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取り調べ可視化 民主の取り組み後退懸念

2010-07-09 | 時事問題
政権交代や選挙等で、その後殆ど聞かなくなった「取り調べ可視化」のことはどうなったのかといぶかしく思っておりましたが、岐阜新聞がそのことを社説で取り上げていましたので以下に転載します。
検察や警察の根強い反対に有耶無耶にされそうです。
検察や警察を好きなようにのさばらしておいては、戦前の一時期のような恐ろしい世の中になります。国民は口も手も足も捥ぎ取られて、ろくなことにはなりません。
主権在民、民主主義ですから。

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 民主党が昨年の衆院選でマニフェスト(政権公約)に明記した「取り調べ可視化」実現のめどは全く立っていない。刑事訴訟法改正案の国会提出は見送られ、法相は「現実的検討」を強調し始めた。「捜査に支障をきたす」と主張するが背景にあるとみられている。政治主導で可視化への青写真を描くことが必要だ。

 郵便制度悪用に絡む虚偽有印公文書作成などの罪に問われた元厚生労働省局長の公判が先ごろ、大阪地裁で結審した。判決は9月に言い渡されるが、5カ月に及んだ審理で検察側が有罪立証のよりどころにした元部下の捜査段階の供述調書は、裁判所から「誘導の可能性」を指摘されてことごとく証拠採用されず、無罪濃厚との見方が広がっている。

 厚労省文書偽造事件の公判は極めて異例の展開をたどった。無実を主張する元局長のかつての上司や部下が法廷で次々と、元局長の関与を認めた捜査段階の供述を覆し「強引な取り調べ」を批判。事件の中心人物が否認しても周辺関係者の供述で外堀を埋め有罪に持ち込むことはできるが、その外堀が崩れた。

 検察側は法廷証言より捜査段階の供述調書の方が信用できると主張しようとした。だが調書は証拠採用されなかった。元局長の関与を否定する調書をなぜ作らなかったのか。(証人出廷した検事6人全員が取り調べメモを廃棄していたことが分かり)変な疑いが起こると思わなかったか―と裁判官が証人の検事を問い詰める場面もあった。

 取り調べへの信頼がまた揺らいだ。菅家利和さんの自白の信用性が全面的に否定され再審無罪となった足利事件をめぐり、最高検が検証チームを発足させたのが昨年6月初め。間もなく、元局長は大阪地検特捜部に逮捕された。検察として菅家さんに直接謝罪し繰り返し反省も口にしながら、内実は何も変わっていなかったようだ。
 選挙違反で逮捕・起訴された全員が無罪となった鹿児島県の志布志事件や、元タクシー運転手が強姦(ごうかん)罪などで服役後に別人が逮捕された富山県の氷見事件も記憶に新しい。冤罪(えんざい)事件の被害者はもちろん、裁判員として供述の信用性について難しい判断を迫られた一般市民からも、取り調べの全面可視化(全過程の録音・録画)を求める声が上がっている。

 野党時代、民主党が参院で可決に持ち込んだ刑訴法改正案(衆院で廃案)は全面可視化を義務付け、記録のない供述は証拠にならないと規定。政権交代直後、法相は特捜事件も可視化の対象になるとの認識を示した。だが、その後は足利事件などによって可視化の議論が熱を帯びる中、国家公安委員長と足並みをそろえ慎重姿勢に転じた。

 先月半ば、法相ら政務三役を中心とする法務省の勉強会が中間報告をまとめた。検察庁が受理する刑事事件は交通違反も含め年間約200万件で、全事件の可視化は現実的ではない。捜査への影響や機材購入のコストを考えると、録音・録画する取り調べの範囲についても検討が必要。現時点の検討状況と今後の方針をそう総括している。

 全面可視化の実現を目指す民主党の議員連盟は先に300人近い議員の署名を法相に手渡し、刑訴法改正案の国会提出を急ぐよう求めたという。可視化への取り組みの「後退」に危機感が広がりつつある。

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