大人の生徒さんTさん(20代男性)が取り組んでおられる、フォーレの「夢のあとに」。
うちの教室では、初歩の段階からす少しづつ、和音・コードを学んでいきます。
音楽は、リズム、メロディー、和声の3つで成り立ち、どれも欠かすことはできません。
生徒さんは、演奏する曲の和声分析をします。
しかしながら・・・・
このフォーレには苦労しました。
私は、作曲が専門ですから、和声はほとんど楽譜を見ただけ、曲を聞いただけでも大体は分かるのです。
ですが、やはり近現代は一筋縄では行きません。
細かい偶成和音は和声音に解決すれば、納得できますよ。
でもいきなり、7度調からの借用はないやろ!
6度調に行って、戻って、4度調に行って平行長調・・・
また7度調の借用あるわ・・・
う~ん?「フォーレ終止」って、これ?・・・
4度調の中で、4度調の平行調に行って・・・
・・・・とある所から資料を取り寄せさせていただきました。
メロディは元歌曲(フランス語)ですが、チェロが有名です。
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「夢のあとで」 ロマン・ビシューヌ
君の姿が魅了するまどろみの中
ぼくは夢見てた 幸せを、燃え上がる幻影を
君の瞳は優しく、君の声は澄んで響き
君は光り輝いてた、朝焼けに照らされる空のように
君はぼくを呼び、そしてぼくはこの地上を離れて
君と一緒に飛び立ったのだ 光に向かって
空はぼくたちのために雲の扉を開き
未知なる栄光が、神々しい閃光がほのかに見えた
ああ!ああ!悲しい夢からの目覚め
ぼくはお前を呼ぶ、おお夜よ、ぼくに返してくれ お前の偽りの幻を
戻れ、戻ってくれ、輝きよ
戻れ、おお 神秘の夜よ!
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この歌詞を、フォーレは和声で表現を試みているのです。
歌ってみると、なだらかな中で6度上下すると、大へん情感がこもります。
ましてや、後半の1オクターヴの動きは、非常に激しいものがあります。
チェロでの演奏は、歌に近いと思います。
大きく弓を動かしたり、体で支えたりしないと。
ピアノだと、簡単に高低を付けられるので、この歌詞の醍醐味はなかなか伝わりません。
元々伴奏パートのピアノですが、和声の変化をよく聞いて空気を感じ取ってメロディを歌わせることが、より大切になってきますね。
生徒さんは、和声を読み取って弾くだけでも大へんです。
歌詞はフランス語だから、訳とは語順が違うし。
でも、大人にしかできない演奏。
じっくり取り組んで行きましょう