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昨今の死刑判決の多さに危惧

2008-05-31 | 死刑問題
まだ記憶に新しい山口県の光母子事件以降でも、次々と死刑判決が言い渡されています。
これはかってない異常事態です。
先日の5月26日の長崎市長射殺事件にも求刑通り死刑を言い渡されました。
これは、光母子事件の扇情的な浅薄なメディアを鵜呑みにし、報復感情のみに明け暮れた世間(世論)のヒステリックを国家が利用した厳罰化の反映といわざるを得ません。

口を酸っぱくして何度も申しますが。(カテゴリ死刑問題を参照)

*感情的な報復(敵討ち)をそのまま国家の刑罰制度にしてはならないこと。
個人が殺人を犯すことと、国家が殺人を犯すこととは、決定的に違うことの認識が必要です。

*そして、もっとも肝心なことは、殺人者にも生きる権利があることです。彼らにも魂の尊厳があります。
またぞろ殺人を繰り返してはなりません。

また、先日の文化放送の死刑執行の実報道の時の刑務官の苦悩を忘れてはなりません。彼らは役目とはいえ、実際彼らの手で目の前で人を殺すのですから、そして、その処理をするのですから、彼らはソレを一生引きずります。夢にまで見てソレを苦しみぬきます。「自分が人を殺した」と。 こんな惨いこと人間としてたとえやくわりとしても誰も引き受けたくないのは当然です。

あなた、できますか?

あなた、また人殺しを、あなたの手で、できますか?

あなた、生きている人を、生きたいと思っている人を、殺されることに抵抗する人

を、あなたの手でむごたらしく殺すことができますか?

死刑執行とはソウユウことです。

ココで浮上する問題は、光母子事件の被害者遺族木村氏が闘っておられた(全国犯罪被害者の会)被害者の権利と保障です。
加害者についてはすでに法律があり、ちゃんと刑事訴訟法にしたがって警察、検察が行うことで、その規定に反して恣意的な取り扱いをしてはならないということに一応建前上なっていますが、被害者を保護するための法律は、今のところ明確にはありません。

だから、被害者の殺され損では浮かばれないので、加害者にたいして厳罰をという叫びになってしまうのです。

ソレは、国家が、被害者の方々に対しての救済、保障の制度を設けるべきことなのです。
ソレをわれわれ国民が要求しなければならないことです。

犯罪・刑罰は、加害者、被害者だけの問題ではなく、社会の国家の問題なのです。
故、われわれ国民の一人一人が扇情に流されず真摯に向き合わねばならないのです。
来年から始まる裁判員制度を鑑みても。

以下は、このひと月の間の死刑判決です。こんなに多いのです。
世界の死刑廃止動向に対して逆行した日本の現状です。信じられますか。
知っていましたか?
もう我々は、「無知」、「無関心」、「無責任」、では済まされないのです。

★2008年5月26日、長崎地裁で2007年4月、伊藤一長・前長崎市長(61)が銃撃されて死亡した事件で、殺人、公選法違反(選挙の自由妨害)などの罪に問われた同市風頭町、元暴力団幹部城尾哲弥被告(当時60)の判決公判が開かれ、松尾嘉倫裁判長は、求刑通り死刑を言い渡した。

★2008年5月20日、大阪高裁で2006年、大阪府東大阪市の大学生ら2人が集団暴行を受け、生き埋めにされたリンチ殺人事件で、殺人などの罪に問われた主犯格の無職・小林竜司被告(23歳)の控訴審判決があった。若原正樹裁判長は、求刑通り死刑を言い渡した.

★2008年4月24日、最高裁第1小法廷で2003年12月、埼玉県入間市の暴力団事務所で暴力団組長ら5人を射殺したとして、殺人などの罪に問われた指定暴力団住吉会系元組長の山本開一被告(61)の上告審判決があった。才口千晴裁判長は,山本被告の上告を棄却した。山本被告を死刑とした1、2審判決が確定する。

★2008年4月22日、広島高裁で1999年4月、山口県光市の会社員本村洋方で、妻の弥生(23歳)と夕夏(ゆうか)ちゃん(11か月)が殺害された事件で、殺人、強姦致死などの罪に問われた元会社員(27歳/犯行時18歳1か月)の差し戻し控訴審判決があった。楢崎康英裁判長は、無期懲役の1審・山口地裁判決を破棄、求刑通り死刑を言い渡した。

★2008年4月21日、東京高裁(中川武隆裁判長)は2003年10月、山梨県都留市のキャンプ場で土木作業員3人の遺体が見つかった事件で、殺人や傷害致死などの罪に問われた住所不定、元建設会社社長の阿佐吉広被告(58歳)に対し、1審・甲府地裁の死刑判決(06年10月)を支持し、控訴を棄却した。

無限回廊より