若生のり子=誰でもポエットでアーティスト

文字さえ書ければ、ポエット
感覚次第で、何でもアート
日日を豊かに遊び心

椎名重明著「カリタスとアモールー」隣人愛と自己愛のカバー絵

2013-03-23 | 現代美術






カバーに若生のり子の油絵が使われた第2弾です。

3月10日第1版第1刷発行 御茶の水書房

~~~~~~~~~~~~

帯に今日の思想的閉塞状況への警告的指針
自分なら出来ると思えることをなしえない他者、自分に害をなす他者を、自分と同じ人間として認めることは、最小限の赦しであり、寛容であり、友人愛、博愛の初めである。
困っている人に対し自分のできる限りのことを行うのは、隣人愛、カリタス、アガペーの第1歩である。それは、現実の政治的世界に共通の倫理規範として隣人愛道徳を実現するために、さしあたり個々人がなしうることである。
「信仰」のみの親鸞ですら、「愛欲の広海に沈没し、名利の太山に迷惑して、定 の数に入ることを喜ばず」(『教行信証』)と述懐したことを想起すべきである。もう一人の「信仰のみ」主義者sola-fide-istルターの「十字架の進学」とは、「我と共に苦しめ」patere mecumであったことを銘記すべしである。或いはまた、「生涯を無駄に費やしたことを考え......一聖者」トルストイ(ロマン・ロラン『トルストイの生涯』)を思うべきである。
幸福主義Eudamnismusに生きるよりは、同情すなわち協同受苦Mitleidenのなかに幸せをみいだすべきである。「わざの聖徒」(善行による救い)を否定するルターが、「もし明日世界が滅びるとわかっていても、私は今日なお一本のリンゴの苗を植えるであろう』といったことを思い出すべきである。 (「結びにかえて」)

本書の内容

はじめにー隣人愛(カリタス)と自己愛(アモール)

I  アガペーとカリタス

II 親鸞とルター

III カリタス思想の伏流

IV ニーチェの「隣人愛」観

V 自己愛・友愛・隣人愛ー結びにかえて


~~~~~~~~~~~~


以上のように、氏の長い人生・人間探求の深遠な到達点というべきものである。

「宗教とは何か」、「人間とは何か」、「愛とは何か」、を改めて考えさせられる書である。

3.11 以降は、特に私たちに突き詰められた、タイムリーな問題でしょう。