Noriko-McLane Movie Blog

自分の見た映画の感想を気ままに綴っています。
ネタバレの可能性もあるので、まだ見てない方はご注意下さい。

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

2012-03-31 | Weblog
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
 The Iron Lady     (2012.3.28. 二条シネマにて)

 「英国王のスピーチ」の第二段(?)と言える作品かもしれない。「英国王のスピーチ」では、ジョージ6世の隠された真実をユーモアも交えてお話にした感じだった。しかし、この作品はユーモアを交えてという感じは全くなかった。真実だけを伝えてる感じがした。

 現在認知症がみられるマーガレット・サッチャーが、過去を思い出しているという形で映画は進行していく。今のサッチャーと若い頃からの一コマ、一コマが交互に現れる。そして、亡くなったはずのサッチャーの夫、デニスが今のサッチャーの幻覚として現れる。

 食料品店を営む父に育てられた彼女は、真面目で勉強家だった。初め保守党から立候補したときは落選。そして、デニスとの結婚。そして、保守党党首となり、首相にまで上り詰める。その様子が映画を見ていてよくわかる。人気が出るように声のトーンを変えたり、髪型を考えたり・・・・まだ、女性が政界に進出してない時代に女性だから特に外見や声、喋り方などに気を使ったことは、成功の秘訣だったに違いない。

 双子の赤ちゃんが生まれたときにデニスがプレゼントした2連の真珠のネックレスをいつも付けていて、「帽子と真珠のネックレスはやめたほうがいい。」と言われたときに、「帽子はやめてもいいけど、このネックレスは必ず付ける。」と、言ったところが印象的だった。

 フォークランド紛争の場面がとてもリアルに感じた。最初イギリス軍の艦艇がどんどんやられて行くときに、それでもサッチャーは戦い続けて勝たなくてはならない!という強い意思を貫く。さすが、鉄の女!そして、戦死した兵士の遺族に手紙を書くサッチャー。このようなことは、女の首相だからこそできたことだと思う。
最終的にアルゼンチン軍に勝ったときのイギリスの喜びは、映画の中からこちらにも伝わってきた。この勝利をきっかけにサッチャーの人気は急速に高まり、保守党はサッチャー政権で2度目の総選挙も勝つことになる。

 今のサッチャーが病院で医者に「どういう感じですか?」と聞かれて、サッチャーは、「どういう感じ?どのように感じるか?・・・・・・・どうしてどんな考えなのか?と聞かないの?どんなふうに感じるかよりどのような考えを持っているかということが大切なの。」というようなことを言いました。
すごい!さすがマーガレット・サッチャーだ!
私は、まず、物事に対して自分がどう感じるか、そしてそれが好きか嫌いかということが大切だと思う。だから、ここのところで日々物事に対しての考え方が、私とは違うなぁと思った。

 彼女を支えてきたのは夫のデニスなんだということは、映画を見ているとよくわかるし、デニスあってのサッチャー!とも言えるだろう。

 メリル・ストリープのための映画と言っても過言ではない。若いときのサッチャーの役は、アレクサンドラ・ローチ。この人も鼻筋がメリル・ストリープにそっくりで適役だったと思う。メリル・ストリープは、アカデミー主演女優賞を獲得。

 点数を付けるとしたら 80点

戦火の馬

2012-03-26 | Weblog
戦火の馬
War Horse  (2012.3.21.二条シネマにて)

しみじみと心が暖かくなってくるストーリー。
しかし、原作が児童文学というだけあって人間ドラマというよりも、ファンタジーという分類に入るのではないかな。

父が馬の競りで素晴らしいサラブレッドを手に入れてきます。息子のアルバートは、この馬をジョーイと名付けて、愛情を持って訓練し、世話をするのですが・・・・・しかし、第一次世界大戦となり、父はジョーイをイギリス軍に売ってしまうことに・・・・

ここからジョーイは、「戦火の馬」となるわけです。
ジョーイが「奇跡の馬」と言われたのは、ジョーイの血統の良さ、そして大変な境遇の中でもいつも飼い主がジョーイを心から愛してくれる人だったことに尽きると思います。

イギリス軍の将校、敵のドイツ軍の若い兵隊、お祖父さんと暮らすエミリー、そして又ドイツ軍へと。ここでは、重い大砲を積んだ車を引かされひどい目に会いますが、ジョーイの世話役の兵隊は、ジョーイともう一匹の黒馬のことを考えてくれます。

ジョーイとずっと一緒だった黒馬が死ぬとき、ジョーイの悲しそうなしぐさ。
この映画では、犬でもないのに馬がよくこれだけの仕草ができるなぁ!と関心しました。
最初のイギリス軍の騎兵隊の時に、2匹が仲良くしてるシーンも可愛いし、人間に対しての仕草には心温まるものもありました。でも、本当にこんなことするかな?と、ちょっと疑問を感じるシーンもありましたが・・・

ジョーイが逃げて行って、有刺鉄線にからまれて動けなくなります。この時、敵同士の兵士が心を一つにしてジョーイを助ける。ここのところ、とてもいい場面なんだけど映画ではよくあるお馴染みシーンのように感じてしまいました。

ジョーイはイギリス軍の野戦病院に連れてこられた。が、足が破傷風でやられていることで銃殺されるという時に、もとの飼い主アルバートのフクロウのような懐かしい口笛を聞くのです。アルバートは、兵士として戦っていましたが、毒ガスで目をやられてここに来ていたのです。ジョーイがアルバートのもとの飼い主だったことがわかり、医者も手を尽くして治療すると言ってくれる。・・・・・・でも、どうして、ここで急に医者の態度がこれだけ変わるのかわからなかった。もともと、ジョーイは、すばらしい馬だし、助かるものなら誰の馬でも助けたほうがいいのでは?

ここで、うまい具合に戦争が終わり、アルバートとジョーイは、家に戻っていく。
このシーン。左から地平線上に小さく人と馬が現れてだんだんと右の方へ歩いていくシーン!!!とてもよかったです。このシーンをもっと長く続けて欲しかったです。

最初の方にも馬の競りでジョーイがアルバートの馬となり、最後に又馬の競売にジョーイがかけられるというのは、映画らしくて面白いと思いました。この時、エミリーのお祖父ちゃんが競りに勝ってジョーイを連れていこうとしますが、ジョーイとアルバートの絆を知って、エミリーのお祖父ちゃんもジョーイをアルバートの手に残し去っていくのです。アルバートが別れの時にジョーイにつけた父の大尉旗が、この時エミリーのおじいちゃんの手からアルバートに帰ってくるというのもよかったです。

このエミリーのお祖父ちゃん、なかなかよかったです。Niels Arestrup、フランスの俳優さんなのでしょうか。1949年生まれということですが、もう少しお年を召しておられるように見えました。

この映画、最後アルバートとジョーイが家に戻り、父母抱き合うという場面ですが・・・・・感動シーンで心温まるのですが、なんか出来過ぎ!・・・・・
「奇跡のシンフォニー」を思い出しました。この映画は、最後に親子3人が奇跡的に会える・・・という映画でした。この映画も、こんなこと有り得ないし、父親が子供ができたことも知らずにいて、こんなに時間が経って急に子供がいたと言われてもこんな風に感激して受け入れられるのか??とか色々思いながらも、音楽の素晴らしさもあり、取り敢えず、胸にこみ上げてくるものはありました。

スティーブン・スピルバーグ監督の「戦火の馬」も子供向けの映画と思えば素晴らしい映画です。

点数を付けるとしたら75点






ものすごくうるさくてありえないほど近い

2012-03-20 | Weblog
”ものすごくうるさくてありえないほど近い”
Absolutely Loud Incredibly Close       
(2012.3.18. 二条シネマにて)

スティーブン・ダルトリー監督の作品と聞き、興味を持ち、是非見たいと映画館に足を運びました。彼の作品は、心、精神いわゆる人の内面を語ります。ストーリーではなく、その裏の世界があるような作品です。この映画も9.11で父親を亡くした11歳の少年のオスカーの心の物語と言えるでしょう

父が亡くなって一年後、オスカーはそのままになっていた父の部屋で青い花瓶の中の鍵を見つけます。彼はその鍵穴を見つけると父のことが何かわかるかもしれない・・・と考えます。そして、鍵の入っていた封筒に書いてあったblackと言う名前をニューヨーク中に探しての旅に出ます

映画の前半は陰気な映画だなぁと思ってました。
オスカーのおばあちゃんの家を間借りしているという人物(マックス・フォン・シドー)が、オスカーの鍵穴探しを手伝うと言い始めてから、急に話が盛り上がってきたように感じました。この人物は、しゃべれないという設定になってますが、なぜなんでしょうか?(ちょっと普通の人とは違うと言うところを強調したかったのでしょうか

オスカーは、アスベルカー症候群の疑いがあり、タンブリンを叩きながら気を落ち着かせて街中を歩いて行きます。そして、橋を渡ることがとても怖く感じています。でも、この間借りの人物が上手く渡らせてくれたり・・・・
この人物がバスの中でイビキをかき出して、オスカーが彼の口に自分の飲んでたジュースのストローを入れるところ、何か微笑ましいシーンでした

この人は、結局オスカーのおじいちゃんだったわけですが、途中で私はこの人は精神科医か心理学者かな?と思い、「シックスセンス」のマルコムを思い出していました。
オスカーは、おじいちゃんと最後まで鍵穴探しの旅ができなかったことは残念でした

鍵穴は見つかったけれど、それはオスカーの思っていた鍵穴とは全然違うものでした。
・・・オスカーが、あの3.11の日に父が電話をしてきたのに怖くて出られなかった・・・・・・
父の「いるのか?そこのいるのか?」と言う声だけが心に残って、・・・・
このことが父にに申し訳なく取り返しのつかないことをしてしまった・・・・・
その気持ちが9.11からこの時までの1年間オスカーをどんなに悔やませて苦しめてきたかがこの場面でよくわかります。

オスカーの父は、生前、オスカーの内向的な気持ちを和らげるためにいろんな冒険ゲームを考えました。様々な遊びを創作してオスカー少年の気持ちを和らげて外に向けようとします。オスカーは、言うまでもなく父が大好きで、このような冒険ゲームをしていたからこそ、blackを捜す旅もできたのでしょう

この映画の中で、オスカーの母は偉大だと思いました。オスカーは、母には何も話さないし、反抗的な態度。しかし、息子の部屋を見てblack探しの旅をしていることを知り、自分も・・・・・・・サンドラ・ブロック、最後とても素敵に見えました

「ものすごくうるさくてありえないほど近い」ものは、オスカーにとって、亡くなった父であり、言うまでもなく母であり、おじいちゃん、あばあちゃん、そして彼が訪ねていったblackさんみんなのことなのでしょう

点数を付けるとしたら、78点

  ☆スティーブン・ダルトリー監督のほかの作品:
   「愛を読む人」はブログに載せています。(2009.7.)

  ☆オスカーの祖父役のマックス・フォン・シドー
   「ロビン・フッド」でもいい味を出してました。
    (ロビンフッドが立ち寄る家の主で盲目の領主の役)
    詳しくは、2011.3.のブログに載せています。

ゲーテの恋 君に捧ぐ「若き日のウェルテルの悩み」

2012-03-17 | Weblog
ゲーテの恋 君に捧ぐ「若き日のウェルテルの悩み」
        (2011.Nov. 二条シネマにて)

5月2日にDVDリリース。もう一度DVDでも見たい映画です

ゲーテについて何も知らない私は、ちょっと教養のために・・・・・・
と思ってこの映画を見に行ったのですが、
とってもいい映画でしたのんびりと楽しめました
後味もいい(映画にとって後味は大切!)

私がこの映画を見て一番思ったことは、ゲーテってなんと女を見る目があるんでしょうということです。

若きゲーテが、法律の試験に不合格・・・というところから映画は始まります。

ゲーテは大学を去ることになり、父の勧めで田舎町の裁判所の書記見習いとして働き始める。
父は、時々ゲーテの寮にやってきて、ゲーテに「くだらん!作文ごっこか?このようなものを書いているようでは仕送りはしないぞ。」と、言いいます。(嫌なオヤジ
でも、何を言われてもゲーテは詩を書きたかったのですね。

この田舎町のダンスパーティーでゲーテはブッフに出会い、教会で歌う彼女に恋をします。

私が一番好きなシーンは、ゲーテがブッフに会いたくて会いたくてブッフの家へと馬を飛ばす ブッフもこの時ゲーテに会いたくてたまらなくなり、家で粉を買いに街に行くと言ってゲーテの寮へ馬車を走らせる でも、すれ違いとなり会えないままに〜がっかりしてお互いに帰っていく途中で会えるのです。
お互いに惹かれあってるんですね。
恋が始まった頃というのは、どうしてこんなにいいんでしょう!!
どの恋も恋の初めはピンク色
いいなぁ

ここで、ゲーテとブッフは結ばれますが、場所が石でできた建造物の上だから痛そうで無理があると思いました まぁ、雨は降ってるから屋根のあるところにいったのでしょうが・・・・雨のシーンじゃなくて、草の上で〜というわけにはいかなかったのかな

ゲーテの上司もブッフのことを好きになっています。何も知らずに上司がブッフを口説くための言葉を考えてあげるゲーテ・・・・・・でも、ゲーテの言葉には、文学的魅力が溢れている気がします

恋と愛は違うのか
ブッフとゲーテは恋に落ちました。そして、ゲーテは恋に敗れました。でも、なんとかならないかとその一連の恋を文章にしました・・・牢獄の中で。

ブッフは家族(父と幼い弟妹)を養うためにゲーテの上司と結婚を決めます・・・何日間も泣きはらした後で
最後にブッフが牢獄にいるゲーテに会いに行ったとき、彼女の恋はもう愛に変わっていた気がします・・・優しく「私や弟妹を養うためにこの田舎町に残るの?違うでしょ?これからも素晴らしい作品を書くんでしょ?」とゲーテに言うとき。

そして、結婚して落ち着いた彼女はゲーテの作品「ウェルテル若き日の悩み」を出版社に持って行きます。このことにより、ゲーテの作品は初めて世に出て人々に絶賛を得ることになる訳です。
ブッフは、ゲーテにとって恋人以上の人だったかもしれません。

映画の最後に、ずっと後にゲーテはブッフにもう一度合う機会があったことが語られていました。私はゲーテについて全然知りませんでしたが、これから先いくつも恋をしたことでしょう。しかし、このウェルテルの恋は女を見る目がありましたね。ブッフはすばらしい女性です。ゲーテの才能を誰よりも分かっていたのですから。そして、ゲーテを発掘したのは彼女であると言っても過言ではありませんから。

ちょっと、私事となりますが・・・・・・
私も13歳、中学2年のときに初恋に破れました。
そのとき、ちょうど国語の時間に「今一番心に思ってることを作文に書きましょう。」と先生に言われ、彼との一連のことを作文に書きました。400字詰め原稿用紙17枚。
この作文で私の才能を見つけ出してくれた人は誰もいませんでしたが、流石に当時あまり勉強してなかった私の中間考査、期末考査の点にしては、すごくいい成績(通知表)を頂きました。「Yと私と」という作文の御陰だったのでしょう。

ゲーテの恋〜点数を付けるとしたら97点