スペイン母子家庭生活奮闘記☆毎日ドキドキ@マドリッド

夫の仕事でマドリッドにお引越ししたものの、諸事情によりスペイン内別居生活。
母は毎日がんばるよ!

涙の文化祭~

2006年11月21日 | 子供たちのスペイン

我が家の子供たちはマドリッド日本人学校に通っている。
先日秋の一大イベント、文化祭が行われた。

文化祭のメインは子供たちによる劇だった。
小学部低学年、高学年、中学部に分かれてそれぞれ日本語劇や英語劇、スペイン語劇を見せてくれた。

マドリッド日本人学校は現在小学校1年生から中学校3年生までで合わせて32人の小さな学校である。
なので何をするにも1人1人にかかる負荷が大きくなる。
文化祭に向けて子供たちがあまりに真剣に取り組んでいるので、親もせめて衣装の準備などで協力せねばとはりきる。
今回息子が「レイコ様」という不思議な役をすることになり、女装をするというので金髪のカツラを用意した。
毎晩不気味なオネエ言葉のセリフが部屋からもれ聞こえてきてご近所にかなり恥ずかしい。


果たして文化祭当日。
娘は日本語劇の「どんぐり」役と、スペイン語版白雪姫の「小人その1」役で普通にかわいらしくがんばった。
そして中学部の日本語劇「絆」が始まった。
息子の出番は後の方だと言う。
劇が進むにつれ、冷や汗がタラタラ出てきた。
金髪の「レイコ様」のお話は当然喜劇だと思って深くストーリーをたずねもしなかったが、目の前で繰り広げられている劇はなんと、深~い友情をテーマにしたNHK中学生日記風の超大真面目なストーリーではありませんか。
しかもさすが中学部ともなると演技がうまい!みんなホントにそのままテレビに出てもよいくらいに自然な演技なのだ。
全校生徒、そのご両親、おじいちゃまおばあちゃままでし~んとなって見入っていらっしゃる。
まずい。この雰囲気に「レイコ様」の登場はあまりに衝撃的過ぎる!

「私はあやしい者じゃないわ。」
と登場してしまった息子はかなりあやしく、会場のどよめきを浴びた。
私は身のちぢむ思いだった。

それでも、もともとの脚本がよいせいか、キワモノにも見慣れたせいか、会場全体が次第に物語りに引き込まれてゆき、とうとう感動のフィナーレを迎える。
写真を撮るのも忘れて見入ってしまった。
息子がはじめからすごくやりたがっただけあって、その「レイコ様」が物語の鍵をにぎる重要な役割りだったのだ。
あんなに不気味でよかったのかどうか、親として皆さんに申し訳ないような気がしたが、幕は無事下りた。

あとで聞くと、下りた幕の向こう側で7人の中学部の仲間が、事を成し遂げた達成感に酔い、抱き合って涙したらしい。
皆様には「あのキャラは貴重だ」とかよくわからない賛辞(?)をいただいた。
しかしみんな本当に上手だった。

子供たちが自分たちで考え、一つ一つ作り上げていった作品。
息子の強い個性を認めて、受け入れてくれた仲間たち。
そして、全部を許容してくださった懐の深~い先生方、ありがとうございました。