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民王 vs. 史上最強の内閣

2013-07-20 08:41:00 | 
「現政権は二軍だった!」というショッキング(?)なキャッチコピーと、ド派手なカバーのイラスト。
うまい売り方です。
室積 光「史上最強の内閣」(小学館文庫)を読みました。
2010年11月に単行本で発売されたものに一部加筆されて、文庫化されました。

たしかに面白い!
わが国では、京都御所に、「影の内閣」がつねに待機していたのです。
この「影の内閣」は、とんでもない実力者集団。
主に国会議員から選ばれる大臣たちとは、格が違います。
北朝鮮から核ミサイルが打ち込まれるという国家的な危機を目前にして、彼らが東京にやってきて、期間限定とはいえ、ついに正式な内閣になります(憲法違反も甚だしい!)。

とっても痛快で、とっても笑えます。

しかし・・・

この笑い、上質な笑いとはいえません。
品性の劣る笑いだと思います。

実在の人物を、すぐそれとわかる描き方でおちょくっています。
一番ひどいのは、北朝鮮の将軍さまシン・チョンイルの長男として登場するシン・ジャンナム。
われわれは、モデル本人のことは、東京ディズニーランドに行きたくて密入国したことぐらいしか知りませんので、パロディーとはいえないかもしれません。。
それは別としても、「浅尾総理大臣」「仲利根外務大臣」「社倫党の宮城美津穂(みやぎみずほ)代表」と声に出してみれば、それぞれモデルは明らかです。

現実の政治家たちをこういう形でこき下ろすのは、フェアではないと思います。




一方、総理大臣とそのドラ息子の人格が入れ替わるという荒唐無稽な設定で始まる池井戸潤「民王(たみおう)」(文春文庫、単行本は2010年5月ポプラ社刊)。
そのため、漢字が読めなくなり、「未曾有」を「ミゾユー」、「踏襲」を「フシュウ」と読んでしまいます。
・・・といえば、武藤泰山総理大臣のモデルは、明らかです。
(人格が入れ替わったのは、大林宣彦監督の映画「転校生」のように、石段を転げ落ちたからではありません。ちゃんとタネ明かしされます。)
この小説も、実在の政治家をおちょくる物語かというと、そうでもありません。

政治家・武藤泰山が息子に代わって就活に励み、現実の大企業を知ります。
ドラ息子・武藤翔は、総理大臣として国会に立ち、政治の世界、大人の世界を知ります。

わたしは、この小説の大部分を、訳あって岐阜駅構内のカフェで読んだのですが、笑いを抑えるのに苦労しました。
そして、ウルウルしてしまいました。

池井戸潤の作品は、直木賞受賞作「下町ロケット」しか読んだことはありません。
それとは、まったく異なる作風です。
TVドラマ「半沢直樹」がヒットしているようですが、きっと面白いのでしょうね。




「政治エンタメ」という小説ジャンルがあるのかどうか知りませんが、両作品を比べたら、私は「民王」に軍配を上げます。
ただ、ゲラゲラ笑わせるだけでなく、政治のありかた、人の生き方まで考えさせてくれる素晴らしい作品です。





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