市街戦恐れ市民脱出=商店閉まり、人影まばら-ウクライナ東部
【ドネツク(ウクライナ東部)時事】ウクライナ東部ドネツクで、親ロシア派武装勢力と軍による市街戦に巻き込まれるのを恐れ、住民が町を脱出し始めた。治安悪化でレストランや商店は閉まり、普段は家族連れなどでにぎわう目抜き通りも人影はまばらだ。
市民の間では、ドネツク国際空港で26日に起きた武装勢力と軍の激戦にショックが広がっている。多数の死者が出た戦闘の舞台がスラビャンスクなど小さな町 から、人口約100万人の州都に移ったからだ。ある男性(23)は「今までの戦闘から局面が変わった」と緊張した表情で語った。
親ロ派勢力「ドネツク人民共和国」が立てこもるドネツク州政府庁舎付近では、カラシニコフ自動小銃を持った男たちが夜間、通りを堂々と歩くようになった。31歳の女性は「この数日間で街の雰囲気が一変した」と嘆く。
26日には空港に近いドネツク駅でも戦闘が発生し、流れ弾に当たった市民2人が命を落とした。ドネツク市当局は、市民に外出を控えるよう警告。市中心部の大通りに面したブティックにはシャッターが下り、公園に子供の姿はない。レストランも休業が目立つ。
対照的に混雑しているのが国鉄の切符売り場だ。職員の女性は「平日なのに列ができるのは普通ではない」と驚く。首都キエフなど戦闘のない西方向への列車の予約が相次いでいるという。
列に並んでいた学生のセルゲイ・シュルスキーさん(20)は「26日の戦闘でドネツクを一時離れる決心をした」と語った。故郷のルガンスクに戻るという。ルガンスクは親ロ派武装勢力の支配地域だが、「家族と一緒にいた方が安全だ」と複雑な表情だ。
「軍が武装集団に対し、爆撃開始まで3時間の投降期限を通告した」。出所不明の情報が乱れ飛ぶなど、市内の空気は張りつめている。(2014/05/28-14:49)
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