アメリカの子会社に商品を売ったとします。
代金の支払いは1ヵ月後の場合、円高になると損をしてしまいます。
(例えば、1万ドルの商品を売ったとき、1ドル100円が70円になってしまうと、30万円少なく受取ることになってしまいます。)
そこで、為替予約を行うと、為替によるリスクを回避できます。
(これをヘッジ<Hedge:保険つなぎ>といいます)
個別財務諸表上、振当処理ができる場合、期末の売掛金は予約レートで換算されます。
円建ての支払額が予約レートで確定するからです。
為替予約の仕訳は必要ありません。
それでは、連結財務諸表ではどうなるのでしょうか?
連結上、子会社に対する売掛金は相殺消去されます。
したがって、連結上はヘッジ対象(売掛金)が消去され、ヘッジ手段(為替予約)だけが残ることになります。
つまり、何にもないところに為替予約を行ってしまっているので、ヘッジにならないことから、為替予約は時価評価しなければいけません。
ところで、連結上このことに気がつかずに仕訳を起こさなかった場合、どうなるのでしょう。
親会社の売掛金は予約レート、子会社の買掛金は決算日レートで換算されています。
両者の円換算額は一致しませんが、その差額をその他流動資産負債としていた場合、結果的に何も修正仕訳を行う必要がないことになります。
単純に考えると、為替予約を時価評価するのだから、損益のインパクトが出てくるのでは?
と考えがちですが、実は違います。
損益のインパクトはありません。。。
なぜかといいますと、必要な修正は次の二つです。
①親会社の売掛金を予約レートから期末日レートへ修正する。
②為替予約を時価評価する。
①の仕訳で、損益が発生します。
②の仕訳で、①とは反対の損益が発生します。
よって損益のインパクトはなくなります(追記:ただし直先差額の配分を行い前払費用・前受収益を計上していない場合)。
必要な仕訳は、結果的に資産負債に計上される為替予約の時価評価額だけになります。
何もしなくても、結果オーライというところでしょうか。
ただし、
有価証券報告書上、デリバティブの注記は必要になりますので、ご注意ください。
注記を忘れると、
訂正報告書が必要です。
訂正報告書は、場合によって「
監理ポスト」行きになってしまいますので。。