といっても素晴らしいのは、『柳に水車文重箱』だろう。

くしべらを使った青海波塗。
角度によって、波が違う表情を見せてくれる。
水車の羽根は、一枚ずつ違う。
薄桃色の花がぽっと咲いていて、それもまたよかった。

実に満足のいく展覧会だった。

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