一日一トライ~”その記憶の記録”

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Ⓘ‐26.草野心平「カエルのうた」の詩に思う(4/4)~「ごびらっふの独白」

2023-05-04 07:00:00 | Ⓘ-ものの見方・考え方

 「ごびらっふ」とは、一匹のカエルの名前で、そのカエルとは草野心平という名の日本人の詩人のこと。カエルとしての草野心平が、カエルの言葉でしゃべるといった手法をとった詩です。これもすごい発想であり、内容としても深いものがあり感心させられた詩です。



ごびらっふの独白

るてえる びる もれとりり がいく。
  ぐう であとびん むはありんく るてえる。
  けえる さみんだ げらげれんで。
  くろおむ てやあら ろん るるむ かみ う りりうむ。
  なみかんた りんり。
  なみかんたい りんり もろうふ ける げんけ しらすてえる。
  けるぱ うりりる うりりる びる るてえる。
  きり ろうふ ぷりりん びる けんせりあ。
  じゆろうで いろあ ぼらあむ でる あんぶりりよ。
  ぷう せりを てる。
  りりん てる。
  ぼろびいろ てる。
  ぐう しありる う ぐらびら とれも でる ぐりせりや ろとうる ける   あり たぶりあ。
  ぷう かんせりて る りりかんだ う きんきたんげ。
  ぐうら しありるだ けんた るてえる とれかんだ。
  いい げるせいた。
  でるけ ぷりむ かににん りんり。
  おりぢぐらん う ぐうて たんたけえる。
  びる さりを とうかんてりを。
  いい びりやん げるせえた。
  ばらあら ばらあ。

 日本語訳
幸福といふものはたわいなくっていいものだ。
  おれはいま土のなかの靄(もや)のような幸福に包まれてゐる。
  地上の夏の大歓喜の。
  夜ひる眠らない馬力のはてに暗闇のなかの世界がくる。
  みんな孤独で。
  みんなの孤独が通じあふたしかな存在をほのぼの意識し。
  うつらうつらの日をすごすことは幸福である。
  この設計は神に通ずるわれわれの。
  侏羅紀(じゅらき)の先祖がやってくれた。
  考へることをしないこと。
  素直なこと。
  夢をみること。
地上の動物のなかで最も永い歴史をわれわれがもって
ゐるといふことは平凡
ではあるが偉大である。
とおれは思ふ。
悲劇とか痛憤とかそんな道程のことではない。
われわれはただたわいない幸福をこそうれしいとする。
ああ虹が。
おれの孤独に虹がみえる。
おれの単簡な脳の組織は。
言わば即ち天である。
美しい虹だ。
ばらあら ばらあ。
ジュラ紀は、約2億130万年前~約1億4550万年前まで続く地質時代のこと。三畳紀の
次で、白亜紀の1つ前にあたる中生代の中心時代。恐竜やアンモナイトの時代とも。


北方野草園にて

幸福とは何か。この永遠の難題について、蛙=草野心平が夢想する。それは蛙の脳の組織に反射した虹の美しさだと、蛙は思う。私は、この詩中の、「考えることをしないこと」 「素直なこと」 「夢をみること」などのキーワードは、私たち人間のものの見方や考え方、生き方に大きな示唆を与えてくれていると思います。

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