Noriko-McLane Movie Blog

自分の見た映画の感想を気ままに綴っています。
ネタバレの可能性もあるので、まだ見てない方はご注意下さい。

おくりびと

2012-01-07 | Weblog
おくりびと 
 (2012.1.4. TV新春ロードショーにて)

2008年に公開の映画。第81回外国語映画賞、第32回日本アカデミーショーに輝いた作品。
この映画を見た誰もが「いい映画!」と言ってた。でも、私は見る気にはなれなかった。葬儀屋さんになった男に映画??死について何が語りたいんだ??・・・・・・と、この映画に対して反抗的態度だった。だから、ずっと見ませんでした。

それが、どういうわけかお正月TVでやってたので見ようと言う気になった。

いい映画でした。

葬儀屋と納棺師は全然違う職業です。

主人公の小林大悟(本木雅弘)は、チェロ奏者の夢を諦め、妻の美香(広末涼子)と 故郷の亡き母の残してくれた家に帰る。そして、ひょんなことから納棺師となる。最初のうちは納棺師という仕事に嫌悪感を抱き悩むが、だんだんとこの仕事に誇りをもつようになる。

最初の部分、大悟の初仕事で「ご遺体のお身体を綺麗にさせていただきます。」と、着物で体は隠れたままでそっと拭き始める。・・・・・と、???綺麗な女の人なのに?
「ついてます。社長。」と小さな声で。
お笑いの映画なのかと思ってしまった。この部分が観客を引きつけてると思った。

大悟は、「旅へのお手伝い」という募集広告で面接に行って会社に入ったので、詳しい内容もわからないままに納棺師の仕事をすることに〜
ひどい死体を見た日はご飯が喉をを通らないし・・・・仕事のことは詳しく妻に語れない。

社長役の山崎努がとってもいい味を出していた。「9年前に妻を亡くしたときに彼女を美しくして送ってやった、つまり第一号。それから、ずっとこの仕事をしている。」とのこと。

また、舞台が山形というのが良い。自然の描写、特に山が綺麗。山形の方言もいい。

納棺師の仕事に疑問を感じながらも続けていくうちに、ご遺体をきれいにしてお化粧をしてお感に入れた後、妻が亡くなってイライラしていた夫に「今日の妻が今までで一番綺麗だった。」と言われたり・・・・・いくつものご遺体をお棺に丁寧に心を込めて収めていくうちに大悟にはこの仕事の意味がわかってくる。映画を見ていて、私自身もだんだん納棺師の仕事の意味がわかってきた。

大悟が無性にチェロが弾きたくなって夜に一人で弾いているシーンもよかった。この映画の中でチェロはオシャレで音楽的にもいい雰囲気を出している。

また、山形で大悟と美香が住んでいる家がノストルジックなイメージですごくいいと思った。父が喫茶店をしていたが、女を作って出ていった後、母がスナックをしていたということで、独特な感じがする。

父が好きだったレコードが今も綺麗に取ってあることから、「お母さんは、ずっとお父さんのことが好きだったんだよ。」と、美香が大悟に言うところ印象的でした。大悟は父が許せないと思ってるけど・・・・

いつも親切にしてくれていたお風呂屋のおばちゃんが亡くなり、大悟がお棺に納める。この時に美香は、夫の仕事を初めて目の前で見ることに。そして、今まで夫にこの仕事をやめてほしい!と思っていただが、納棺師という仕事を理解するようになる。美香が、自分の夫が納棺師だなんて嫌!子供が生まれたらいじめられるかもしれない!恥ずかしい仕事!・・・・・と思った気持ちもよくわかるし、又実際、この厳かな、それでいて温かみのある納棺の様子を見たら思っていたことも吹っ飛び、夫の仕事を理解するようになったのも理解できる。

風呂屋のおばちゃんの役は吉行和子。この人の山形弁がとってもよかった。

大悟が川原で石を拾って美香に渡して、「石文(いしぶみ)だよ。まだ、文字がなかった頃に石を渡して気持ちを伝えたんだ。」と言った。なんとロマンチック!父と一度だけ石文をした。でも、父はそれからすぐ出ていった。大悟の心は、父を恨む気持ちで一杯なのだろう。まぁ、母と自分を置いて女と出ていったんだから・・・

そんなある日、父がある漁港で亡くなったという知らせが大悟のところに。大悟は初めは行こうとはしないが、美香や会社の人に言われて社長の車を借りて漁港に向かう。父は一人で漁港の手伝いをして暮らしていたとわかる。
父の身体を拭き、手を拭こうとしたときに、手から石がこぼれ落ちる。死ぬ前に大悟のことを考えていたのかもしれないし、ずっと家に帰りたかったけれど帰れなかったのかもしれない。大人になるほど、素直に自分の思ったとおりの行動が出来ない場合もある。

この時、大悟はもう父のことを許していたと思う。大悟は納棺師の仕事をこれからもずっと続けていくことだろう。

とてもいい映画でした。お気軽に見られる映画です。
ずっと前に私の父が亡くなったときに、お葬式は父を送るこの世で父のための最後の大切な式なんだと思いました。この映画を見てそのことを思い出しました。
暖かい雰囲気の中で送って上げられるように、納棺師はお手伝いをしてくれているのでしょう。



点数をつけるとしたら89点


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4 コメント

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おくりびと (のぶとっしみ)
2012-01-17 13:55:06
いい映画でしょ?
今は就職難だから、あの映画の後、葬儀屋さんに電話が殺到したらしいよ。死体見たら、こんな仕事は嫌だと、辞める奴も多かったらしいけど?!
オーケストラの仕事も不定期だし、ただ音楽が好きだからというだけで、妻子抱えてはしんどいね。
峰岸徹が死体役で、台詞無かったのが笑えた。
モックンがビデオ作る場面で、脱いだ時、悪人の妻夫木君よりガタイが良くて、オッとならなかった?
チェック細かいかしら?
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のぶっとしみ様へ (ノリコ・マクレーン)
2012-01-29 14:06:23
のぶっとしみ様
コメント、ありがとう!
この映画は、本木雅弘が原作者に頼み込んで作られたようですね。あの紙おむつで死体のモデルをするシーンもそれでがんばったのでしょう。
ヌード写真集を出すかと思えば、紙おむつの役。まぁ、役者さんとしてはがんばっておられるのでしょう。
個人的には、ちょっと苦手なタイプかな。
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おくりびと ()
2012-03-17 18:20:56
なるほど、、、

 筆跡学によると女性の手紙ではその女性が一番言いたいことは最後にあるということです。ノリコさんの言いたかったことは最後の4行だろうと思いました。多分ノリコさんは手紙を書く気持ちでこのブログを書いたのげは???

 風
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風さまへ (ノリコ・マクレーン)
2012-03-19 12:24:45
マニアックなコメントありがとうございました。そうですね!手紙を書くような気持ちでブログをかいていたのかもしれません。

また、私のブログをご覧になってくださいね。コメントもお待ちしております!!
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