シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0153■朝になって

2006-04-07 | アニキ物語
アイツらの友だちが香港から来た。ネコが好きな二本足で、家にもいるんだろう、いろんな二本足のにおいがする。ネコ好きは掻いてくれるとき、うまいからいいよ。また来いよな!
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(これは続き話。初めてだったらVol.0152から読んでくれよな。よろしくニャン。)

おいらが外から帰ったとき、アニキのインシュリンの注射は終わってた。あの後喰ったとは思えないから、痺れを切らした連れ合いが打っちゃったんだろう。アニキはアイツらが「カリカリ」って呼んでるドライのキャットフードなら、ほんのちょっと喰うかもな。でも、ほんのちょっとだぜ。

食器洗いが終わった連れ合いはパソコンに行ったり、子どもを寝かせたり、アニキの様子を見に来たり、デカいからだで家の中をクルクルクルクル。アニキを見に来るのは、ケットウチとかいうのが下がって目が回ってないかチェックしてるんだろう。

でも、アニキの目は回らなかった。
疲れたのかその日は外の見回りにも行かないで、ソファーのはじっこ、クッションの間に隠れるように丸くなって寝ちまった。おいらは1匹で見回りだ。いつも一緒になんか行かないから、いいんだけどね。

(←「腹へったニャ~ン。」
「じゃ喰えば?」
なんて言わないぜ。四つ足だからね、なんでも受け入れるんだ)

朝になった。何事もなかった。
子どもがドヤドヤ出かけていくと、おいらたちと連れ合いだけになった。なんかヘンだよな。でも、しばらくこれが続くんだ。
「さっ、チャッチャ、きょうは食べようね。」
きのうのショックからか、連れ合いは作戦を変えて、声だけじゃなくて態度もちょっと優しい。

まず、缶詰のツナを高~い「お山」にしたボールをアニキの目の前に置いた。
おいおい、すっげ~高さじゃないか!
前にも言ったけど、おいらたちは舌ですくって喰うから、ツナみたいに柔らかい物は舌で押されてるうちに平らになっちまう。そうなると、喰いたくても舌に引っかかってこなくて喰えなくなる。だから「お山」はありがたいんだけど、こんなに高いのは初めてだ。

ゴクッ。

腹がへってるアニキののどが鳴る。なんにも喰ってないのに、喰い終わったときみたいにペロペロペロペロ舌なめずり。アニキのクセだ。
「お腹空いただろう?」
と言いながら、連れ合いはじっと様子を見てる。

アニキは迷ってた。
いつもと違う雰囲気に怖気づいてる。おいらだって腹ペコだったけど、ここで出てってハフハフ喰ったらおこられるだろうから、ソファーでじっとしてた。それぐらいのたしなみはあんだぜ。
(つづく)