起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

mixi上場資料の分析

2006-08-25 01:47:17 | 会計
前回に引続き、mixiネタです。
今回は、まじめにⅠの部(*1)を読んで分析してみたいと思います。



*会社名
平成18年2月にイー・マーキュリーからミクシィに変更しています。

*売上
第3期から第7期にかけて売上が毎年倍々に増えています。(M:百万円)
71M → 144M → 303M → 739M → 1,893M

*経常利益
第5期から黒字化したようです。
売上高経常利益率は、3% → 22% → 48% と超優良会社になっています。

*当期純利益
経常利益と同様、第5期から黒字化しています。直近(第7期)は576Mです。
売上高当期純利益率は、2% → 13% → 30% と、こちらも言うことがありません。

*総資産
毎年倍々に増えてきます。現在は、13億円です。

*自己資本比率
57% B/Sを見ると、無借金経営でした。

*自己資本利益率
直近(第7期)で119%というとんでもない利益を稼いでいます。
100%を超えているので、自己資本より利益の方が多かったことになります。
なお、計算式は、当期利益÷((期首純資産+期末純資産)÷2)です。

*営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動からキャッシュを594M稼いでいます。当期純利益とほぼ同額です。
稼いだ利益をきっちり現金で回収しているということです。

*期末キャッシュ残高
710Mあります。規模の割りにかなりのキャッシュリッチな会社です。
純資産とほぼ同額ですから、稼いだお金をほとんど分配していないことが分かります。
これからは、貯めたキャッシュをどう使うかが課題になりそうです。

*従業員数
直近で、正社員39名、アルバイト等18名と、かなり少ない人数で会社を運営していることが分かります。
4年前はなんと、従業員は1名(アルバイト6名)だったようです。


*会社の沿革
もともと社長が始めた「Find Job!」というIT系求人情報サイトを有限会社化し(平成11年)、その後「@Press」というニュースリリース配信代行事業を開始。平成16年に「mixi」の運営を開始し、現在に至っています。
なお、「@Press」は平成17年に営業譲渡しています。

*事業内容
①mixi
広告枠の販売、プレミア会員サービス
②Find Job!
Web掲載料収入

*従業員
平均年収454万円、平均勤続年数1.2年、平均年齢28歳です。
従業員のほとんどは入社間もないようです。勤続年数の短さは、仕事がきつくてやめていっているというより、今まで少ない人数で運営していたが、最近人が増えてきたと見るべきでしょう。
従業員が増えてきてはいますが、まだまだ少人数で効率的に運営していることが分かります。

*事業別業績
mixiの売上高は、640M、Find Job!の売上は、1,221Mです。
売上比率は、1:2ぐらいの割合です。
伸び率は、mixiが47倍(!)、Find Job!が1.7倍ですから、売上比率は近づいてくることが予想されます。

*@Pressについて
17年8月に1億円で営業譲渡しています。
売価がそのまま譲渡益になっているので、権利(営業権)を売却したのではないかと予想されます。
直近の売上が5ヶ月で3千万ほどだったので、人件費がどれぐらいあるか分かりませんが、すぐに回収できる気がします。
なお、売却先はネットエイジキャピタルパートナーズという取締役の西川氏の会社です。
関連当事者の注記に記載していますが、取引価格が妥当だったのか(安値で馴れ合いの売却をしていないか)気になるところです。
公開直前のこのような関連会社の取引は、不要な憶測をされてしまうので、本当は控えた方が良かったのではないかと思われます。
証券会社や取引所の審査でも根掘り葉掘り聞かれて、問題が無かったことを信じるしかありません。

*mixi事業の懸念材料
月間閲覧数が60億PV(ページビュー)となっているので、Yahoo!の約5分の1、ライブドアの10倍ぐらいの閲覧数です。
閲覧数の伸びが今後の収益向上のキーとなっていると考えられます。
また、現在は広告収入が収益のほとんどを占めていますので、収益モデルの多様化も課題でしょう。
新たな収益モデルができれば、売上・利益が更に伸びる可能性があります。新たな収益源のプレスリリースに注目です。
サイトの健全性の維持を図ることも重要なようです。信頼性の向上が会員獲得につながるからです。したがって、mixi内でのトラブルにも気をつける必要があるでしょう。

*システム上の懸念材料
会員増加に伴うアクセス数の急激な伸びは、システムを不安定にさせる要因になります。したがって、システム安定にどのような施策をとっているか気になるところです。
時々このようなシステム運用の安定性を強調するプレスをして安心してもらうことも必要ですね。http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060330/233820/

*事業等のリスク
「事業等のリスク」という項目に32項目リスクを挙げています。
ちょっと気になったのは次のことがあります。
・SNS人口・・・平成19年3月末に1042万人になるらしいです(ホント?)
・Yahoo!等経由の利用者・・・4割ぐらいるので、SEO等の対策をしているらしいです。mixiみたいな有名サイトもSEOやっているんですね。
・今後の人材戦略・・・今後の急速な事業拡大に応じて採用をしていくらしいです。
・mixi内の検索機能・・・gooの検索エンジンを使っているらしいです。
・SNSの法規制・・・「インターネット異性紹介事業」に該当しないと判断しているとしています。そもそも、「インターネット異性紹介事業」っていうものがあったんですね。
・特許紛争・・・平成18年7月に特許侵害を理由にシステム利用停止を求められているらしいです。今後の動向が心配です。
・米国SNS業者の特許取得・・・特許に抵触するとなると影響が予想されます。
・資金調達の使途・・・設備投資とは書かれていますが、設備投資計画を見るとまだまだカネ余りとなりそうです。資金の有効活用が課題ですね。
・配当政策・・・内部留保を優先させると書いています。今まで配当はしたことが無いようです。資金使途がないなら、今後は配当を検討するべきなのでしょうね。

*本社
渋谷マークシティにあるようですが、3倍に増床しています。月30千円/坪で借りているようです。
渋谷ですと25千円ぐらいが相場みたいなので、まとまって広いところを借りている分ちょっと割高のようです。
予定としては、平成21年3月までにあと3倍ぐらいに増床する予定のようです。

*株主
株主は6名しかいません。
社長の笠原氏と取締役のバタラ氏、ネットエイジ関係2社、サイバーエイジェント関係2社です。

*取締役の報酬
34M(6名)です。利益の割りに遠慮気味ですね。

*貸倒引当金
2から3%ほど積んでいます。「投資その他の資産」の「その他」に対して全額引き当てを行っています。意外にこの業界は貸倒があるのかもしれません。

*従業員特別精算金
裁量労働制部分の精算だそうです。最近労働基準監督署がうるさいので、将来のリスクを無くす目的で精算したと思われます。
公開審査の項目で裁量労働はチェックされるのかもしれません。

*売掛金の回収期間
41日のようです。末締め翌10日払いぐらいで回収していると思われます。



全体的に概括すると、毎期売上の伸びが倍々と順調に伸び、当期純利益率も30%と高水準、計上した利益をほとんどキャッシュで回収して蓄えていることが分かります。
ここまで良いと果たして公開する必要があったのかな?と思えてきます(ネットエイジの公開に絡んでると深読みしてしまいそうです)。
設備投資では使い切れないと思われます。今後、資金の使途が課題になってくるのかなと思います。




*1 正確には、「上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」といいます。内容はほぼ有価証券報告書と同じですが、特別情報と株式公開情報が追加されています。特別情報は、何か特別なことが記載されているわけではなく、過去3期分(直前5~3期)の財務諸表が記載されているだけです(監査は通常されていません)。
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mixi上場

2006-08-20 01:08:23 | 会計
9/14にmixiが上場するようです。

実は、ご縁があってMMJという会にゲストとして参加させてもらうことになりました。
そこで何か話をして欲しいということだったので、東証で公開されているmixiの情報(Ⅰの部)をみんなで読んでみましょうということをやってきました。

そこではあまり時間が無かったので、あまり広く話はできませんでしたが、一通り分析してみるのも面白いと思います。



ちなみに、Ⅰの部で分かるmixiの情報には次のようなものがあります。
・mixiって儲かっているの?(儲かってなかったら上場しないでしょうが・・・)
・そもそもmixiって何?
・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ってどんな仕組み?
・株式会社ミクシィってmixiの他に何をやっているの?
・従業員ってどれぐらいいるの?
・本社ってどれぐらいの広さなの?
・いつから会社をやっているの?
・従業員の年収は?
・SNSの問題点(ビジネスの課題)は?
・ビジネスのリスクは無いの?
・SNSって出会い系?
・SNSの特許って誰かとってないの?
・上場で調達した資金は何に使うの?
・上場したら配当はしてくれるの?
・ストックオプションいっぱい発行してない?大丈夫?
・設備投資計画はどうなっているの?
・役員ってどんな人がいるの?
・会社と役員が取引してない?(ずるいことしてない?)
・取締役っていくらもらっているの?
・取引先って大丈夫?倒産したりしてない?
・借金ってどれぐらいあるの?
・売上金は何日で回収しているの?
・株主ってどんな人がいるの?
・会社の財政状態を分析するとどうなの?


またⅠの部で分からないことはいっぱいありますが、たとえば、次のようなことがあります。
・どうやって会員を増やしたの?
・会員が急激に増えてるけど、どうやってサーバーの対応をしたの?
・上場の本当の目的は?
・・・・


というわけで、次回、Ⅰの部を実際に分析してエントリーしてみたいと思います。
MMJとかぶっていますが、続きといったところでしょうか・・・。
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実地棚卸のポイント

2006-05-24 00:27:37 | 会計
今回は、在庫の棚卸について書いてみたいと思います。


<実地棚卸とは?>
実地棚卸とは、在庫の数をカウントして数量を把握することです。
と、一言で書くと簡単な手続のようですが、実際には難しい問題がたくさん潜んでいます。

<実地棚卸の問題>
最も大きな問題は、在庫の数が多いということです。
全ての在庫の種類、数を過不足なく把握するということは案外大変なのです。
ちょっとした会社でも、在庫の数は数千、場合によっては数万といった数に上ります。
これを全てカウントするには多くの人力が必要です。

よくあることですが、実地棚卸の趣旨や重要性が、理解されていないと正確な在庫の把握はかなり難しくなってしまいます。
得てして、実地棚卸は、夜遅く作業を行ったり、工場の運転を止めたりして行うため、無駄な作業をしていると思われがちです。
そのような会社の棚卸の立会に行くと、大体実地棚卸の結果がボロボロです。
下手をすると一区画ゴソっと数え漏れをしていたり、ワンフロアー分ダブルカウントしていたりと、ひどい結果であることがよく(?)あります。
期末の在庫が大きく間違ってしまうと、利益が大きく動いてしまう可能性があるので要注意です。
(在庫の数え漏れ→利益の減少、在庫のダブルカウント→利益の増加。なぜなら、在庫の減少→売上原価の増加→費用の増加、在庫の増加→売上原価の減少→費用の減少だからです。)


<正確に棚卸を実施するための方法>
ポイントだけを書くと
①棚札(タグと言ったりもします)を使う方法が良いとされています。
②棚札は連番管理します。
③棚札は2枚複写で使用します。
④棚札は1アイテムごとに使用し、複数のアイテムを一つの棚札に記載しないようにします。
⑤書き間違ったら、大きく×印をつけて新しい棚札を使用する(訂正はしない)。
⑥全ての在庫に棚札が貼付されていることを確認した後、複写の1枚をはがして回収する。
⑦未使用の棚札も回収し、全ての棚札が回収されたことを連番ごとに並べなおして確認する(タグコントロールと言ったりもします)。
⑧帳簿在庫(理論在庫)と実際在庫を比較し、差異の原因を調査します(この際、現物に貼付された棚札を確認したりします)。
⑨現物に貼付された棚札の複写は、差異調査が終了するまで貼付しておきます。

このポイントをふまえて実地棚卸を行えば、正確な棚卸へかなり近づくことでしょう。

ちょっと解説しますと
①この他、リスト棚卸と呼ばれる方法があります。あらかじめ帳簿上の数量が記載してあるリストをプリントアウトして数をチェックする方法です。棚札を使う方法に比べると正確性に劣ります。
②連番管理とは、棚札に001,002,003・・・と1枚1枚異なる番号を振っておく方法です。回収した棚札を順番に並べると、回収漏れがないかすぐに分かります。
④棚札はたくさん用意しておきましょう。棚札の記入・チェックと2人で行うとより正確にカウントができます。
⑨差異調査が終わったら回収するのを忘れないようにしましょう。次回の棚卸の時に残っていると混乱の元です。

<良くある差異原因>
似たような在庫があると間違えやすいです。色違いのものなど。
在庫の場所が固定されていないと間違いが増えます。まあ、固定化できない場合も多いようですが。
在庫の保管状況が悪いと間違いが増えます。整理整頓が重要です。



------------------
棚札には、次のようなことを記載します。

連番、ロケーション(在庫場所や棚番号)、品名、数量、場合によって品質、滞留状況を記載することもあります。
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負ののれん

2006-04-06 23:41:23 | 会計
財務諸表等規則が改正され、営業権の表示が変わります。
これからは、営業権に変わって「のれん」と表示されるようになります。
マイナスののれんは「負ののれん」と表示することになります。

また、連結上も「連結調整勘定」が「のれん」または「負ののれん」と表示されます。
商法(会社法)会計も同じです。
新会社法の会社計算規則においても「のれん」と表示されることとなっています。


ちなみに、「負ののれん」の会計処理は、日本、国際会計基準審議会(IASB)、米国財務会計基準審議会(FASB)で以下のように相違しています。
IASBとFASBは統一する方向で議論を進めているようなので、日本でもそのうち負ののれんの会計処理が変わることになると思われます。

日本・・・のれんの会計処理との対照性を重視し、のれんと同様20年で規則的に償却する
IASB・・・資産負債を再評価し、差額を利益計上する
FASB・・・取得資産の額の割合で各資産から控除し、残りを利益計上する
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減価償却制度の見直し

2006-02-28 06:45:14 | 会計
2/28の日経新聞朝刊によると、法人税の減価償却制度の全面見直しを検討しているそうです。

主な内容は、
①耐用年数経過後、損金算入できなかった5%分の減価償却を可能にする。
②耐用年数の短縮
③耐用年数の区分(現行約370区分)の簡素化

ようやく日本の会計制度(税制)の根本的な問題解決を図りにきたようです。
これまで日本は税法の影響を大きく受け、技術革新のスピードが速く陳腐化しやすい設備を導入しても税法に引きずられ、なかなか短い耐用年数を採用しづらい環境にありました。
このことが、古い設備を使い続けることにつながり、新しい設備の導入を阻んできました。
しかし、税制が上記のような税制の改正が行われれば、企業の設備投資が活発になり、国際競争も増すと考えられます。

一時的には税収は減りますが、設備投資等で経済が活性化すれば長期的には税収は大きく増えると考えられます。

本当はもっと早く改正するべきだったのでしょうね。




^^^^^^^^^^^^^^
現行制度の減価償却制度は主に次の通りとなっています。

<企業会計>
残存価額・耐用年数を取得資産ごとにを見積もって、減価償却する。
(ただし、税務会計に引きずられて処理することが多いし、大きな差異がない限り認められている。)

<税務>
残存価額・耐用年数・償却方法は、細かく規定されている。耐用年数は約370に分類されている(欧米では10ぐらいの国が多い)。
残存価額は、10%、
償却方法は、建物・・・定額法、その他・・・定率法
耐用年数経過後も残存価額5%まで減価償却可能


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過年度の有報等の訂正で管理ポスト

2006-01-06 23:21:58 | 会計
サンライズTという会社が、過年度の短信の訂正を行い、12/27に管理ポストへ割当てられることになりました。
当初は、「関東財務局の指導を頂きながら・・・」とのコメントを出していましたが、後に、このコメントは訂正しています。

・・・・・・・
訂正前コメント(PDFです)
・・・・・・・
訂正後コメント(PDFです)
・・・・・・・

訂正内容は、平成15年9月期の売上取消処理(888百万円:約7%)です。利益に対するインパクトは6百万円(△2,874百万円→△2,880百万円)
そのほか、営業キャッシュ・フローと財務キャッシュ・フローが456~1,954百万円訂正されています。

これに伴い、短信の様々な箇所に影響が出ていて(経営成績及び財政状態の項目など)、訂正報告の資料が242ページ(!)にもわたっています。(詳細PDF


P/L項目の訂正を行うと決算短信の様々なところに影響が及ぶので膨大な量の訂正を行わなければいけません。
したがって、数箇所の訂正が、様々なところに影響を与えて200ページ以上にわたって訂正の資料を作成しなければならなくなってもおかしくないのかもしれません。

この件に関して、訂正の内容が金額的に重要であるかどうかは、簡単には判断できませんし、訂正内容の質(虚偽記載に当たるかどうか)についても簡単に判断できるものではありません。

しかし、西武の有価証券報告書の虚偽記載事件以来、有価証券報告書等の開示に関して、厳しい目で見られていることは間違いないようです。
これまで以上に会社内部で会計処理を慎重に検討し、適切な開示体制を構築していく時代になってきているようです。


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役員賞与の会計基準

2005-12-28 08:20:02 | 会計
役員賞与の会計処理が変更されることになりました。(*1)

現行の会計処理では「利益処分」となっています。(*2)
つまり、現行では役員賞与は利益処分計算書で未処分利益の減少として処理しています。

しかし、新しい会計処理では、「費用処理」とすることになりました。

つまり、
①株主総会で承認を受ける必要が無い場合は、
(借)役員賞与 XXX (貸)未払役員賞与 XXX
と処理され、

②株主総会の決議事項となる場合、
(借)役員賞与引当金繰入額 XXX (貸)役員賞与引当金 XXX
と処理されます。


適用は、会社法施行日以後終了する事業年度の中間会計期間からです。
会社法施行が5月1日の場合(*3)、平成18年5月期決算の中間期(平成17年11月)から適用となるようです。
ただ、11月末ってもう過ぎてしまっているので、その辺がちょっとあいまいです。

3月決算の場合、平成18年6月中間期から適用される予定です。

なお、会計基準には以下のような記載があります。
役員賞与の金額が事業年度の業績等に基づき算定されることとなっているため中間会計期間において合理的に見積ることが困難な場合や、重要性が乏しいと想定される場合には、中間会計期間においては、費用処理しないことができる。





*1 「役員賞与に関する会計基準」(会計基準委員会 企業会計基準第4号)
*2 費用処理とすることも認められています。
*3 従来4月1日と考えられていましたが、法務省担当者の出版物(*4)で5月を目処としている旨の記載があるので、5月1日の可能性が高くなっています。
*4 相澤哲(法務省民事局参事官)編著「一問一答 新・会社法」(2005年、株式会社商事法務)
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半期報告書 規則の様式って・・・

2005-12-14 00:50:10 | 会計
ようやく半期報告書のチェックも終わり、落ち着いてきました。

半期報告書を見ていて常々おかしいなぁと思うことがあります。
細かい話ですが、「中間連結B/S」と「中間B/S」の様式の違いです。

(くだらないくらい細かい話なので、興味ない方は飛ばしてください。)

両者の書き方ですが、通常左右に二段書きをしています。
が、「連結」は<右>をメインに、「個別」は<左>をメインに記載しています。
たとえば、松下電工の半報をごらんください。(PDFでちょっと重いので気をつけてください!)

現金及び預金の数字の記載をよく注意して両者見てください。
右左記載している場所が違っていると思います。

両者違っていますが、はっきり言って同じ書き方でいいと思います。
でも、規則で決まっているからしょうがないのでしょうかね。

きっと、両者違う人が規則を考えたからバラバラになってしまったのでしょうね。


あと、規則の様式4号(連結B/S)の固定資産の勘定の内訳を見ると、次のようになっています。

有形固定資産
無形固定資産
連結調整勘定
その他
投資その他の資産

連結調整勘定はその他と合算することになっていますが、連調は無形固定資産なので、何か違和感を覚えますね。

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これって面白そうです。


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減損後の減価償却2

2005-10-28 09:12:28 | 会計
前回の続きです。

(とりあえず前回の内容をもう一度)

固定資産の減損会計が今期(2005年3月期)から強制適用になります。
これまで早期適用が可能であったので、すでに適用している会社も多数あります。

クライアントの担当者からも色々質問されて、改めて色々な悩みも出てきています。
今回は、減損した後の減価償却の計算をどうやるのか、悩みを書いてみたいと思います。

<例>
10,000千円の機械について
残存価格10%、8年の定率法で3年償却(前期末)した後、3,000千円に減損(期首)した場合、当期の償却率は?
①残存簿価が1,000千円の場合
②残存簿価が0円の場合
③残存簿価が600千円の場合
④残存簿価が10千円の場合

それぞれどうなるでしょうか?
ちなみに、残存簿価は適当に…という選択肢もありでしょうか?

いろいろ思いついたらまた書いてみたいと思います。



ちなみに、税法で規定している定率法の償却率は以下の通りです。
8年…0.250
5年…0.369



(今回はここから)

減損会計の適用指針(55項)を見ると
減損後の帳簿価格から「残存価額を控除」し、「採用している減価償却の方法」で減価償却する
と書いてあります(原文はもっと長ったらしく書いてあります)。

結論を先に書きます(あくまで私見ですが)。

A.残存簿価があるケース
 5年(償却率0.369)で償却する
B.残存簿価がゼロのケース
 5年(償却率0.369)で償却する金額を10/9倍したもの

(追記)
こちらの方がいいかもしれません。
A.残存簿価があるケース
 8年(償却率0.25)で償却する
B.残存簿価がゼロのケース
 5年(償却率0.25)で償却する金額を10/9倍したもの


適用指針と違うじゃないか。といわれそうですが、日本の会社では考えなければならない大きな問題が一つあります。
日本のほとんどの会社は(上場会社も含めて)減価償却の計算を税法に従って行っているのです(もちろん独自に耐用年数を見積もっている会社もあります)。

これは、「税法基準に従った減価償却は会社の実態から著しく乖離していない」という前提があります。
したがって、「大きく間違っていない限りは税法基準で行きましょう(簡単だから)。」ということに今のところはなっています。
この前提を元にすると、先ほどのような結論になるのかなと思います。


(でも・・・。細かい話をするとどうなの?と思ってしまうう方へ)

<さっきの方法で何が問題になるのでしょう?>

残存価格があるケースの場合、耐用年数経過後の簿価は300千円になってしまいます。せっかく残存簿価を見積もっても意味ないですね。


<じゃあ、正確にやるにはどうすれば良いのでしょう?>

A.残存簿価がある場合
 耐用年数を5年、残存簿価に応じた償却率を計算する
 ①(残存1000)のケース 償却率0.197 (1年目 591 2年目475 3年目381…)
 ③(残存 600)のケース 償却率0.275 (1年目 825 2年目598 3年目434…)
 ④(残存 10)のケース 償却率0.680 (1年目2,040 2年目653 3年目 98…)
B.残存簿価がゼロの場合
 耐用年数を5年、年間の償却額を10/9倍する
 ②のケース 償却率0.369 (1年目1,230 2年目776 3年目490…)

以上です。メデタシ。メデタシ。・・・といいたいところですが・・・。

②と④のケースをよく見てみてください(年間の償却額)。ちょっと変ですよね。
残存簿価が極端に小さくなると(10など)1年目の償却額が異常に大きくなってます。
だから、本当に正確にやろうと思ったら、残存簿価が10%でないケースの場合には先ほどの残存簿価がゼロの場合と同様に、通常の償却率の償却額の一定割合倍(ゼロの場合10/9倍など)とするとよいのでしょうね。
ちなみに④のケースでは、(2990/2700)倍になります。
一般的には、(3000-残存価格)/2700 倍です。

ただし、この問題は定率法特有の問題で、こんな細かいことをやっていると、そもそも固定資産の費用は定率法的に発生するのか?という根本的問題に突き当たってしまうことになってしまいます。
思い切って級数法を採用するというのも割り切った考えではいいのかもしれません。

ちなみに、現在級数法を採用している会社は、EDINETを検索してみると、(注記されている)リース資産で20社あまり、無形固定資産の一部をトクヤマ、新生銀行が採用しているようです。

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減損後の減価償却

2005-10-27 20:00:17 | 会計
固定資産の減損会計が今期(2005年3月期)から強制適用になります。
これまで早期適用が可能であったので、すでに適用している会社も多数あります。

クライアントの担当者からも色々質問されて、改めて色々な悩みも出てきています。
今回は、減損した後の減価償却の計算をどうやるのか、悩みを書いてみたいと思います。

<例>
10,000千円の機械について
残存価格10%、8年の定率法で3年償却(前期末)した後、3,000千円に減損(期首)した場合、当期の償却率は?
①残存簿価が1,000千円の場合
②残存簿価が0円の場合
③残存簿価が600千円の場合
④残存簿価が10千円の場合

それぞれどうなるでしょうか?
ちなみに、残存簿価は適当に…という選択肢もありでしょうか?

いろいろ思いついたらまた書いてみたいと思います。



ちなみに、税法で規定している定率法の償却率は以下の通りです。
8年…0.250
5年…0.369

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小説で読む企業会計

2005-10-25 01:00:28 | 会計
ついに読みました!
「小説で読む企業会計」

ついこの間まで一緒に仕事をしていた千賀さんの本です。
この間も東京でちょっと会いました。

小説内容は、企業会計の役割あり、B/S・P/Lの連結環の話あり、ワンデーレビューの話あり、連結、税効果、退職給付と盛りだくさんでした。
ちょっとてんこ盛り過ぎるんじゃないの?と思いました!(まあ、サービス満点といったところでしょうか)

花巻に出張に行くところなんか、監査法人勤務のころの思い出もあるのかな、などと楽しく読ませていただきました。

子会社の財務内容を調査しに行くシーンは、我々がよくやっている仕事の内容をちょっと覗かせています。
公認会計士は、こんな感じで仕事をしてると分かる内容なのではないでしょうか?
(現実はもっと複雑な問題もありますけど)。

公認会計士の仕事を知りたい方や、手っ取り早く会計のことを知りたい方にはお勧めです。

小説で読む企業会計―特命担当財務会計を斬る!

法学書院

詳細


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メキシコは北米か?

2005-10-24 07:48:31 | 会計
連結財務諸表の注記にセグメント情報というものがあります。
企業グループの数が、あまりにも多いと何をやっているか分からなくなるので、いくつかの切り口で分類しようという発想が生まれてきます。その切り口がセグメントと呼ばれるものです。

切り口の一つに「所在地別セグメント情報」というものがあります。
地域別に売上高や原価、営業利益などを表示するものです。
おおむね、日本・アジア・ヨーロッパ・北米などと分類します。
(国内販売だけやっている会社が関東・東北・関西・九州などと分類したりは通常しません)

以前、公開準備の会社で連結財務諸表作成のコンサルをやっていたときのことです。
所在地別のセグメントを見てみると、メキシコが北米に入っていました。
メキシコは中南米だろうと思っていましたが、EDINETで他社の事例を調べてみると意外に北米に分類している会社が多いです。

中南米に独立して記載している会社は、三井海洋開発のみでした。
「北中南米」、「北米・中南米」、「その他」という項目に記載している会社がちらほらありました。
大胆にも「北米」に分類している会社は結構たくさんありました。

ちなみに、外務省は北米中南米をリンクのように分類しています。
(常識ですよね)

会計上の分類って結構アバウトなところが実はいっぱいあるんですよね。


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中間と期末の注記

2005-10-21 01:34:11 | 会計
中間決算の季節がやってきました。

現在キャッシュ・フロー計算書の監査をやっています。そこで、気づいたネタを一つ書いてみます。
キャッシュ・フロー計算書を作成する上で、非資金取引などは注記することになっています。
ただ、期末の財務諸表は注記しますが、中間決算では不要になっています。
キャッシュ・フロー計算書を見ながら、「あっ、これ注記が必要だなぁ」と、ふと気づいたりしますが、よくよく考えると中間では不要だったりします。

キャッシュ・フロー計算書の非資金取引もその一つですが、研究開発費の総額の注記も中間では不要です。
なぜ不要なのかは不明です。というより、知りません。
知っている人がいたら教えてください。

これとは逆に、中間では必要なのに期末で不要な注記もあります。
減価償却実施額です。
この注記の必要性は不明です。まあ、必要なのは何か理由があるのかとは思いますが・・・。

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一括償却資産の減価償却 中間決算では?

2005-10-16 22:03:27 | 会計
前回一括償却資産の減価償却について書きました。
今回はこの続きです。

一括償却資産で3年均等償却をしている場合、中間決算では減価償却はどうするべきでしょうか?

年間で3分の1だから、半期ではその2分の1(つまりは6分の1)を計上すればいいのではないかと考えた方もいると思いますが・・・。
ちょっと待ってください。
一括償却資産は、少額の資産を年間を通じて均等に多数取得しているのが前提です。
そうであるなら、上期と下期で償却額はどうなっているでしょうか?


話を簡単にするため、上期に300の資産を1個、下期に300の資産を1個取得したとします。
この場合、上期の償却額は50、年間の償却額は200になります。(上期300÷3年÷2=50、下期600÷3=200)
よく考えてみましょう。
上期の計上額が年間の4分の1になってしまいますが、ちょっとおかしくないでしょうか?

一括償却資産は、年間を通じて均等に取得するのが前提になっているわけですから、償却額も均等に計上されるべきです。
つまり、上期に100、年間で200計上されるのが実態に合っていることになります。
つまりは、中間においても取得額の3分の1を計上するべきだということになります。

ただし、これはあくまで当期に取得した分です。
前期に取得した分は年間償却額の2分の1を計上するのが実態に合っています。


<まとめ>
一括償却資産の中間期の原価償却額
当期取得分・・・取得額の3分の1
前期取得分・・・取得額の6分の1


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一括償却資産の減価償却

2005-10-15 08:53:05 | 会計
固定資産は通常、耐用年数を見積もり減価償却をする必要がありますが(例えば5年等)、一括償却資産(10万円から20万円の減価償却資産)については、税務上3年均等償却が認められています。
つまり、一括償却資産は1年ではなく3年で償却しますが、一括償却資産といいます。10万円未満の固定資産は少額資産と呼んだりします。
例えば、15万円の備品を購入した場合、取得が期中でも1年目に5万円の償却が認められています。

つまり、取得価額で税務上の処理を分けると次の通りです。
①10万円未満(少額資産)    取得時に全額費用計上
②20万円未満(一括償却資産)  年間3分の1を減価償却(年割) 
③20万円以上(通常の固定資産) 通常の減価償却


また、一括償却資産の会計処理には次の3つの方法があります。
①重要性が低いとして消耗品費として全額費用計上する方法(税務上は別表で加算します。)
②通常の固定資産と同様の減価償却をする方法
③3年均等償却する方法

会計上、①②は合理的ですが、③は重要性が無いからという理屈または、残存価格がゼロで耐用年数は3年と見積もったという理屈だと思います。
なお、ほとんどの会社は③の会計処理を採用している場合が多いと思われます。


3年均等償却が認められた趣旨は、①事務処理の簡便化と②税源の確保にありました。

①少額の固定資産を全て個々に把握して減価償却計算などの管理を行うのは大変であることから、取得時に取得価額を把握すれば、その後は均等で償却することで除却などを管理することも必要ないこととしました。個々の資産を台帳管理する必要はありません。したがって、償却途上の固定資産を除却したとしても除却損を計上することはできません。
この背景には、少額資産は年間を通じて均等に比較的大量に取得されているという事が前提になっています。(もちろん、実際にそうなっているかどうかは関係ありません。)

②また、その昔は20万円未満を少額資産として取得時に全額費用計上することができました。しかし、税源確保のため、少額資産とできる固定資産の基準が10万円未満に切り下げられたとう背景があります。


次回は、中間決算時の一括償却資産の減価償却を書いてみたいと思います。


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