起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

監査報酬

2005-07-31 22:15:37 | 監査
公認会計士協会リサーチ・センターから、毎年1回の「監査実施状況調査」というものが公表されていて、監査報酬の統計を公表しています。(週刊経営財務No.2725等参照)

H15年4月期~H16年3月期の監査報酬はどうだったか簡単に分析してみたいと思います。

Ⅰ.証券取引法監査
  最高 202百万円
  最低 60万円
  平均 20百万円
  なお、売上高1兆円以上の会社の監査報酬の最低は、5百万円です。

Ⅱ.商法監査
  最高 67百万円
  最低 10万円
  平均 6百万円
  ちなみに、売上高5千億円以上の会社の監査報酬の最低は、150万円です。


*証券取引法監査においては、有価証券報告書等の経理の部を監査するので、ボリュームが多く、一般的には手間がかかります。


証取法監査の最低の60万円、商法監査の最低の10万円というのは、こんなに少なくてまともな監査ができるのか疑問なところです。
ただ、証取法監査といっても必ずしも上場会社の監査とは限らないので、簡単には比較できないでしょうが、証取法監査の報酬が60万円というのはあんまりだなぁと思います。

最高額が2億円ちょっと。アメリカに比べるとかなりの差があることが分かります。
エンロンは26億ドルもらっていたことを考えると、最高額の比較においても日本の監査報酬の低さが分かると思います。

なお、先日の日経新聞に掲載されていたH17年3月期の監査報酬で、トヨタ自動車の監査報酬が18億円とされていました。
これは、EDINETで有価証券報告書を閲覧し、「提出会社の状況」の「コーポレートガバナンスの状況」を見ると記載があります。
ただし、よく読むとこの18億円というのは、連結企業集団の監査報酬ということが分かります。つまり、国内外の連結子会社の監査報酬を合算したものだということが分かります。
トヨタ自動車単独では、3億46百万円です。この金額は日本でも最高ランクになるでしょう。


エンロンのように高い監査報酬が「監査の独立性」という観点から問題視されることがあります。
一方、低い監査報酬が「監査手続の十分性」という観点から問題視されることがあります。

両者とも「監査の質」に問題があるとされますが、その質の内容は大きな違いがあります。





不正の監査

2005-07-29 18:34:21 | Weblog
不正の監査と言っても、不正発見のための監査の話ではありません。

会計監査の話です。
今までの会計監査では、特別に不正発見のための手続は求められていませんでした。
つまり、財務諸表の重要な虚偽記載につながる不正については、当然見逃してはならないのですが、不正発見のための特別な手続は求められていませんでした。あくまでも通常の監査手続を実施していくなかで発見した不正があれば、経営者や監査役に報告することが求められていたのです。

しかし、新しい不正に関する委員会報告書(草案)をみると、不正について特別に手続を実施することが求められています。

私が所属する事務所では、新しい委員会報告書は、3月に公表された委員会報告書と切っても切離せない一体の基準ということで、早期適用する予定です。
多分四大法人は全て早期適用することになると考えられます。

まだ正式に公表されていない委員会報告書を早期適用するって変な感じがしますが・・・。



関連当事者の注記

2005-07-27 01:34:01 | 会計
関連当事者の注記について、企業会計基準委員会で検討が行われているようです。

現在は、親会社と関連当事者との取引のみが開示の対象となっています。
つまり、連結財務諸表の注記となっているにもかかわらず、単体ベースでの開示となっているのです。

昔からおかしいと批判されていましたが、関連当事者の範囲を子会社の関連当事者まで含めてしまうと実務上把握が困難(そんなの把握できないよ、という声)として、長年この問題が放置されてきました。

しかし、IAS24やFAS57との整合性を考えると、そういっていられなくなってきたようです。
来年度には、子会社との関連当事者の取引を開示対象とするかどうか検討するようです。

たな卸資産の低価法の問題点!? 最終仕入原価とのからみ

2005-07-26 01:47:40 | 会計
たな卸資産の評価については、将来低価法が強制される方向に議論が進んでいると、以前レポートしました。

低価法を採用している会社の中には、期末の時価を調査することが難しいので、最終仕入価格を期末の時価と考えているところもあると思います。
つまり、「最終仕入単価」と「帳簿単価」のうち低い単価を採用することで、評価損を計上している会社もあると思います。


この方法における問題点をちょっと検討してみたいと思います。

問題は、期中に仕入値引(割戻しも含むこととします)があった場合に起こります。
通常の値引の場合ならいいのですが、販売価格が下落しているがメーカーの販売価格は変えずに後で値引をして帳尻を合わせる方法をとっていた場合は厄介です。(このような値引の形態はよくあると考えられます。*1)

次のような仕入を考えます(在庫は長期滞留しないものとします)。
① @100 10個
② @100 10個(累計で20個販売すると@5 値引される)
③ @100 10個(累計で30個販売すると@25値引される)


会計方針で総平均法を採用しているとすると、帳簿単価は90円になります。
最終仕入単価は、75円になります。
したがって、低価法で採用する単価は、75円になります。


ここで、すべて売れていれば問題ありませんが、在庫があった場合、問題です。
在庫の数が多ければ多いほど、低価法評価損が多くなります。
この評価損の計上は、翌期の売上原価の減少を通じて利益の増大をもたらします。
つまり、損失の先取りのような形になってしまうのです。

特に仕切り単価の修正(@100で販売していた製品の単価を過去に遡って修正する意図行う値引)の場合、後からの値引は値引率も高くなります。
しかし、この値引(上記の例でいえば@25の値引)は、当初@100の金額を訂正するつもりで行ったものである場合もあります。
この場合、@75は実際の市場価格よりもかなり安い単価となっている可能性があります。
したがって、単純に最終仕入単価と帳簿価格のうち、低いほうを採用して低価法とする計算の方法は、正しく損益が計算できない可能性があるのです。


*1
メーカーは売上単価を変えずに販売したいのですが、ライフサイクルの短い製品の場合、短期間に販売単価が下落してしまいます。
ただし、価格の改定を行う手間(その他営業マンのインセンティブの関係上も)を考えると、後で値引きして対応したほうが手間が省けます。
そこで、高い販売単価のまま販売し、後で値引対応することがしばしば行われます。



「ぷりん家」さん 発表会

2005-07-25 02:18:59 | 起業家支援
以前、プリン専門店での起業ということで仙台TEOに来ていただいた濱口さんのプレゼンに参加してきました(以前ブログでもちょっと紹介した方です)。


今回はOPEN直前企画ということで、ぷりん家の紹介だけでなく

材料(牛乳・砂糖)の試飲・試食
プリンの試食
ぷりんペイドカードの予約

もありました。

砂糖は、なんとばいこう堂の和三盆糖を使っているとうことです。
グラニュー糖と比べてみると、グラニュー糖のとげとげしい甘さと和三盆のやさしい甘さの違いがよく分かりました。

牛乳は低温殺菌牛乳だそうです。
高温殺菌の普通の牛乳と比べると、においがぜんぜん違います。
高温殺菌の牛乳はいやな臭みがあるのが分かりました。

材料は、牛乳と砂糖と卵だけ、安心して食べられるプリンだそうです。


以前試食させてもらったときよりも、甘みというか風味が加わったような感じがしました。
モロゾフのプリンと食べ比べをしましたが、好みでしょうが、比べてみるとモロゾフのプリンはわざとらしいにおいが気があるかなという気がしました(プリンらしいにおいだという人もいると思います)。

素朴で美味しいプリンに仕上がっていたと思います。
がんばって、おいしいプリンを世の中に広めてください!



ちょっと暗くなってしまってよく分かりませんが、発表会の様子です。


こんな感じで試食させてもらいました!


社内研修の講師 新年度の監査

2005-07-25 01:45:34 | 監査
社内研修の講師の指名を受けてしまい、奮闘中です。

新しい監査基準委員会報告書が3月末にどっと公表されたためです。(そういえば、以前にもちょっと書きました。)
また、海外では監査基準が改定され、新基準にしたがって監査を行うことになっており、日本の会社でも海外でファイナンスを行っている会社(およびその子会社)は新しい監査基準に従う必要もあるからです。

どこの監査法人も同じなのでしょうが、毎年毎年監査の手法が変わるというのは、どうにかならないのでしょうか?
もちろん、手法が変わるといっても、やっていることはそれほど変わるわけではありませんが、文書化の方法が変わったり、必要な手続が追加されたり、ツール(監査用のソフト)が変わったり、といったことです。
年々必要な手続が増えていく一方です。


先日講師向けの研修に参加しましたが、テキストはキングジムファイルのようなファイルに閉じられていて厚さが5センチ以上!
そのほかの資料をあわせると10センチ以上!

中身を見るだけでも膨大な時間がかかりました。

更に、パワーポイントのファイルを全部チェックし、話す内容を講師用テキストと照らし合わせて・・・
などという作業をしていると、土日はあっという間に過ぎてしまうのでした。

気がつくと、もうこんな時間。


なんとか、一通り、パワーポイントを見直し、ノートにコメントを入れ、・・・といった作業は終わりました。
あとは、もう一度見直して、スムーズに講義ができるかチェックをしなければ・・・。


研修は火曜日。果たして間に合うのか?


仙台TEO ミーティング

2005-07-23 23:54:24 | 起業家支援
今日は仙台TEOのミーティングに参加しました。
このところ、毎週土曜日にミーティングを行っています。
メンバーの日程に合わせると、一番参加しやすいのが土曜日だからです。
金曜日まで出張というパターンが多かったのも原因です。

最近は、若い起業家、起業家のたまごがいつも参加してくれて助かっています。
現在進行中のになっているのは、エンジェルとのマッチングプロジェクトです。
大枠は決まってきたので、あとは、細かい詰めとPRをどうやっていくかです。

出張が多くて平日動きが取れなくて、なかなか平日人に会いに行くことができないので、
サポーターの方たちに会いにいけず、ちょっとどうしようか考えています。

仙台の若い起業家に少しでも貢献できるようになるといいなと思っています。

「のれん」の会計処理

2005-07-21 01:02:20 | 会計
「のれん」の会計処理を現在企業会計基準委員会で検討しています。


「のれん」は、「営業権」ともいいます。通常、財務諸表には「営業権」と表示されます。

のれんとは、合併等の企業結合を行う際に、買収価額が純資産時価よりも高い場合に発生する差額のことです。
逆に、低い場合に発生する差額を「逆のれん」とか「負ののれん」ということもあります。
ただし、通常の企業結合では「負ののれん」ではなく「のれん」が発生する場合が多いと考えられます。

それでは、純資産よりも高い値段で買収等を行うのはなぜでしょう。
純資産よりはるかに高い値段で会社を買収することが往々にしてあります。
これを経済合理性にしたがって分析すると、次のようなことが考えられます。

・相乗効果
相手の会社が単独で事業を行うよりも、一緒に事業を行う場合の方が高い効果を生み出すことが期待できるため。
つまり、企業価値は互いに1しか無くても、両社が一緒に事業を行うことによる効果がその他に1あり、1+1=3 となる可能性があるということです。
この場合、純資産時価が1でも2までお金をだすことができます。


現在、企業会計基準委員会で検討しているのは「のれんの償却」です。
のれんは、日本の会計基準では取得後5年以内に毎期均等額以上の償却しなければならないことになっています。
中には即時(1年で)償却する会社もあります。

現状では即時償却が即会計基準違反となることはありませんが、企業の状況を正しく示しているか疑問があるところです。

①「のれん」が発生するということは、相手先の純資産時価よりも高い価値を認めて対価の支払を行っているにも関わらず、その「のれん」を即時償却するということはその価値の減少を認識していることになる。
②償却期間(のれんの効果の発現期間)の見積もりが困難であることを理由に即時償却を行うべきという考え方もあるが、それは有形固定資産の耐用年数の見積もりも同様であるから、のれんのみ即時償却を認めることは、他との整合性がとれない。
③のれんを即時償却することにより、取得による収入は売上に計上されるものの、償却額を特別損失に計上した場合、その後の投資額が低く評価され、結果として即時償却後の営業費用が低く計上されることになり、営業損益が投資の成果を反映しない。

特に、即時償却した費用を特別損益に計上することは、問題が大きいと考えられています。
のれんを即時に償却するということは、取得時の収益は1年しか反映されないということですから、取得時の収益と反映させるため、償却費は営業費用とするべきと考えられます。


現在、のれんの償却については審議中ですが、即時償却・特別損失処理、非償却資産としての取扱については認められないことになりそうです。





20京円!

2005-07-17 22:40:01 | 起業家支援
経済関係の雑誌を読んでいたら、最近は株式投資の話題がよく書いてあるようです。
流行なんでしょうか?

「300万円を元手に1日1%(3万円)の利益を目標にデイトレード」という人の話が載ってました。
年間にすると1,000万円以上の利益を上げているそうです。

1日3万円だと、1年で250日取引するとして、750万円の利益となります。
ただ、儲けた利益を元本に組み入れたら、どうなるでしょう。

つまり、
1日目は、元本3,000,000円、利益30,000円
2日目は、元本3,030,000円、利益30,300円
3日目は、・・・

1年で約3,600万円になります。
750万円とは結構差がありますね。

ちなみに1日1%ではなく、5%の利益を上げられれば、約6,000億円になります。
1%で10年運用できると、20京円(1兆円の20万倍:1ゲイツ=4兆円とすると、5万ゲイツ)
ははは。。。

まあ、1億円を超えたあたりから株式市場に影響を与えだすでしょうから、利益を1%稼ぎ出すのは難しくなるでしょう。

まあ、世の中それぼどうまい話はないんでしょうね。


クローズアップ現代 情報開示が企業を変える

2005-07-15 00:39:24 | 監査
「内部統制の評価・検証基準」が公表され、早ければ2年後から制度化される予定です。

NHKのクローズアップ現代で、こんなマニアックな話題が放送されていました。
企業にとってはコストや手間が膨大にかかり、大きな影響のある話ですが、NHKで放送されているとは思いませんでした。

一昔前はテレビや新聞で会計が話題になることはほとんどありませんでした。
しかし、最近は、「有価証券報告書」とか「粉飾決算」とか会計の話題がテレビや新聞の紙面を埋めるなどという状況が起きるようになってきました。

日本の会計・監査の環境は変わりつつあるなと実感しています。

棚卸資産の会計基準の見直し

2005-07-14 08:12:33 | 会計
現在、棚卸資産の会計基準が議論されています。
棚卸資産とは、販売目的に短期的に保有する商品や製品のことをいいます。

日本の会計基準と米国基準(USGAAP)、国際財務報告基準(IFRS)で相違があるので、現在その調整を検討しているのです。

以下、会計基準の相違と見直しの内容です。

<低価法>

日本基準
 原価法と低価法の選択が認められている。

USGAAP、IFRS
 低価法が強制される。


<資産の範囲>

日本基準
 連続意見書第四
 販売活動及び一般管理活動を目的とする物品(ex.チラシなどの貯蔵品)を棚卸資産の範囲に含めている。

USGAAP、IFRS
 ARB43号、IAS11号
 消耗品・貯蔵品は製造目的の物品に限定している。


日本基準
 未成工事支出金を棚卸資産としている。

USGAAP、IFRS
 ARB45号、IAS11号
 未成工事支出金を債権としている。


日本基準
 販売用不動産を棚卸資産としている。

USGAAP
 ARB43号
 不動産は棚卸資産に含めない。


<金融投資と考えられる棚卸資産の時価評価>

 トレーディング目的の商品(金地金などのコモディティ)を棚卸資産としている。
 時価評価はできない。


<P/L上の表示区分>

日本基準
 企業会計原則注解10に詳細に規定

USGAAP
 通常は売上原価とする。

IFRS
 規定はない。


<後入先出法>

日本基準
 後入先出法を認めている。

USGAAP
 後入先出法を採用する場合、原則として切放法を採用しなければならない。

IFRS
 後入先出法は禁止されている。
 

ハードワーク

2005-07-08 23:15:48 | 起業家支援
久しぶりにまとめて本を読みました。
本屋で平積みになっていた本をパラパラ見ていて面白そうだったので、読んでみることにしました。


藤田晋氏  「渋谷ではたらく社長の告白」
野尻佳孝氏 「史上最短で、東証二部に上場する方法。」
乙部綾子氏 「私のポジティブ仕事術40のヒント」



藤田晋氏はサイバーエージェントの社長
野尻佳孝氏はテイクアンドギヴ・ニーズの社長
乙部綾子さんは言わずと知れたライブドアの広報



この3冊は、著者の経験をノンフィクションにしてまとめたものです。
魅力的な著者であるがゆえに、作られたドラマを見るよりもはるかにドラマティックな人生を送ってきたことがわかります。

藤田氏の所有株の時価が470億、野尻氏の所有株の時価が240億(乙部さんは?)というような保有資産だけを捕らえて興味本位で語られることも多いと思いますが、お金だけでなく志というものを感じさせる魅力的な人たちでした。


また、3人に共通して言えるのは(3人を同じ土俵に並べるわけではありませんが)、「ハードワーカー」ということでしょう。
仕事に打ち込んでギリギリのところで生きている姿に、読んでいて「勇気」を持たせてくれます。

これらの本を手に取ったのは、彼らから「成功のヒント」を得たいからではありません。
彼らが考えることから、「人生の楽しみ」を見つけてみたいと思ったからです。


そもそも「成功」するかしないかに単純なパターンはないと思っています。

たとえば、藤田氏は、創業時から無理して広い立派なオフィスを借りています。それは、広いスペースがあることで「あせり」をつくり、仕事を受注する「糧」にしてきたからです。

一方、野尻氏は、創業時にギリギリの出費しかしないように努力し、東証二部に上がった現在も南青山の質素なオフィスで仕事をしているそうです。

そして、ご承知のとおり、ライブドアには社長室がなく、社長は社員と机を並べているといいます。


ベンチャーで成功している会社のオフィスは、広かったり狭かったり、豪華だったり、質素だったりとバラバラなのが分かります。



社長の二人は、トップセールスマンだった点で共通しています。
二人の本を読んでいて感じたのは、仕事に対して「腹が据わっている」ということです。
また、目的を達成するために、本当に良く考えて行動を起こしているということです。
このことは、仕事をしていく上でいい刺激になりました。


この3冊は、内容も面白く、あっという間に読んでしまいました。
また「勇気」が沸いてくるいい本でした。







渋谷ではたらく社長の告白

藤田晋

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史上最短で、東証二部に上場する方法。

野尻佳孝

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ライブドア広報 乙部綾子 私のポジティブ仕事術40のヒント

乙部綾子

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経営者の主張

2005-07-07 22:00:20 | 監査
今年の3月31日に監査基準委員会報告書が、新たに公表または改定されました。
これは、①一連の企業不祥事や②EUの国際財務報告基準の改定に対応する国際監査基準の改定に他おい王するものです。


具体的には、以下のとおりです。

27号 監査計画
28号 監査リスク
29号 企業とその環境の理解及び重要な虚偽表示リスクの評価
30号 評価したリスクに対応する監査人の手続
31号 監査証拠
 5号 監査リスクと監査上の重要性

かなりボリュームがあり、見るだけで圧倒されてしまうものですが、職業上、読まざるをえません。

これらの委員会報告書が公表される前に、公開草案が公表されていましたが、
公開草案と異なる表現が委員会報告書で記載されているものがあります。


それが、「経営者の主張」です。

公開草案では、「アサーション」と書かれていました。
「アサーション」・・・直訳すると「主張」・・・誰の主張かというと、「経営者の主張」。。。
もちろん、かつて年明けにNHKがやっていたXXXの主張では・・・・ありません。
監査論の学者の中には、以前から「経営者の主張」といっていた先生もいたように記憶してます。

以前は、「監査要点」と言ってました。
かといって、「監査要点」=「経営者の主張」ではないのでご注意を。



「経営者の主張」って、何なのでしょうか?

そもそも、財務諸表は、経営者が作成するものです。
もちろん、経理の担当者が作成しますが、経営者が経理担当者に任せて作っているのです。


財務諸表は、「経営者の意見」といわれることがあります。
それは、財務諸表には、「会計上の見積り」と「会計方針の判断」が<つきもの>だからです。

つまり、固定資産の耐用年数(ex.機械を何年使うか)は、経営者の意思によるものですし、
売掛金が回収不能となる可能性は、見積りの域を出ないからです(将来のことは誰にも分からない)


したがって、財務諸表項目の数字(現金が300万円、売掛金が500万円など)は、極端に言えば経営者が「こうだ」といっている数字に他なりません。

具体的に言えば、
貸借対照表に 現金300 と表示していたとします。
その意味は以下のとおりです。
①現金が300実在しています(実在性)
②現金は300しかありません(網羅性)

これが、「経営者の主張」です。


意味不明かもしれませんが。。。。。


監査を行う際には、この「経営者の主張」を検証していくことになります。

①現金が300実在しています(実在性)
という「経営者の主張」を検証するために、実査をします。
つまりは、金庫にお金がきっちり保管してあかどうか数えに行きます。


②現金は300しかありません(網羅性)
という「経営者の主張」を検証するために・・・これを検証するのはちょっと難しいですが、
金庫の中に実査した以外のお金がないか見てみます。
金庫を見たら、帯封のかかったお札の束が。。何てことがあったら大変です。
ちなみに、「預金の網羅性」なら、銀行に残高確認状を発送します。


「経営者の主張」・・・一度聞くと忘れない言葉です。




楽天野球団の島田社長と面談

2005-07-04 00:59:02 | 起業家支援
先日の土曜日、楽天野球団の島田社長と面談してきました。

仙台TEOの活動の一環で何か協力をしてもらえないかと思ったからです。
お忙しい方のようで、アポをとるのも大変でしたが、何とかお会いすることはできました。
代表幹事の千賀さんと一緒に仙台TEOの活動を説明し、ちょっとした企画を見ていただき、
これからの活動のヒントをいただきました。

何かと野球で取り上げられている島田社長ですが、起業家のバックグラウンドもお持ちの方で、
おっしゃることはストレートで的確。さすがだなと思いました。
起業家支援には興味をもっていらっしゃるようで、我々の突然の要望にも無下に断ることなく対応していただき感謝しています。


仙台地区の起業の活性化のために仙台TEOも、もう少しがんばらないといけないかなというのが実感です。
楽天のeコマース部隊が仙台にやってきた際にはまた、ご協力をお願いしに行こうかと思っています。

「こうしたら病院はよくなった!」

2005-07-04 00:36:36 | Weblog
病院というのは、今までのイメージからすると「儲かっているんだろうな」という感覚を持っていました。
「3時間待ちの3分診療」と俗に言われるように、患者さんはひっきりなしに病院に来て、手間もかからないから。

しかし、最近の事情はそうでもないようです。
医療改革が進んで、診療報酬は確実に下がり、経費の節減を行っていない病院の収益構造は悪化する一方であるらしいです。
病院経営では、収益が増えれば費用も比例して増えるというのが常識のようです。
高い報酬の治療には高い「薬」や「診療材料」などを使うからです。

したがって、収益構造を良くするためには、薬・診療材料以外の経費を減らすしかないようです。


この本では、収益構造を良くするためにはすべきことが具体的に書かれています。
その一つ一つはまさに経営改善のノウハウであります。
また、それだけでなく病院の目指す姿も描かれています。

その一環として、日本の病院の仕組みや問題点なども書かれていますが、このことは普通の一般人にとっても直接・間接に問題となっていくことに間違いないでしょう。


この本ではじめて知って驚いたことをちょっと書いておきます。

・門前薬局は患者のためにならない(病院で薬を渡していた昔のシステムは世界に誇るべきシステムだった)
・医師の学閥の壁があるので、同じ病気でも学閥で治療方法が違う
・4年生看護大学の乱造で看護士の就職が悪化している

その他もろもろありますので、ご興味あれば一度読んでみてはいかがでしょうか?



こうしたら病院はよくなった!

中央経済社

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