Noriko-McLane Movie Blog

自分の見た映画の感想を気ままに綴っています。
ネタバレの可能性もあるので、まだ見てない方はご注意下さい。

孤高のメス

2011-09-28 | Weblog
孤高のメス
  (TV日曜洋画劇場)

2010年6月に公開の映画。当時見たかったがチャンスもないまま・・・今回TVで見られてラッキー
原作は、大鐘稔彦「孤高のメス」。作者自身が医者であり、脳死臓器移植を扱った作品。さすがにリアルに医療シーン、医療現場を描いているのかもしれない。でも、それだったら恐ろしいことに〜野本のような手術どこかでやってる外科医がいるか????

この作品は、看護婦(オペ看)の中村(夏川結衣)の息子、若い医者の弘平が母が急に亡くなったので田舎に戻ってきた。その時に母の日記(1989年にオペに記録や自分が勉強したこと感じたことが綴ってある)を見る。この内容が物語となっている。だから、視点と語りはオペ看の中村となっている。

まず初めの出だしが最悪、恐ろしい場面、野本(生瀬勝久)が手術をしているシーン。血管に次々を穴を開けてしまって血が吹き出してくる。野本は助手や看護婦に怒鳴りまくっている。こういう医療現場がある得るってこと?考えられません。
もう、ここのところ、気分悪くなりそうでした

この後、中村がクーパーなど手術で使った器械を消毒して片付けるところ。彼女は、こんな手術が嫌でたまらないというのはもちろんわかります。でも、器械の扱いあまりにも乱暴すぎませんか?・・・・と、私も思ってたところに当麻先生(堤真一)がやってくる。

当麻は、アメリカで移植手術を学んできたがそういうことをひけらかすわけでもなく、この地方病院で野本が大学病院から来たという権威の中で大きな顔をしていても、そんな病院の事情などどうでもいい!自分は平でいいです!患者の命を救うのが医者!・・・・・当麻は、どんどんと手術を成功させていく。中村は、今までこの病院では決して助けることのできなかった患者の命を救うことができたという喜び、自分もその手術のスタッフになれたという満足感でいっぱいになる

スクリーンで見ていても、当麻の手術は神業。こんな先生に手術してほしいいと思います。
でも、手術中に都はるみの演歌をかけるというのはどうなんでしょう??
ちなみに私自身が6年位前にちょっとした手術でお腹切ったときは、「好きなCDを持ってきて下さい。」と、言われて持って行くと、それを手術室でかけておいてくれました。なんと素敵な計らいだと思いました手術室の雰囲気というのは患者に伝わってきます。手術室でのチームワークもとても大切なことだと思います。

中村の息子の弘平はまだこの頃は保育園児なのですが、いつも中村が遅くに迎えに行くと泣いていた・・・・それが、当麻が来て中村が仕事が好きになると、同じように遅く保育園に迎えに行っても弘平は泣かずに待ってる 母が満ち足りると、子供にもその精神状態が伝わるんですね。

大川市長(榎本明)が肝硬変による食道静脈破裂で倒れる。家族は生体肝移植を望むが・・・・・生体肝移植とは、健康な人の肝臓の半分を患者に移植すること〜血液が適合する娘の肝臓では小さすぎる。もし、大川に移植するとしたら、娘の肝臓の3分の2を取らなくてはならない。それでは、娘の命の方が危なくなってしまう。

この時に、中村が親しくしている竹井先生(小学校の先生)(余貴美子)の息子のまこと君がトラックにはねられて救急車で病院に運ばれてくる。まこと君は脳死状態に。竹井が息子が脳死状態だと言われたと中村に語るところはとても切なく、竹井の悲しみが伝わってきた。「・・脳死状態は、植物状態と違ってもう目を覚ますことはないんだって。この子の心臓はあんなに元気に動いているのに・・手はこんなに暖かいのに・・」

竹井は、まこと君が困っている人を助けたいといつも思っていたから、彼の臓器を必要としている人に移植してほしいと当麻に頼む。しかし、当時の法律では脳死移植は認められていない。そのようなことをしたら当麻は罪に問われる。
当麻は「やりましょう」と。当麻の姿勢はどこまでも患者やその家族を見つめるもの。自分の名誉のため出世のため・・・というのは一切ない。この手術を法を無視してやろうと言うのも、まこと君の母、竹井の頼みだからであり、大川の命を救いたいからである。
病院にもまこと君の脳は全部が死んでいる状態、他の検査でも全脳死状態は明らかとなり、院長も承諾。(院長は常識があり、当麻のことを一目置いてる。)

ここで、事務長が野本に「止めるように言って下さい。」と言う。野本は、事務長の前だけいい顔をしているが、なんと逆に警察に通報。マスコミには大川市長から当麻に金銭の授受があったとデタラメを・・・なんという最低な奴!腕はない!患者の命をなんとも思わない!性格悪い!妬み、恨みで生きている!(+o+)いややぁ!!!
事務長も「失敗したらこの病院で二人殺したなんて言われかねない。」とか言って、患者よりも病院の名誉なんですね(-.-)

このことで、当麻が脳死移植をこの病院ですることがマスコミにもバレて大騒ぎに。手術の前に刑事が来て、当麻に「脳死移植をすれば、それは違反、後で罪に問われてもいいのか?」とか、まるで尋問のように偉っそうにいうところ・・・いやでした。手術の前にこんあこと言われたら精神的にダメにならない?と心配でしたが・・・さすが、当麻 刑事はちゃんとあしらって、その後、手術に・・・・・

まず、まこと君の肝臓摘出。当麻が竹井に「無事終わりました。汚れのない美しい肝臓でした。ありがとうございました。お役に立てるよう全力を尽くします。」と言うところ印象的でした。それから、大川市長の肝臓を取り出す。取り出された肝臓、見るからに汚い色でした。大川さんにまこと君の肝臓が・・・オペから8時間後にまこと君のの肝臓に大川市長の血液が・・・肝臓が鮮やかな色に・・・
そして、12時間後に手術終了。「皆さんのおかげで無事終了しました。お疲れ様でした。」と当麻。みんな拍手。このとき、中村はあまりの感激に涙してしまう。そして、音楽がラーラーララララーララ それから、画面が遅れて竹井が小学校で歌を教えてるシーンに!生徒たちが歌ってるのがラーラーラ・・・ここのところすごくよかった。竹井が、息子のまこと君の死は悲しいけど、最後ちゃんと困ってる人をまこと君が助けた!!そして、まこと君は大川市長の中で生きている!!と思って,前向きに進もうとしている気持ちがよくわかりました。

野本は倫理委員会にかけられることになって、まぁよかったです。

当麻は、脳死移植をする前から手術が終わったら病院を出ていこうと考えていたようで出ていってしまう。でも、当麻の考え方はこの病院のスタッフに受け継がれていたはず。それに、次に大学病院から来た医者も当麻ほどのスゴ腕は持っていなかったとしても野本のような人ではなかったと思います。

日記は、最後に当麻が中村に言った「君はすばらしいナースでした。」という言葉で終わっている。中村は、当麻の御陰で・・・当麻との出会いで自分も学ぼう、付いていこうと思ってすばらしいオペ看になれたんですね。自分をすばらしくかえてくれるような人に巡り会えるっていいですね。

弘平はここで日記を読み終わり、竹井先生に野菜をもらって行こうとする。そのとき竹井先生が「私も復帰した大川市長が建てた福祉会館でがんばってる。」と言うと、弘平が「みんな繋がってるんだ。」と。竹井が「弘平も」・・・というような会話がある。
この後、弘平がどこか地方に病院に医師として赴任していった日、院長室でしばらく待っている間に見つけたものが都はるみ全集のカセットと故郷の病院で当麻や中村たちスタッフがみんなで移した写真!
弘平くんは、当麻先生の病院で働くわけですね。確かにみんな繋がってる。ここのところ、ちょっと出来過ぎじゃないかな?まぁ、当麻先生と周りの人たちが作り出したシンクロが広がっていったと理解しましょう。
なかなか人間的なドラマであった気がします。地方の医療について考えさせられました。


 監督 成島出 
 脚本 加藤正人 
 
  点数を付けるとしたら 78点

シャンハイ

2011-09-03 | Weblog
シャンハイ
   (2011.8.29. 二兆シネマにて hurmitさんと)

1941年、太平洋戦争開戦寸前の上海を舞台としたサスペンスであり・・・それ以上に男女の揺れ動く恋を描いた作品とも言える。

当時のシャンハイには、アメリカ、イギリス、イタリア、日本、フランスのそれぞれの国が租界を置いていた。シャンハイという一つの街の中にいくつもの国が存在するようなそのゴチャゴチャした様子。中国に手を伸ばしてきた国々がにらみ合う緊迫感。映画が始まるとすぐに当時「魔都」と呼ばれたこの街の様子が伝わってくる。

米諜報員のポール・ソームズ(ジョン・キューザック)がシャンハイにやってくる。そして、親友の諜報員コナー(ジェフリー・ディーン・モーガン)とカジノで待ち合わせをする。このカジノでポールは美しい女性アンナ(コン・リー)に出会う。一方、ポールの待っていたコナーは、カジノへ来る前に恋人スミコ(菊池凛子)のアパートを出てすぐに殺されていた。

ポールは親友が誰に殺されたのかを突き止めようとする。
人が撃たれることは日常茶飯事・・・そんな上海の緊張感と賑わいの中で、コナーは少しづつ紐解いていく。

ポールが新聞記者としてドイツ領事館の夫人を頼って出席できたアンソニー・ランティン(チョウ・ユンファ)も出席するパーティー。ランティンは上海三合会のボスであり、コナーは彼を追っていた。
このパーティーで、ポールは日本軍大佐のタナカ(渡辺兼)を紹介される。そして、もう一人、ランティンの妻として紹介されたのはカジノで会ったアンナだった。アンナの本当の顔はレジスタンスのリーダーであった。アンナの父は南京事件を避難して日本軍に殺され、彼女はランティと結婚することで身の安全が保たれていたのだ。実はカジノでも他のレジスタンスと連絡をとっていたのだ。しかし、このことについて夫のランティンはこのころはまだ気づいてないみたい。

日本軍情報部のトップであり陸軍、空軍を掌握していたこのいかついタナカ!
このタナカが、ポールに「二度目の恋は燃える!」という話をする。この辺がこの映画全体の方向を決定づけてると思う。

一番驚いたことは、この映画の中で男たちは自分の好きな女のために必死でもがき、行動をしていることです。ポール、ランティン、タナカ・・・・・それぞれに自分に恋、愛に命を賭けています。結局、この作品はサスペンスというよりこの緊迫した状態の中で男たちは自分たちそれぞれの恋に必死だったというお話だったような気もします。それってすばらしい
私の周りの男性もこうあって頂けたらと思います。

アンナは最後までレジスタンスだった自立した女性だったことが語られています

アンナ役のコン・リーは45才とは思えない。赤い口紅を濃く塗ってるシーンでは貫禄なのか、ちょっと上品さに欠ける感じもあったけど、そうでないシーンではピュアーなお色気が感じられた。でも、ちょっとこの人はお尻がでかいらしいけど・・・・・映画の中では特に気づきませんでした・・・

スミコが出てくるのは、コナーと一緒にいるときの他はアヘン中毒になっているので、もう一つどういう女性か読み取れないし、ミステリアスな雰囲気だけが脳裏に残っています。アメリカと日本のスパイで、表向きは娼婦。タナカはスミコのことが本当に好きだった。だから、最後アヘン中毒であまりにも苦しんでいるスミコを見ていられずにポールの手を借りてタナカがスミコに注射をして殺すシーン・・・スミコがほんの短い時間苦しみから解き放たれてタナカに微笑む・・・ここのところ印象的でした。

1941年のシャンハイ、私には行くことのできないところだけど、この映画を見てちょっと垣間見たような気がした。

点数を付けるとしたら、92点