今回は、キャッシュ・フロー計算書について、感じていることを書いてみたいと思います。
キャッシュ・フロー計算書とは、ご存知のとおり、資金の増減を表現した財務諸表の一つです。
資金というのは、現金と現金同等物のことです。ちなみに、現金は手許現金と要求払預金のことです。預金も現金というんですね。ちょっと不思議です。(詳しくは
ここを参照)
キャッシュ・フロー計算書は、①営業活動、②投資活動、③財務活動と3つに区分して表示されます。3つの区分を簡単に説明すると次のとおりになります。
営業活動の区分・・・営業活動によって獲得した成果をあらわします。
投資活動の区分・・・固定資産の増減に関する資金の動きをあらわします。
財務活動の区分・・・固定負債・資本の増減に関する資金の動きを表します。
(詳しくは
ここを参照)
営業活動の区分の作成の方法には、直接法と間接法があります(詳しくは
ここを参照)。
直接法でキャッシュ・フロー計算書を作成すると、資金の流れがわかりますが、間接法で作成すると、まったく意味のない表示になってしまいます。しかし、ほとんどの会社は間接法でキャッシュ・フロー計算書を作成しています。これは、間接法の方が作成が簡単なことと、企業の横並び意識からでしょうか。
間接法は、資金の増減が利益に関するインパクトとしてどうあるかという観点から作成されています。
具体的には、減価償却費は資金の増とされています。これは、今期の資金の増加は、利益+減価償却費といわれていることからもわかります(ちなみに、営業利益+減価償却費は、EBITDAの簡便的な計算方法です)。
もっと、具体的にいいますと、前期に車を買ってレンタルを開始したとして、今期のキャッシュ・フローを考えてみます。。
売上 100万円
減価償却費 50万円
利益 50万円
間接法では、次のように表示します。
利益 +50万円
減価償却費 +50万円
合計(CF) +100万円
直接法では、こうです。
営業収入 +100万円 (簡単! わかりやすい!)
間接法では、利益に対して資金はどうなっているかという観点から表示しているので、上記のようになってしまいます。
しかし、利益も減価償却費も資金の動きとは直接は関係ありません。大切なのは、モノを売っていくらお金が入ってきたかです。間接法ではその一番大事なところが表現できないのです。
たとえば、今期はリベート率の高い商品を仕入れたので利益が出ました。しかし、期末に仕入れたため、買掛金が前期よりも大幅に減りました。営業活動のキャッシュ・フローはそのため悪化しました。という逆説的なこともありえます。
それから、資金は非常に大事です。資金がそこをついたら倒産してしまうからです。手形や小切手が2回不渡りになると銀行取引が停止され、会社は倒産するしかありません。しかし、キャッシュ・フロー計算書は、過去の資金の状況しか表示されません。したがって、当然ながらキャッシュ・フロー計算書は倒産予測にはあまり役に立ちません。
このようなことがあるから、キャッシュ・フロー計算って本当は、役に立つのだろうか? と思ってしまうのです。