シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0311■おいらは大丈夫

2007-09-19 | 最後のメッセージ
きょうもいい天気だった。からだがなくても、あったかそうなのはいいな。
あんまり時間がないから、こんな天気が続くとホントにいい。
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おいらが見えない、触れないと大泣きするアイツだけど、「聞く」ことはずい分できるようになってた。この話はココでもしてるとおりなんだけど、あの頃から比べればもっともっと「聞ける」ようになた。って言っても、もちろんおいらがペラペラ話すわけじゃないから、「頭で聞く」っていうか「わかる」んだけどね。

1週間前のきょう、こんなことがあった。

おいらはかなり弱ってた。でも天気のいい日で、アニキとデッキにいた。箱にも入ってなかったから、ちょっとは歩けたんだ。アイツはヨガに行くカッコをしてウロウロしてた。行きたいんだけど、おいらが心配なんだ。クルマにも乗らないで歩いてくところだから、いつもすぐに帰ってくるんだけど。

おいらはフレンチドアの向こうから、リビングに来たアイツを見た。
「おいらなら大丈夫だぜ。」
「えっ?」
アイツはおいらのメッセージに気がついてハッとしてこっちを見た。で、ガラスのこっちから見てるおいらを見た。

「行ってもいいの?」
アイツも頭で聞いてきた。
「・・・・・」

こういうのには答えない。メッセージは1回だけなんだ。しかも、アイツはちゃんと受け取ってたからね。2回はない。
「じゃ、行ってくるわ。すぐ戻るから。」
アイツはヨガマットを抱えて出て行った。

(ちょうど1週間前の写真。あの日も天気がよかったんだ→)

流動食を喰ってるときも、
「もう、食べらんない。」
っていうのを何回も送った。
「じゃ、ごちそうさまにしよっか?」
って言うときもあるし、わかってるくせに、
「食べないと死んじゃうわよ。」
って言ってもう1回(いやもっとかな?)ってときもあった。あれは苦しかったぜ、やっぱり。

こうやってわかってもらえたのはよかったな。特にすごく弱ってからはね。
アイツがここまでうまくなったのは、1日中おいらと一緒だっていうのもあるけど、「こんにちは」の人のおかげなんだ。今度はその話をするよ。
(たぶん、つづく)

Vol.0310■感じられれば 

2007-09-19 | 最後のメッセージ
おいら、まだ家の回りにいるけど、ちょっとよそに行ったりもしてる。
なんだか迎えが来るらしいぜ。引越しのときトラックが来るのと一緒だな。
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きのう1日、ひとりだったアイツはシクシクワーワー泣き放題。
おいらが使ってたベビーバス、ベッド代わりだったタオルやブランケット、流動食を作ってたガリガリいうアレ、流動食のスポイト、水入れなんかを片付けながら、いちいち泣くんだ。

フレンチドアの外にタビが来てご飯を待ってるのを見て、おいらのネコ缶を開けてはまたエンエン。
外でトイレしようと通りかかったアニキを抱いてはまたオイオイ。
掃除機をかけながらおいらがよくいたコーナーに来てはまたシクシク。
「ピッピ、ピッピにもう一度逢いたい。またピッピを抱っこして触りたい。チャッチャと一緒にいるところが見たいよぉ。エーンエーン」
大変だよな。見えるものしかわかんないと。

まぁ、触ったり抱っこはムリでもおいらはまだ家にいる。
だから見るんじゃなくて感じるんだったら、おいらがわかるはずさ。ただ、どの部屋のどの角にいる、とかって話じゃないけど、そばにいるかいないかは感じられるはずなんだ。

アニキはそうさ。だからいつもとそんなに変わんないでいる。2匹で同じ部屋にいなくても見えなくても、お互い「感じる」から、それでよかった。今もそうだ。

それでも、アイツも「感じよう」とがんばってた。
外だったら、キッチンの窓の正面、いつもおいらがいた庭のはじとか、雨が降ってきたときの雨宿りの木の下とか、部屋だったら、アイツらの部屋のすみとか、子どものベッドとか、おいらがいそうなところに何度も何度も行った。
でも、そこにおいらを「見よう」とした。
で、見えないもんだから、またエーンエーンだ。
そりゃ、ムリだって。

感じられれば、おいらがアイツにくっついて行きながら、庭のはじや木の下をのぞきにいき、
「タビちゃん、ピッピちゃんどこにいるかわかる?」
って聞いてるアイツの後にいるのを、タビがわかってたりするのに気づいたかもしれないんだけど。

夜になってなかなか帰ってこないアニキを探すんでドアを開けて、
「ピッピ~、チャッチャ~、帰っといで~」
って呼んでる、今まで何千回って聞いた声もすぐ後で、家の中で聞いてたさ。
「おいら、ここだけど。いつもおいらはアニキよりちょっと早く帰ってただろ?」


でも、アイツは信じてる。見えなくても、感じられなくても、おいらがここにいるって。
だから、このブログもつづくんだけどさ。
だけど、
「やっぱり抱っこしたいよぉ。エーンエーン」
になっちゃうんだけどね。
(つづく)