起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

公認会計士の職業病

2005-12-30 13:22:00 | 監査
職業病と言っても、病気の話ではなく、癖の話です。

会計士と話をしていると、「細かいこと言うなぁ」とか、「何でも突っ込んで話を聞きたがって困る」、とか「何でもすぐ教えたがる」とかよく言われます。
これって、その人の性格ではなく、職業病です。


プライベートでは、話をしている途中で気がついてやめることもありますが、たいてい話し終わってちょっと後悔しています。
・・・またやっちゃったなぁ・・・ハハハ・・・

多分それほど不快感を与えることはないと思いますが、「細かいなぁ」とか、言われるとちょっと落ち込みます。
逆に、プライベートの時には、「細かい」といわれるのが嫌で、割り勘をわざと大雑把にしたりして細かくないフリをしています(本当は良くないんでしょうが)。


じゃあ、なぜ「細かい」とか「突っ込みすぎ」などの職業病が発生するのでしょうか?
それは、監査という仕事が、そういう仕事だからです。

監査では、よく担当者にヒアリング(インタビューとか質問とか言ったりもします)をします。
正にこれが原因です。


たとえば、回収期日が3ヶ月過ぎた売掛金について、担当者にヒアリングをするとします。

会計士:「A社の売掛金って3ヶ月滞留してますけど、回収できるんですか?」
担当者:「大丈夫ですよ。いつも入ってきてますから。」

ここで、「ああそうですか」で終わっていたら話にならないわけです。
たとえば、売掛金が回収できなくて資金ショートした結果、会社がつぶれてしまったら、なんで売掛金(貸倒引当金)の評価が適正だったか問題になるわけです。
そのとき、「担当者が回収できるっていってましたから」と答えても「何!!ふざけるな!」となってしまうわけです。

ふつうなら、またこのように聞き返すわけです。
会計士:「それでは、入金はいつになりますか?」
ここで、もし担当者が適当に答えていた場合、「ちょっと調べてきます」とかいう展開になっていくわけです。

ただ、普通なら、まずこのように聞く場合が多いと思います。
会計士:「A社の売掛金は、なんで3ヶ月滞留しているのですか?」
・・・

そのほか、担当者にこのように言われることもあるでしょう。
担当者:「A社の売掛金は、その資料(期末の資料)では滞留していますけど、3日前に入金になりました」

これで安心して、「ああそうですか」となるのは、素人で、普通はこのように切り返します。
会計士:「それでは、入金したことが分かる通帳を見せてください」

ちゃんとした担当者はすぐに通帳を見せてくれますが、中には調べた結果、
担当者:「あっ、まだ入金されてなかったみたいです」
などといわれることもあります。単なる勘違いかもしれませんが、ごまかそうとしていたのかもしれません。ただ、勘違いにしても内部統制に問題ありそうです。

ただ、普通は相手を立ててこういいます。
会計士:「あっ、そうですか。それでは、入金っていつになりますか?あと、滞留の理由も調べてもらえますか?」
・・・


このように細かい突っ込みを入れていきます。
このように「いつも」細かい話をするのは、理由があります。

本当は、あまり細かい話をしなくても良い場合もあるのですが、いつも大雑把でいると、必要なときに「細かいなぁ」とか、「信じてないのか」とか思われて相手が非協力的になったりするからです。
日頃から細かいことを言っていると、監査ってそういうものだからしょうがないなと思ってくれます。


だから、いつも細かいことをいう癖がついてしまうのです。
プライベートでも話をしていて矛盾したことを聞くと、会計士はみんな(?)心の中で「アラームが点灯してしまう」ので、突っ込みを入れたくなってしまうのです。


まあ、職業病なので、温かい目で見てやってください。






---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!




役員賞与の会計基準

2005-12-28 08:20:02 | 会計
役員賞与の会計処理が変更されることになりました。(*1)

現行の会計処理では「利益処分」となっています。(*2)
つまり、現行では役員賞与は利益処分計算書で未処分利益の減少として処理しています。

しかし、新しい会計処理では、「費用処理」とすることになりました。

つまり、
①株主総会で承認を受ける必要が無い場合は、
(借)役員賞与 XXX (貸)未払役員賞与 XXX
と処理され、

②株主総会の決議事項となる場合、
(借)役員賞与引当金繰入額 XXX (貸)役員賞与引当金 XXX
と処理されます。


適用は、会社法施行日以後終了する事業年度の中間会計期間からです。
会社法施行が5月1日の場合(*3)、平成18年5月期決算の中間期(平成17年11月)から適用となるようです。
ただ、11月末ってもう過ぎてしまっているので、その辺がちょっとあいまいです。

3月決算の場合、平成18年6月中間期から適用される予定です。

なお、会計基準には以下のような記載があります。
役員賞与の金額が事業年度の業績等に基づき算定されることとなっているため中間会計期間において合理的に見積ることが困難な場合や、重要性が乏しいと想定される場合には、中間会計期間においては、費用処理しないことができる。





*1 「役員賞与に関する会計基準」(会計基準委員会 企業会計基準第4号)
*2 費用処理とすることも認められています。
*3 従来4月1日と考えられていましたが、法務省担当者の出版物(*4)で5月を目処としている旨の記載があるので、5月1日の可能性が高くなっています。
*4 相澤哲(法務省民事局参事官)編著「一問一答 新・会社法」(2005年、株式会社商事法務)

資本政策について

2005-12-27 00:31:58 | 起業家支援
今日のお昼に若い起業家と資本政策についてお話しする機会がありました。
というわけで、ランチミーティングです。

といっても、設立間もない会社なので、概念的な話を一時間ほどすることになりました。
もうしばらく経ってもっと具体的な話ができるようになったら、面白くなっていくのかなと思いました。


まず、資本政策で必要なことは、将来の設備投資計画などビジネスプランをしっかり策定し、資金需要(どれくらいの資金が必要か)を検討することから始まります。
さらに、IPO(株式公開)を目指しているのであれば、創業者利益・従業員のインセンティブを検討する必要があります。
などなど、考えなければいけないことがたくさんあって、複雑です。

また、安易に増資をすると経営陣の持株比率が下がって、誰のために一生懸命に働いているんだろうという状態に陥ることもあります。
資本政策は、事前に策定しておかないと後戻りはできません。


事業提携したいから株式を発行してくれとか、将来IPOを目指すからストックオプションを今のうちに大量に発行しておこうとか、よくありがちですが、よく検討した上で実行に移す必要があります。

また、来期からは新しい会社法が施行されますので、知識を仕入れておく必要があります。

最近資本政策の相談を受けることが増えてきたような気がします。
公認会計士は、商法も試験にあるので、会計と商法が分かるということで強みがあるのかなと思ったりもしました。

---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!






仙台TEO 第4回交流会

2005-12-25 11:24:18 | 起業家支援
12/23に 仙台TEO 第4回交流会が開催されました!

今回はドリームゲートとの共催でした。
若い参加者たちがたくさん集まって、第2部の懇親会も盛り上がりました。

今回の交流会でビジネスを立上げようとしている人たちと何人か新に知り合うことができたのが大きな成果です。
知らない色んな人と知り合うことができて楽しかったです。

エンジェルプログラムについては、今後の課題をみんなで検討し、来年は更にパワーアップできるようにしていくつもりです。

---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!

プレゼン資料作り

2005-12-19 01:05:03 | 起業家支援
こんどの仙台TEOの交流会のプレゼンを行う起業家に一日付き合って、プレゼン資料の作成をお手伝いしました。

彼が伝えたいことをまとめ、パワーポイントに起こす作業です。
途中、スライドショーを織り込み、聴衆をあきさせないように仕上げました。
出来栄えについては、当日のお楽しみということでお願いします。

その後、仙台TEOの活動予定についてミーティングをしました。
起業家が二人来ていたので、彼らの要望を聞きながら新たな活動を検討しました。

主な内容については、そのうち仙台TEOのブログに載せる予定です。

---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!
これって面白そうです。

ビジネスプランの検討

2005-12-16 08:37:31 | 起業家支援
仙台TEOのエンジェルプログラムに参加していただいた起業家の方のビジネスプランを検討しました。
といってもこれが初めてではなく、もう何回も検討しています。

何回も検討していますが、毎回改良が進んでいます。ここがすごいところです。
今回は、プレゼン内容の検討と価格設定について。
今回の検討をしていてふと思ったことを書いてみます。


プレゼンは事業に対する想い、事業の説明、将来の展開などをバランスよく行わないと聴衆に伝わりません。
聞いていて、「あ、そうなんだ」というところを作って、聴衆をぐっと引き付けるところを作るべきです。
なかなかその部分を作るのが難しいのですが・・・。

価格については、低価格を打ち出す戦略を採りがちですが、どうかな?と思います。
消費者のニーズは、「安くて高品質なもの」と思いがちですが、果たしてそうでしょうか?(みんなそうでしょうか?)
高級品を作っているところは、高いのにバカ売れしています。
身近なところでは、高級アイス。
普通のアイスは、1円でも安くすることにきっと頭を悩ましているでしょう。
高級アイスは、きっと1円でも高く売るためにはどうしようか頭を悩ましているのではないでしょうか?

安く売るより、高く売る戦略を考えるほうが絶対楽しいはずです。
せっかく自分で商売をやるのなら、楽しいこと、わくわくすることをやらないとつまんないですよね。

---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!
これって面白そうです。

エンジェルから出資を受けるには

2005-12-15 08:43:54 | 起業家支援
あるエンジェル団体の会員の方から、今まで活動をしてきて問題になっていることをお聞きする機会がありました。

「色んな会社に出資してきたけど、配当もよこさなければ、何やっているかの報告もないんだよね。何のために出資したのか・・・。」

やはりそういうことがあるのか。と思いました。
問題点は、いろいろあると思うのですが、今回は問題点の分析よりも、何をするべきかを分析してみたいと思います。

①配当
「儲かっているのに配当をしないことに不満を持っている」
このことは、逆にとれば、儲かったら配当をするという意思表示をすることによってエンジェルからの出資をしやすくなることを意味しているのではないでしょうか?
エンジェルに見せるためにビジネスプランを作成する際、多くの方はバラ色のビジネスプラン(右肩上がりの業績になるようなビジネスプラン)を作成していると思いますが、ビジネスプランに配当予想(配当の約束)も入れておくとエンジェルからの評価も高いのではないでしょうか?(現状ではビジネスプランに配当をきちっと入れているものは少ないので)


②ディスクロージャー
「会社が今何をやっているかさっぱりわからない」
完全なディスクロージャー不足です。これも逆にいえば、会社のディスクロージャーの方針を明記することで、エンジェルに関心を持ってもらえる可能性が高くなります。
会社は「営業報告書」を作成する必要がありますが、これすらも作成していないのではないでしょうか?
営業報告書を作成するのは当然として、毎月の状況をエンジェルに報告するというのはどうでしょうか。月次決算を行い、簡単な分析、営業の報告を行う。
そもそもスタートアップの時期に出資するエンジェルの出資の動機は、お金(リターン)だけではありません。自分が出資した会社の成長を楽しみにし、現状抱えている問題(悩み)を共有して解決するということを楽しみにしている方が多いと思います。特にリタイアして若い起業家を育てたいと思っている方はなおさらです。
簡単でもよいので、毎月会社の現状を報告することを宣言することで、エンジェルに関心を持ってもらえるのではないでしょうか?


上記のことは、文章で書いていると当たり前のことですが、実行している会社は少ないです。
しかし、エンジェルにビジネスプランを見てもらう際には、必ずこの2つを明らかにしておく必要があるのかなと思いました。


ただ、日本のエンジェルは、スタートアップの時期に出資してくれる人は少ないようです。むしろ、VCが出資している案件に乗って出資する人が多いようです。(ただ、このような方をエンジェルと言うかどうかは疑問ですが・・・。)

---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!
これって面白そうです。






半期報告書 規則の様式って・・・

2005-12-14 00:50:10 | 会計
ようやく半期報告書のチェックも終わり、落ち着いてきました。

半期報告書を見ていて常々おかしいなぁと思うことがあります。
細かい話ですが、「中間連結B/S」と「中間B/S」の様式の違いです。

(くだらないくらい細かい話なので、興味ない方は飛ばしてください。)

両者の書き方ですが、通常左右に二段書きをしています。
が、「連結」は<右>をメインに、「個別」は<左>をメインに記載しています。
たとえば、松下電工の半報をごらんください。(PDFでちょっと重いので気をつけてください!)

現金及び預金の数字の記載をよく注意して両者見てください。
右左記載している場所が違っていると思います。

両者違っていますが、はっきり言って同じ書き方でいいと思います。
でも、規則で決まっているからしょうがないのでしょうかね。

きっと、両者違う人が規則を考えたからバラバラになってしまったのでしょうね。


あと、規則の様式4号(連結B/S)の固定資産の勘定の内訳を見ると、次のようになっています。

有形固定資産
無形固定資産
連結調整勘定
その他
投資その他の資産

連結調整勘定はその他と合算することになっていますが、連調は無形固定資産なので、何か違和感を覚えますね。

---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!
これって面白そうです。



ビジネスプラン15本

2005-12-08 02:09:38 | Weblog
CIFTから依頼のあったビジネスプランコンテストの書類審査をやりました。

一生懸命書いている人も多かったので、1時間ぐらい掛けて見たりして、思いのほか時間がかかってしまいました。

中には面白そうなもの、勉強になったものがありました。

Amazon ECS 4.0 というものが存在しているらしいです。

---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!
これって面白そうです。

仙台の20年先を創る20名

2005-12-03 10:51:00 | 起業家支援

「仙台の20年先を創る20名」の方々を集めての講演と交流会に参加してきました。
なんともありがたいお話です。これも石井さんと竹井さんというこれからの仙台を背負って立つお二人と知り合いになれたからです。


起業家の方や行政・大学の方など、これからの仙台のキーパーソンが多数いらっしゃいました。
塾のポータルサイトを運営している遠藤さん、行政で起業家精神を発揮している天野さんなど、新たな面白い方に出会うことが出来て有意義な交流会でした。


2次会にスペインのバル風の立ち飲みバーに行ってもっと、いろんな話をしました。なかなか仙台も面白い街のようです。



---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!

ビジネスプランの検討

2005-12-01 00:38:29 | 起業家支援
東京出張が終わり、仙台に戻ってきました。

その後、ミーティングの約束をしていたので事務所に戻りました。
今度の仙台TEOのマッチング大会に参加する起業家のビジネスプランの検討です。

その方は、もう起業の準備を始めていてアクションプランを具体的に検討されていました。
ビジネスプランもかなり具体的になっていたのですが、細かい点を見ると足りない点もいくつかあったり、具体的な人集めなど、検討することが結構必要でした。
今回の検討でもっと具体的になって、かなりいいプランになってきたと思います。
次回は1年分の資金繰りを検討する予定です。

かなり面白くなってきたかと思います。
このビジネスが成功して大きくなってくれるといいなと思います。

良く考えると、仙台TEOはもともとこのようなビジネスプランの検討をしていたことを思い出しました。
これからも、いろいろな方のビジネスプランの作成のお手伝いをしていけるといいなと思います。

---------------------------------------------
このブログのほかに 東北温泉物語 も更新中です。
固い話ではなく、温泉関係中心に書いています。
よかったら見てください!