Noriko-McLane Movie Blog

自分の見た映画の感想を気ままに綴っています。
ネタバレの可能性もあるので、まだ見てない方はご注意下さい。

僕の初恋をキミに捧ぐ

2011-12-12 | Weblog
僕の初恋をキミに捧ぐ
 (TV金曜ロードショー秋コレにて)

この映画の原作は青木琴美のマンガ。観る前は、大人が楽しめるものではないだろうと思っていたが・・・・・秋コレの中でこの「僕の初恋をキミに捧ぐ」が一番心に残った作品となった。ある意味、男と女というものを結構深く捉えているし、登場人物がみんな素直に本音で生きている感じがいい

逞(たくま)(岡田将生)は、心臓病で20歳まで生きられるかどうか。その主治医の娘が同い年の繭(井上真央)。幼い頃に病院の庭で遊んでいて二人は偶然知り合って小さいながらに結婚の約束を。
繭がお医者さん、逞が患者さん・・・という設定で遊んでいて、繭が逞に「パンツを脱いで下さい。」と言うところ。普通こんなこと言いますか?逞はどうするんだろうと思ってましたが、恥ずかしがってるだけでもちろん脱ぎません。ここちょっと注目シーンでした。この頃は、繭の方が断然お姉さん。

繭の父が逞の両親に逞が大人になるまで生きられないかもしれないことを告げているのを偶然繭と逞が聞いてしまう。この後、繭は逞に元気でいて欲しいと願うが、逞は繭と仲良くしていたいということばかり・・・・・・でも、まぁ、この辺のところはマンガなんだと思って見てたし、結構面白いと思ってた。

映画では中学生になってる逞と繭のシーンに。この辺はちょっと退屈だった。中学卒業の頃から、逞は自分と一緒にいても繭は幸せになれないと考えて、別々の高校に進むことに決める。レベルの高い全寮制の私立に合格。繭に対する逞のよそよそしい態度・・・繭はその意味もわからないまま・・・・・逞の高校合格を知り、自分も家庭教師に猛特訓してもらって2次試験で同じ高校に合格。

高校に入学した辺から、この映画面白くなってくる。男と女の行き違いや身勝手さなど、大人でもうなずけるし、なるほどと思ったり、そうかなぁ?と考えさせられる部分がたくさん出てきた。この作品では、逞の命に時間は限られているので(どちらかというと)繭が(気の強い性格ではあるが)逞に尽くして上げている部分が多いと思う。特に最後に近づくに連れてそれは顕著に現れている。

高校の入学式で、逞は初めて繭が同じ高校に来てたことを知る。それも、繭の入試の成績が良かったから繭が入学の挨拶を壇上で・・・・でも、繭は壇上で逞に向かって強い口調で一人この学校に行こうとしたことを責めるが、それは結局みんなの前で入学式に逞に告ってること。この辺のところ、繭はすごい。やるなぁまぁ、マンガだからと言えばそれまでだが・・・・

繭は、弓道部に入り弓を討つ姿はなかなか昴という同級生のプレイボーイが繭に夢中になって、繭のことをいつも’姫’と呼んで近寄ってくる。
一方、逞は同じ心臓病の照ちゃんの入院する病院にいつもお見舞いに行く。繭はこのことに妬いている。
繭は昴のことをきっぱりと拒み続けている。これに対して逞の方は照ちゃんにせがまれてキスをする。照ちゃんは明日死ぬかもしれない身の上。そんな人にお見舞いに行ったら「私はまだ誰ともキスしたことがないの。逞くんがキスしてくれたら、思い残すことなく死んでいける。」と言われたら・・・・・まぁ、仕方ないか・・・・とも考えられる。でも、繭の立場としたらどうかな?
それも、逞は繭に「俺、照ちゃんとキスした。」と告げるのはどうなんでしょう??こんなことわざわざ言わなくてもいいのにと思うけど。逞は繭にわかってほしかったのかなぁ?この時、二人はすごく険悪なムードだったし、もう別れるのかと思ったほどだった。逞のこの時の気持ちが、よくわからない。でも、逞自身も自分の気持ちがわからないから、繭にすべてをぶつけたのかもしれない。男の気持ちも複雑!

照ちゃんが亡くなって、逞がお墓参りに行くと言うので、繭もつきあうところ・・・・・・こういうところ、繭は逞を包んでると思う。普通に考えれば、嫌味のひとつも言いたくなるところだと思うけど・・・・・・

逞は、この後、昴に100メートル走を挑む。この場面では、私自身もハラハラ。100メートル全速力で走るって、死んでもいいからやるの?昴は、100メートル走に負けたら繭に一切近づかないと約束していた。
ここで、びっくり!逞が勝つんです!!(小さい時から心臓病で走ったことないのに勝てるのかな????まぁ、マンガやしな(*´∀`*))
勝った時の逞の心から満足して地面に寝転んでるところ、印象的!幸せ絶好調
二人の恋はしばらくうまくいくが・・・・・・

逞が倒れる。死ぬかも?残された道は早急に心臓移植すること。でも、ドナーとなってくれる人が見つかる可能性はゼロに近い。

年上の彼女ができて、寮を抜け出して彼女のところへ遊びに行こうとした昴がトラックにはなられた。脳死状態。
なんや、これやったら「孤高のメス」と一緒やん。出来過ぎや。昴の心臓を逞に移植するんですか?お決まりのパターンや。
と、思った。でも、全然違ってた。

昴はドナー登録をしていたので、昴の家族も初めは昴の心臓を提供することを承諾した。しかし、昴が脳死状態でありながら涙を流すのを見て、もしかしたら生き返るのではないかという希望を抱き、心臓の提供を断ってきた。医者が涙を流すのは、脳が働いてのことではなくて単なる反射なんだといくら説明しても無駄だった。繭は、頭を下げて頼み込むが、スバルの祖父は、涙ながらに「心臓は上げられない。」と言う。ここの場面、昴のおじいちゃん役の山本学、さすがの演技でした。
もし、生き返るかもしれないと思うんだったら、最後まで心臓提供は断ってほしいいと思った。もちろん、昴は死んでしまうと客観的にみればわかるのだが、家族の気持ちになれば、そうすることが当然だ。

逞は、もう死ぬかもしれないという時に突然元気になって、繭を無理やり連れて病院から抜け出した新婚旅行だと言って二人で一日中遊び回るこの日は、出会った頃に繭がいつもお願いしてた四つ葉のクローバーの神様がくれた最高のプレゼントだったのかもしれない。

岡田将生の雰囲気が、逞にピッタリだったように思う。
ウエルテル(「告白」の寺田良輝)と同一人物がやってたとは??

最後の繭が教会でウェディングドレスを着て骨壷を抱いて一人で結婚式をしている場面、蛇足です。
途中、逞が主治医(繭の父)に自分がSEXをしても大丈夫か?聞きに行くところ、逞は患者であり、娘が彼女であるという複雑な立場である主治医はどう答えるか注目でした。主治医の役である仲村トオルの演技には、繭と逞を温かく見守る愛が感じられた。

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