明日のカープ

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第33回『ロッテに移籍したら消滅した゛夜のお誘い゛』

2013-06-04 19:02:59 | 赤い疾風伝説


1989年のオフに、田淵幸一さんがダイエーの監督に就任したこともあって、法政大時代からの親友でもあるカープの山本浩二監督との間で「山本ー田淵の友情トレード」があるんじゃないかと、マスコミは騒いでいた。交換要員の具体名も挙げられていたし、水面下で交渉が行われていたことは間違いなかった。

しかし、最終的に移籍先として決まったのはロッテ。400勝投手としても知られる当時の金田正一監督が積極的だったそうで、俺と白武佳久、杉本征使の2投手と、前年に首位打者を獲得していた高沢秀昭、水上善雄による3対2の大型トレードとなった。でもね、この時もひと悶着あったんだ。

このトレードについてカープが記者さんたちを集めて発表したのが、11月13日のことだった。俺はお世話になっていた整体師の先生に体を見てもらうため名古屋にいたんだけど、球団から事前に通告を受けていて、名古屋のホテルで記者会見をするようにも言われていた。

この大型トレードのニュースはNHKの夕方のニュースでも報じられたし、俺は俺で名古屋のホテルで記者さんの質問に答えた。なのに…。夜になってロッテの球団幹部がこのトレード話を全面否定してね。当事者である高沢や水上に連絡をしていないってことが理由だったようだけど、こっちにしてみれば何がなんだか分からない。


1か月近く前からトレード要員になっていることを告げられたかと思えば、決まったら決まったで相手球団が全面否定。翌14日に広島に戻ってから、カープの球団幹部に「名古屋で会見までさせて、すまんかったのう」と謝られたけど、記者さんには追い掛け回されるし散々だった。交換トレードっていうのは、両球団の同時発表が基本だからね。

正式に両球団からトレードが発表されたのは、いわゆる「フライング発表」から4日後にあたる17日で、広島市内のホテルで改めて記者会見に臨んだ。俺もそうだけど、質問する側もバツが悪かったと思うよ。何日か前に聞いたことを繰り返し聞かなきゃいけないんだからね。ちなみに、この11月17日は仏滅だった。

会見では「野球はどこでやっても同じだから、これまで通り、全力を尽くしたい」というような話をした。確かに野球をすることに変わりはなかったけど、ロッテの注目度の低さにはビックリさせられた。本拠地の川崎球場は数えるほどしかお客さんがいないし、隣接する川崎競輪が開催中の日なんか、お客さんがグラウンドに背を向けてスタンドから競輪を観戦しているし…。

ついでに言うと、それまで当たり前のようにあった芸能人をはじめとした異業種の方からの゛夜のお誘い゛が、ロッテ移籍を機にピタッとなくなった。「カープのヨシヒコ」じゃないと価値を感じてくれないのかな…なんてことを、ふと考えたりもしたよ。



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