大倉草紙

旅の記録 食の記録 日々の記録

【奈良】 第60回 正倉院展 (奈良国立博物館)

2008年10月26日 20時55分31秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
本日の行程:(近鉄・奈良駅) → 【第60回正倉院展(奈良国立博物館)】【興福寺国宝特別公開二〇〇八(興福寺)】


   

正倉院展に行くのを、だいぶ前から楽しみにしていた。
奈良国立博物館に到着したのは9時15分頃、展覧会会場へ入るのに20分ほど並んだ。

手もとにチラシが2種類ある。
左側のチラシは、正倉院の上に「白瑠璃碗(はくるりのわん)」が浮かんでいるデザイン。
「白瑠璃碗」は、ササン朝ペルシャ(現・イラン)から伝わったガラス器。
第1回正倉院展でも展示されたそうだ。
80個もの円形のカットが施されている。
ササン朝ペルシャ製の同じようなガラス器が展示されていたが、そちらは出土したもので、ガラスの風化が目立った。
正倉院の保管状態がいかに良いのかが分かる。

右側のチラシ、白瑠璃の碗の右上が「平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)」、右下が「紫檀木画双六局(したんもくがのすごろくきょく)」。

「平螺鈿背八角鏡」は、聖武天皇の遺愛品リストである『国家珍宝帳』に載っている銅鏡。
南の海で取れる夜光貝を切った螺鈿と東南アジア産の赤い琥珀で、花や尾長鳥の模様を埋め込み、周りには、白や青色のトルコ石が散りばめられている。
この銅鏡は、鎌倉時代に盗難に遭い、割れた状態で東大寺境内から見つかったという。
欠けた部分を補って、明治時代に復元されたそうだ。
とても美しい。
尾長鳥がどこにいるのか、なかなか見つけられなかった。

「紫檀木画双六局」は、向かい合った2人が、盤上の花の模様の上に駒を並べ、サイコロを振って陣地を取り合う双六盤。
盤上の花や三日月も美しいが、周囲に施された模様の鮮やかさに驚く。

「刻彫尺八(こくちょうのしゃくはち)」は、竹の表皮に、花、鳥、蝶などを彫った尺八。
その模様の細かさは素晴らしい。
表には、今の尺八よりも一つ多い五つの穴が、裏には一つの穴が開いている。
この尺八の音色を録音した音声が流れていた。

展示されていた文書も興味深い。
その文字の鮮明さは、1000年以上の年月を経ているのを感じさせないほどだ。
病気で仕事を欠席するときの届出などもあり、おもしろい。

展示品は69点。
屏風が1点もなかったのが残念だった。

正倉院の「正倉」外構は、通常、平日のみの公開だが、正倉院展会期中は、10月30日を除いて無休で公開しているという。


ところで、奈良国立博物館から東大寺のほうへ向かうと、「鴎外の門」という碑がある。

   
   
                 鴎外の門

漱石ならず、鴎外の「門」。
森鴎外は、大正6年(1917)から大正11年(1922)に亡くなるまでの間、帝室博物館の総長だった。
帝室博物館総長は、東京・京都・奈良の帝室博物館を統括する職で、毎年秋には、正倉院宝庫の開封に立ち会うために奈良を訪れ、奈良国立博物館の東北隅にあった宿舎に滞在していたという。
宿舎は取り壊されてしまったが、当時の門が残っている。
今の時期の奈良に鴎外は来ていたんだな、と思いながら歩いた。


今日の歩数:14,102歩

最新の画像もっと見る