起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

名刺作り

2005-08-31 01:25:25 | 起業家支援
仙台TEOという起業家支援組織で副代表幹事をやっています。
資金があるわけではないので、名刺も手作りですし、Web更新も自分でやっています。

そこで、今回は名刺の作り方を書いてみたいと思います。
名刺作りにもポイントがあって、なかなか奥が深いです。

当初は名刺屋さんに頼もうと思っていたのですが、デザインを自由にやろうと思うと料金も高くなってしまいます。
安いところでは、1色刷りで2,000円/100枚ぐらいでやってくれるのですが、ロゴにカラーを使ったり、両面印刷したり、フォントを変えたりすると、途端に値段が跳ね上がってしまいます。

そこで、自分で作ってみることにしました。
自分で作れば、500円/100枚ぐらいでフルカラー・両面印刷の名刺を作ることができます。

名刺作成ソフトで作ってみようと思ったのですが、なかなかうまくできません。
Vectorなどでフリーソフトをいくつかダウンロードして作ってみたんですが、文字の大きさを自由に調節するのが難しく、また、文字やロゴをきれいに印刷するのは難しいようです。

マクロメディアのStudio MXというソフトに入っているFreeHandというソフト(イラストレーターのようなもの)を使ってみることにしました。
結構簡単に文字やロゴの大きさも位置も色も自由に決めることができるので、便利でした。
これなら、名刺作成ソフトは必要ありません。

ここからが大変でした。
文字やロゴのデザイン、位置、大きさ、情報を少しづつ変えながら試行錯誤です。

ある程度余白がないと、スマートなデザインになりません。
また、文字の色は黒かと思っていましたが、少し薄くしたほうがすっきりした感じが出ます。
真っ黒だと、ちょっと重い感じです。

いただいた色々な名刺を見ると、いいデザインの名刺は文字が若干薄めです。
また、余白の使い方もうまいです。

名刺の用紙は好みですが、クリーム色にすることにしました。
真っ白だと、なんとなく野暮ったくなってしまう気がしたからです。
最終的には好みなんでしょうが、デザインを試行錯誤していると、あっという間に時間がたってしまいます。

名刺のデザインを作った後は、GIFで書出しをして、画像データをWORDに貼付けて印刷するのが一番いいと思います。
WORDの宛名ラベル作成機能を使うのです。
ラベルタブ → オプション → サイズの詳細 で用紙にあわせて調整をするといいです。あとは、画像を貼付けて印刷するだけです。


ただ、一番時間がかかるのは印刷です。
一番きれいに印刷できるように設定すると、一枚印刷するにも結構な時間がかかります。
一枚で10枚印刷できる名刺用紙を使うと、1人100枚、5人分印刷するためには、両面で100枚印刷する必要があります。
1枚1分ちょっとかかるとすると、2時間ぐらいかかってしまうのです。

というわけで、名刺作りは簡単ですから、誰か代わって欲しいと思う今日この頃です。

VIAS交流会

2005-08-21 23:57:53 | 起業家支援
学生の起業家予備軍の団体のVIASの交流会に行ってきました。

今回は、VIASのビジネスコンテストの打ち上げを兼ねた交流会です。
私自身は、今回のビジネスコンテストに直接かかわったわけではありませんが、VIASのリーダーが仙台TEOのミーティングに来てくれたりと、親しくさせていただいているからです。

学生がたくさんいて、若いパワーのようなものを感じました。
今後もこういう学生が増えると、日本も面白くなるのかな。

エンジェルとのマッチングProject

2005-08-20 22:55:05 | 起業家支援
仙台TEOの若手起業家支援プロジェクトが動き始めました。

「エンジェルとのマッチングProject」です。
エンジェルとは、未公開の会社の資金援助として投資をしてくれる個人投資家のことです。
ただ、このプロジェクトではもうちょっと広く、ベンチャーキャピタル(VC)や銀行などの金融機関も想定しています。

発想は、資金が必要な若手起業家の起業・新規事業の立上げ・事業拡大をエンジェルにプレゼンする機会を提供できたらいいかなというものです。

ただ、プレゼン大会をしてもレベルの低いビジネスプランがいっぱい出てくる可能性が高いと思われます。
そこで、セミナーの受講をセットにして、少しでもいいものを発掘することも考えています。

細かい段取りを話し合っているうちに、プロジェクト開始前に交流会を開催して、このプロジェクトの概要した方がよいという考えにいたりました。


ということで、今からバタバタと準備に奔走しようと思っています。


詳細はまだ確定していませんが、ご興味ある方、ご連絡ください。
セミナー開始は、10月1日の予定です。

ショッピングセンターの会計処理

2005-08-18 23:42:04 | 会計
今回は、製造業とか商業とは異なるちょっと変わった業界の会計処理を考えてみたいと思います。

今回は、ショッピングセンターです。

ショッピングセンターやショッピングモールは、テナントに売り場を貸し、テナント料を受取るという営業を行っています。
テナント料は、テナントの側から言えば、家賃ということになります。

ショッピングセンターが設定するテナント料は、固定の賃料ではなく、変動賃料であることが多いです。
通常テナント料は、売上高に応じて決められます。
例えば、売上高の1%というようにです。


ショッピングセンターは、テナント料を決定するためにテナントの売上高を把握する必要があります。
そのため、テナントは、ショッピングセンターが用意するPOSレジを使用し、売上金をショッピングセンターに一時的に預けます。
また、G-CATと呼ばれるクレジットカードの端末もショッピングセンターが用意したものを使用させます。

このようにして、ショッピングセンターは、テナントの売上金を把握します。
なお、預った売上金は半月ごとのサイクルで、テナント料と相殺して返還されることが多いようです。
また、ショッピングセンターが受取るカード会社からの入金は、末締翌15日払い、15日締末払というケース(月2回)が多いようです。



この一連の会計処理を考えて見ます。

①テナントが現金売上を行った場合
ショッピングセンターは、現金を預かっているだけですから、仕訳は以下のようになります。
現預金 XXX / 預り金 XXX

売上はあくまでテナントが計上することに注意が必要です。


②テナントがカード売上を行った場合
現金売上と同様です。
未収入金 XXX / 預り金 XXX


③カード会社から入金があった場合
現預金 XXX / 未収入金 XXX


④売上金をテナント料相殺後に変換する場合
預り金 XXX / 売上テナント料 XXX
         / 現預金     XXX
売上テナント料は、受取テナント料とか売上高などで表示されることもあります。


⑤期末決算時(月次決算時)
決算時には、未収のテナント料を計上する必要があります。
未収入金 XXX / 売上テナント料 XXX

④で計上される売上高は、
末日返還分は、1~15日の売上に対応し、
15日返還分は、16~末日の売上に対応する分になるからです。

つまり、半月分未収計上する必要があるのです。


以上です。




「募集株式の発行」って?

2005-08-16 23:55:14 | 商法
新会社法を読んでいると、見慣れない言葉が時々出てきます。
「募集株式の発行」もその一つです。

「募集株式の発行」とは、今まで新株発行・自己株式の処分と呼ばれていた(呼ばれている)ものです。


新会社法を読んでいると、今までの商法とはがらっと変わっているので、新株発行に関することがどこにあるのかなかなか分かりにくくなっています。
新しく変わったので、読んでおかないといけないなと、思っていると、かなり読みづらいので、ちょっとげんなりです。

会社法を読まないといけないと思っている方々もきっと苦労しているんじゃないでしょうか。


学生ビジネスコンテストの講師

2005-08-15 23:59:22 | 起業家支援
学生団体のビジネスコンテストの講師の依頼が来たので、引き受けることにしました。
簡単なレジュメを使って財務会計の解説を行うものです。

団体の方でレジュメを作ってくれて、送られてきたので、ちょっと目を通しました。

自分たちでレジュメを作るとは、なかなか意欲的な団体です。
がんばっているな。と思いましたが、問題は、ここ数年会計基準がどんどん変わっていることです。
タイムリーに会計関係の知識を仕入れておかないと、正確なレジュメを作るのは難しいなというのが、率直な感想です。

レジュメ自体は、B/S、P/L項目を簡単に解説しているものです。


たとえば、

<特許権>
「特許取得のための研究費・出願費用で費用処理されていないもの」という説明文。
しかし、現在は、研究費は発生時に費用処理することになっているので、資産計上される「特許権」は、有償取得した特許権に限られます。

<租税公課>
「印紙税・固定資産税等(法人税・住民税・事業税を除く)」という説明文。
販管費に計上される租税公課は、利益を基準に算定されていない税金です。
現在は、外形標準課税のうち、資本割・付加価値割分については、利益を基準に算定されないので販管費の租税公課に計上されることになります。
つまり、販管費の租税公課に計上されない税金は、法人税・住民税・事業税の一部ということになります。
ただし、外形標準課税は資本金1億円超の会社に限られますから、むしろ正しい場合も多いのですが・・・。

<支払利息割引料>
(手形の)割引料は、昔は日割り計上されていましたが、現在は「手形譲渡損」として全額費用計上されます。


このように、つい数年前までとは異なる会計処理を現在は行っていることがあるので難しいなと思います。
少し前のテキストやネットの情報では、現在の会計処理と異なることが多いので要注意です。

ただ、あんまり、細かい話を会計の入門として学ぼうとする方に話しても消化不良を起こしてしまうので、
大きな流れを覚えてもらうことの方が大事かなあと思います。


株式の譲渡

2005-08-14 22:16:22 | 商法
商法が改正され、新しい会社法では、株式の譲渡の方法が変わるようです。



時系列としては、次のように変わります。

株券交付
 ↓
株券不発行(例外) 株主名簿の名義書換
 ↓
株券不発行(原則) 株主名簿の名義書換



<旧商法(現行の商法)>では、
①株式を譲渡するには、株券を渡す必要がありました。
もし、株券を発行していないため、手元に株券がない場合には、会社に株券を発行してもらってから株券を譲渡する必要があります。

また、株式の譲渡を会社に認めてもらうためには、株主名簿の名義を書き換えてもらう必要がありました。


②なお、平成16年の商法改正で、「株券の不発行制度」が導入されて、定款で株券の不発行の定めをすることができるようになりました。

保管振替(ほふり)制度を利用している株式公開会社は、平成16年6月9日から5年内の政令で定める日において、株券不発行の定款変更決議をしたものとみなされ、株券は廃止されます。

ほふり制度を利用している会社はそのままです。
それ以外の「株券廃止会社」の場合、株式譲渡をするためには、株主名簿の名義を書き換えてもらう必要があります。
株主名簿の名義書換は、共同で行います。
そのため、会社に対して株主名簿に記載された事項の証明書の交付を請求できます。



<新会社法>では、
①株券不発行が原則となります。
定款で株券発行の定めがあると、株券を発行できます。
なお、株券譲渡制限会社では、株主から発行請求がない限り株券を発行する必要がありません。

デモ機の会計処理

2005-08-06 14:43:10 | 会計
研究開発型のメーカーで製作される展示会用のデモ機の会計処理について、考えてみたいと思います。



デモ機は何年かにわたって、展示会でデモに使われると仮定します。
何年かにわたって使う予定ですが、通常は客先の要望に応じて販売されることが多いと仮定します。



まず考えてみたいのが、このデモ機の性格(性質)です。

このデモ機は、展示会で客先からの引合→商談→販売のための広告宣伝に役に立っていると考えられます。
したがって、デモとして利用するために保有している資産です。
固定資産とは、利用するために長期に保有している資産のことですから、デモ機は固定資産にあたると考えられます。

ただし、当初から、最終的には販売しようと(あわよくば売ってしまおうと)考えているわけですから、一方で棚卸資産の性質も持っていると考えられます。


それでは、デモ機の販売時の考え方を見てみたいと思います。

デモ機を固定資産ととらえると、このデモ機が売れてしまったことは、固定資産の売却に当たります。
したがって、取得価額と売却価額との差額が、固定資産売却損益となります。

一方、棚卸資産ととらえると、このデモ機が売れてしまったことは、売上が実現することになります。
当初から販売することが多いことが分かっているわけですから、この考え方にも一理あります。


しかし、売れるまでは展示会用のデモ機として広告宣伝に利用しているわけですから、
棚卸資産の性格ではなく、固定資産の性格を持っているわけです。
また、展示会で利用する期間にわたって減価償却をする考え方が、他の固定資産の会計処理とも整合しています。


これが、高価な機械でなければ、サンプル品として、客先に配ってしまうところです。
客先に配るようなものは、見本費として計上することが多いと考えられます。
また、サンプル品としてもらったものをわざわざ購入することはありません。



考え方はいくつかあると思いますが、以下の会計処理が実態にあっているのではないでしょうか?
①売れるまでは、固定資産として計上し、利用期間にわたって減価償却を行う。
②売れた時点で、固定資産から棚卸資産に振替えて、売上計上する。


問題点は、固定資産から棚卸資産に振替えることが認められるかです。
証取法におけるP/L上も固定資産からの振替金額は、「棚卸資産受入高」として表示されることになると考えられます。
この表示に問題はないかちょっと気になるところです。






商品と製品の違い

2005-08-05 23:57:34 | 会計
似たような勘定科目なんですが、誤解して使っている会社が多いものの一つに、商品と製品があります。

商品は、加工はしないで販売するもの。
製品は、加工して販売するものです。


また、仕掛品と半製品も誤解されやすい点で同じです。

仕掛品は、加工の途中で販売できないもの。
半製品は、加工の途中なんですが、販売できるものです。



会計監査人の登記

2005-08-04 23:59:20 | 監査
新しい会社法が施行されると、会計監査人が登記されます。

現行の商法では、株主総会で決めればそれで十分でした。
会計監査人が登記されるとは、ちょっと驚きです。


会計監査人の責任が重くなっていることの現われでしょうか。
株主代表訴訟の対象にもなりますしね。

パチンコ店の売上

2005-08-03 23:58:50 | 会計
ちょっと変わったところで、今回はパチンコ店の売上を見てみたいと思います。


パチンコ店の売上の把握は難しいといわれることがあります。
昔マルサの女という映画で脱税をするパチンコ店のエピソードが出てきていることからそのようなイメージがありますが、実際のところはそうでもありません。



パチンコの売上は、お客さんが玉を借りて「使用した時点」で計上されます。

なお、パチンコの玉を借りる方法は通常二つあります。
①プリペードカードを購入し、そのカードを使って玉を借りる方法
②現金を玉貸機に入れて玉を借りる方法

①で使うパチンコ台のことをCR機といいます。
②で使うパチンコ台のことをCashMachineといいます。


①の場合は、プリペイドカードを購入するだけでは売上になりません。
玉を借りて使用した時点で売上が計上されるのです。
したがって、未使用のプリペイドカードの分は「預り金」勘定で処理されることになります。
ただし、未使用のプリペイドカードは店が買取ることが多いので、通常は「預り金」の金額はさほど多額にはなりません。


なお、現在は、プリペイドカードを発行している日本レジャーカードシステムは、通信回線を使って
プリペイドカードの「購入」、「使用」度数をリアルタイムで把握しているので、
異常な使われ方(購入よりも使用の方が異常に多いなど)をするとすぐに分かってしまいます。

②の場合は、このように厳格に使用度数が分かってしまうので、売上を操作することは難しいのです。

①の場合は、管理用のPCを通常は使用していて、購入・使用の状況をリアルタイムに把握していて、
通常はシステムをいじることは難しいので、PCのシステムレビューをすれば、売上の信憑性を比較的容易に検証することができるのです。

粉飾等の不正、公認会計士に通報義務!?

2005-08-02 23:53:27 | 監査
今日(2005/08/02)の日本経済新聞によれば、会計監査の過程で粉飾決算などにつながる不正を発見したり、不正の疑いを持った場合に、証券取引等監視委員会・検察等に報告義務の検討を金融庁が行っているとありました。
対象は、証取法・商法監査。
通報を怠ると、懲戒処分。
2007年度に実現予定だそうです。

公認会計士が不正・不正疑惑を見つけた場合の対応は以下のとおりだそうです。
①弁護士に相談
②企業に伝える
③金融庁等に通報

また、監査契約上で、守秘義務を緩和し、通報できることを明記するようにするそうです。



現在は、通報義務はありません。
不正を発見した場合には、経営者・監査役に報告する義務はあります。
また、粉飾の修正を行わなかった場合、監査報告書で不適正意見を表明されることがあります。



この通報義務のポイントは、「不正の疑い」を通報義務としていることにあります。
ただ、「不正の疑い」が明確でないと通報義務を課すのは難しいと思います。
「不正の疑い」はあるが、実際に不正がなかった場合、通報してしまうと、会社は大きな損失を被る可能性がありますから大変です。

たとえば、「経理担当役員の担当期間が連続3年以上」など具体的基準がなければ難しいでしょう。
もちろん、経理担当役員の任期が長いと、不正の発生の可能性はありますが、必ず不正が起こるとは限りません。
「経理担当役員の任期が長く、不正を行っている兆候がある」などの曖昧な基準では実際には通報することはできないでしょう。

また、会計上の解釈(採用している基準が会社の実態に合っているかどうか)によっては、不正の可能性があるような場合の対応も難しいです。
たとえば、出荷基準で売上を計上している会社の売買契約をみると、設置・試運転の完了をもって売上債権が発生するような形態になっている場合があります。
設置・試運転の期日が一定で問題になることが通常はない場合、出荷基準も妥当と考えられますが、
設置・試運転の完了まで長い道のりを経てなかなか相手が認めてくれないような場合には、出荷基準ではなく検収基準を採用するべきであると考えられます。
この場合、検収基準を採用するか出荷基準を採用するかで大きな違いが出てしまいます。
会社がこの場合に出荷基準を採用するべきだと主張した場合に、「不正の疑い」があり、通報義務が発生してしまうのか疑問です。

さらに言えば、商法監査を行っている会社では、不適正意見が出るケースがままありますが、その場合にも通報義務があるのか問題です。
ちなみに、不適正意見が出るケースで多いのは、税法基準で決算を行い、たとえば減価償却不足があるようなケースです。
果たして、このようなケースで通報義務を課しても意味があるのか疑問です。
ただ、企業の実態を正しく示していないと、税法基準ではOKでも、違法となるケースがあるため、企業会計基準に従って決算を行わなければいけないということの啓蒙にはなるのかなと思います。



どうせなら、通報義務が実効性のある規制になって欲しいと思います。


英文財務諸表の監査

2005-08-01 23:59:47 | 監査
海外に駐在所を出すとき、現地の当局から監査報告書付きの財務諸表を求められることがあります。
もちろん、日本語での財務諸表は不可能で、現地の言葉か英語で求められます。
よくあるのが、海外での入札ですが、駐在所の設置の際にも求められることがあるようです。

しかし、日本では、財務諸表に監査が求められるのは限られています。
(資本金5億円以上等の大会社になって商法監査が必要になるか、ファイナンスを行って証取法監査が求められる場合です。)
しかし、中には原則としてすべての会社に監査報告書が求められる国もあるため、その感覚で日本の会社にも監査報告書を求めてくることがしばしばあります。


ここで、大きな問題が発生することがあります。

今まで監査を受けていない会社が、監査を受ける場合です。

たいての会社は税法に基づいて決算を行っていますから、そのままでは監査報告書を交付することは不可能です。
つまり、退職給付引当金や賞与引当金、不良債権に対する引当てなど、税法上は手当てをしていなくても問題ありませんが、
財務会計上は問題があります。(ちゃんと引当等をとらなければいけません)

もちろん、商法上もきちんと処理をしなければ違法であると考えられますが、
税法に従って処理をしておけば、会計監査人監査を受けていない会社で問題になることはほとんどありません。
当然このような風潮(慣行)自体が問題ではありますが・・・。

このように財務会計上問題のある処理をしている会社(ほとんどの監査を受けいていない会社)は、いきなり「監査報告書が欲しい」といわれても不可能に近いです。
まず、財務会計上必要な処理に修正する必要があります。
法律上(商法上)も必要な手当てをする必要があるので、「臨時株主総会」を開催して決算書の修正する必要があります。
税務会計とのズレが生じるので、税務申告書の別表をきちんと作成する必要があります。
監査上も必要な手続きが取れないので、(期首の数字を確かめる手続は事実上困難)監査ができない可能性もあります。
また、日本語の財務諸表を英文に直す際にどの程度翻訳するか(必要な注記を入れるか等)も含めて検討する必要があります。
今は直訳した英文財務諸表に直訳した監査報告書をつけることにも、読者に誤解を与えるとして難色を示すことがあります。


ということで、監査不能ということもありえます。
くれぐれも、突然英文の監査報告書と財務諸表は簡単には作成できませんのでご留意を。