📌
かの国が古代から文明国であったことを、世界は知っている。
世界が知っていることがもう一つある。
それは長い歴史を経て鍛えられた、狡猾心の根深さである。
それは、漢字の奥深さに劣らない。
そう、彼らの遺産は、漢字の創出と狡猾さに長けたワザである。
この二つの前にかの国のほかの知恵は、霞んでしまっている。
引き継がれるべき長い文化の諸相や道徳観がよく見えてこない。
漢字の発想から創出できないものは、
躊躇なく他者から手に入れる。
創出できないものを我が物にするには、
持ち前の狡猾な戦略が縦横に駆使される。
批判には強烈な反発を現す。意気盛んに反批判する。
あの無残な文化革命で鍛えられた手法である。
他者に敬意を払って学ぶという着想にはならない。
彼らの知恵は新しい文化を創出できないでいる。
狡猾な競いで他者から手に入れた方が、早く実現するからだ。
狡猾に手に入れたものを、わがオリジナルとする厚顔さもある。
まず覇権者の狡猾さは群を抜く、
だが、下層に至るまで民も決して負けていない。
狡猾のワザを縦横に現し、恥の感覚は狡猾心を弱めるので敬遠される。
道学を説いた曽ての哲学者たちはもうどこにもいない。
成果は全て金銭に数えられる。
安全も安心も清潔もマナーも金銭的利益にならないから価値がない。
金銭の裏付けのない信頼は成立しない。
今や、狡猾を競う稀な社会を実現した国として、世界が知っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます