起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

減損後の減価償却2

2005-10-28 09:12:28 | 会計
前回の続きです。

(とりあえず前回の内容をもう一度)

固定資産の減損会計が今期(2005年3月期)から強制適用になります。
これまで早期適用が可能であったので、すでに適用している会社も多数あります。

クライアントの担当者からも色々質問されて、改めて色々な悩みも出てきています。
今回は、減損した後の減価償却の計算をどうやるのか、悩みを書いてみたいと思います。

<例>
10,000千円の機械について
残存価格10%、8年の定率法で3年償却(前期末)した後、3,000千円に減損(期首)した場合、当期の償却率は?
①残存簿価が1,000千円の場合
②残存簿価が0円の場合
③残存簿価が600千円の場合
④残存簿価が10千円の場合

それぞれどうなるでしょうか?
ちなみに、残存簿価は適当に…という選択肢もありでしょうか?

いろいろ思いついたらまた書いてみたいと思います。



ちなみに、税法で規定している定率法の償却率は以下の通りです。
8年…0.250
5年…0.369



(今回はここから)

減損会計の適用指針(55項)を見ると
減損後の帳簿価格から「残存価額を控除」し、「採用している減価償却の方法」で減価償却する
と書いてあります(原文はもっと長ったらしく書いてあります)。

結論を先に書きます(あくまで私見ですが)。

A.残存簿価があるケース
 5年(償却率0.369)で償却する
B.残存簿価がゼロのケース
 5年(償却率0.369)で償却する金額を10/9倍したもの

(追記)
こちらの方がいいかもしれません。
A.残存簿価があるケース
 8年(償却率0.25)で償却する
B.残存簿価がゼロのケース
 5年(償却率0.25)で償却する金額を10/9倍したもの


適用指針と違うじゃないか。といわれそうですが、日本の会社では考えなければならない大きな問題が一つあります。
日本のほとんどの会社は(上場会社も含めて)減価償却の計算を税法に従って行っているのです(もちろん独自に耐用年数を見積もっている会社もあります)。

これは、「税法基準に従った減価償却は会社の実態から著しく乖離していない」という前提があります。
したがって、「大きく間違っていない限りは税法基準で行きましょう(簡単だから)。」ということに今のところはなっています。
この前提を元にすると、先ほどのような結論になるのかなと思います。


(でも・・・。細かい話をするとどうなの?と思ってしまうう方へ)

<さっきの方法で何が問題になるのでしょう?>

残存価格があるケースの場合、耐用年数経過後の簿価は300千円になってしまいます。せっかく残存簿価を見積もっても意味ないですね。


<じゃあ、正確にやるにはどうすれば良いのでしょう?>

A.残存簿価がある場合
 耐用年数を5年、残存簿価に応じた償却率を計算する
 ①(残存1000)のケース 償却率0.197 (1年目 591 2年目475 3年目381…)
 ③(残存 600)のケース 償却率0.275 (1年目 825 2年目598 3年目434…)
 ④(残存 10)のケース 償却率0.680 (1年目2,040 2年目653 3年目 98…)
B.残存簿価がゼロの場合
 耐用年数を5年、年間の償却額を10/9倍する
 ②のケース 償却率0.369 (1年目1,230 2年目776 3年目490…)

以上です。メデタシ。メデタシ。・・・といいたいところですが・・・。

②と④のケースをよく見てみてください(年間の償却額)。ちょっと変ですよね。
残存簿価が極端に小さくなると(10など)1年目の償却額が異常に大きくなってます。
だから、本当に正確にやろうと思ったら、残存簿価が10%でないケースの場合には先ほどの残存簿価がゼロの場合と同様に、通常の償却率の償却額の一定割合倍(ゼロの場合10/9倍など)とするとよいのでしょうね。
ちなみに④のケースでは、(2990/2700)倍になります。
一般的には、(3000-残存価格)/2700 倍です。

ただし、この問題は定率法特有の問題で、こんな細かいことをやっていると、そもそも固定資産の費用は定率法的に発生するのか?という根本的問題に突き当たってしまうことになってしまいます。
思い切って級数法を採用するというのも割り切った考えではいいのかもしれません。

ちなみに、現在級数法を採用している会社は、EDINETを検索してみると、(注記されている)リース資産で20社あまり、無形固定資産の一部をトクヤマ、新生銀行が採用しているようです。

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