ウクライナ緊迫 大統領抵抗なら泥沼化

ウクライナ緊迫　大統領抵抗なら泥沼化

 

2014年2月23日 朝刊

 　【モスクワ＝宮本隆彦】ヤヌコビッチ大統領の即時退陣を求めるウクライナの反政権デモ隊は二十二日、実力行使を続け、首都キエフの大統領府など政 権中枢の施設を掌握、中央で政権を崩壊に追い込んでいる。ヤヌコビッチ氏は二十二日に入ってから、公式の場に姿を現していないが、辞任を否定する発言が地 元テレビで伝えられた。地盤の国内東部を拠点に大統領派が巻き返しを図れば、依然として内戦や国家分裂の恐れは残る。

 

　キエフからは警官隊が姿を消し、全省庁が反政権デモ隊に制圧された。反政権デモ隊のリーダーは「首都は完全にデモ隊の管理下にある」と表明した。

　政権与党の地域党からは議員の離党表明も相次いでいる。野党勢力が強い首都を含め、ヤヌコビッチ氏が今後、国内全域で権力を維持するのは難しい情勢になっている。

　ウクライナ国内は、ヤヌコビッチ氏の地盤である東部や南部の親ロシア勢力と、野党を支持する中部や西部の親欧州勢力に二分されている。ロシアとの地理的、経済的な結び付きが強い東部を中心に、ヤヌコビッチ氏への支持は現在も根強いとの見方がある。

　ヤヌコビッチ氏が地盤とする東部ハリコフでは二十二日、地域党の東部と南部から選出されている議員の大会が開かれ、登壇者は過激な行動をとる反政 権デモ隊を強く批判した。親ロシアの大統領派が野党勢力との徹底抗戦の構えを崩さなければ、本格的な内戦や国家分裂に発展する恐れがある。

　さらに、東西への国家分裂が現実となった場合、一九五四年まで旧ソ連邦内のロシアに帰属し、ロシア人が多く住むクリミア半島のクリミア自治共和国も独自の路線を歩み、ウクライナは三分される可能性もある。