若生のり子=誰でもポエットでアーティスト

文字さえ書ければ、ポエット
感覚次第で、何でもアート
日日を豊かに遊び心

布川事件再審 自白の偏重ただす機会に(7月9日)

2010-07-09 | 時事問題
先の「取調べ可視化」に関連して、北海道新聞社説の布川事件再審から何を考え学ばなければならないか。

被告らは、冤罪で29年間も獄中生活を強いられたのである。

           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

茨城県利根町布川(ふかわ)で43年前に起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定していた2人の元被告に対する再審が、水戸地裁土浦支部できょうから始まる。

 有罪の根拠となった2人の自白や目撃証言に信用性はないとする東京高裁の決定を最高裁が支持し、再審開始が決まった。無罪判決が出されれる可能性が高い。

 再審では虚偽の自白に至った経緯や、捜査の実態、裁判所の審理の在り方などを徹底的に検証し、真相を明らかにしなければならない。

 東京五輪が終わって3年後の1967年8月。当時62歳の男性が自宅で殺害され、10万円が奪われた。

 指紋などの物証はなかったが、当時20歳と21歳だった元被告が別件逮捕され、犯行を認めた。
 2人は公判で一転、「警察に自白を強要された」と無実を主張したが、78年に強盗殺人罪で無期懲役が確定。96年に仮釈放されるまで、29年間もの獄中生活を強いられた。

 再審開始の決め手となったのは、現場付近で見た2人連れは元被告らとは違うとする目撃証言だった。第2次再審請求審での弁護側の求めに検察が初めて開示、裁判所は信ぴょう性が極めて高いと判断した。

 2人の自白についても、その内容と殺害方法とは一致せず、さらに何度も変遷していると断じた。有罪の根拠が二つとも崩れたことになる。
裁判所はまた、警察署の留置場を拘置所代わりに使う代用監獄についても「虚偽の自白を誘発する環境だ」と指摘した。

 

 足利事件や富山氷見事件など過去の冤罪(えんざい)と同様、典型的な自白偏重の捜査だったと断定したのに等しい。
 検察側は争う構えだ。新証拠として現場に残された被害者の衣類などのDNA鑑定を求めるという。

 地裁支部の判断が注目されるが、弁護側は強く反発している。

 取り調べで見せられた際に、2人の唾液(だえき)などがそれらに付く可能性もあると見ているからだ。

 検察に求められるのは、過去に一度も行わなかったDNA鑑定の申請よりも、手持ちの証拠をすべて開示することではないのか。弁護側によると、いまだ開示されていない証拠は段ボール箱数個分になるという。

 自白強要や代用監獄、証拠の全面開示を拒む当局の姿勢など今回の事件では日本の刑事司法が抱える問題点が次々と明らかになった。取り調べ録音テープ改ざんも指摘された。
 再審は有罪無罪を決める場であり、真相解明の場ではないとの指摘もあるが、刑事訴訟法は事案の真相解明を明記している。自白偏重の捜査をただすには何が必要なのかを探る機会ともとらえたい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿