明日のカープ

広島東洋カープの昨日・今日・明日を見つめます

他球団の選手から~金本(現阪神)

2012-01-25 11:40:59 | 頑張っとるけ 応援してぇの カープ!
 1月22日の恒例のコーナーに登場したのは金本。
 金本に関してはカープファンは言いたいこともたくさんあるだろう。この企画に金本を持ってきたことでせっかくこの企画を評価していた人からも「残念」という声も多いみたい。
 個人的にはFAで出て行った時に広島市民球場で暖かい拍手で迎えられた時のファンの心境と同じように、江藤や川口、後の新井の時ほど怒りは湧いてこなかったが、やはり数年経ってカープ戦で打ちまくる姿を見ればムカムカもしてくる。
 だが、金本がカープに復帰したいという意向があるということは聞いていたのでそれほど驚きもない。それに、外部招聘を推しておきながら、「金本はダメ」では言っていることが全く違ってくるので、選手としての魅力は落ちていっているものの、コーチとして帰ってくることは大いに喜ぶべきことと考える。そもそもこの人、気合いの入り方が違う、どのコーチよりも一番説得力があるはず。
 それに今までの閉塞感をはらって快く迎えることがカープが強くなっていくための過程だとも思う。それができないから今長年この位置にいるわけで…。

~以下、全文~

▽戦力不足 心理にも影響

カープの低迷は戦力不足に尽きるよ。試合中でも、常にこっちが一手上回っているように見えるからね。例えばですよ。終盤で代打に前田と嶋がいても、阪神はジェフ(ウィリアムス)がいた。右の代打が出てきても少し早く(藤川)球児がいける。外野は暇だからそんな計算しながらみてるからね。

投手も同じ。特に、お互いが抑えを出した後の延長戦なんかは差が顕著になる。終盤でこの1、2枚の(選手層の)差は大きいよ。野手の心理にも影響するからね。

▽接戦は厳しい

シーズンで接戦を10試合勝つか負けるかは大きな差でしょ。それに接戦は本塁打か失策か四球で決まる場合が多いから、本塁打が少なカープは厳しい。昨季、阪神が勝てなかったのも、長距離砲をそろえたのに本塁打を打てなかったから。

僕もカープのV逸に11年絡んでいる。ただ当時は強かったし、いい野球をしていたと思う。攻撃陣はね。走れるし、エンドランもできるし、本塁打も打てた。野村さん、前田、ロペス、江藤。緒方もいいところで打っていた。でも投手力が足りず優勝できなかった。

(FA移籍した)阪神ではカープでやってきたことを懸命に実践しただけ。キャンプや練習内容はあまり変わらないね。カープは覇気があるけど、阪神はダラーとした雰囲気。だけど個々が責任を持って、コツコツやる姿勢は阪神の方が上かな。やらされる練習も大切だけどね。

カープは今から強くなるよ。ドラフト制度が変わったしね。(1990年代半ば以降の)逆指名とFAのダブルパンチでは低迷も仕方ない。出ていった自分が言うのも何だけどね。

(戦力不足解消に)重視するのはスカウティングだね。僕だったら粗削りでも、体が強く、練習に耐えられる選手を取る。今はいい球場ができて、アマチュア選手のイメージも良くなった。野球界は意外に実力以外の人柄とか、スカウトのコネや出身校で取るケースが多いよね。人間性で野球はできないのに。

▽優勝争い可能

外から見るとカープの選手は本当に一生懸命やっているよ。食らいついてくる感じがあるし、細かい野球もやってくる。岩本みたいな馬力のある選手もいるし、長い目で大きく育ったら面白い。今村なんか対戦していてすごく楽しみな投手だ。

何年か後に、優勝争いするチームは必ずできると思う。古き良き時代の厳しさ、いい意味でのアマチュアリズムが残っていればの話だけどね。最近はFA権を取った選手もしっかり引き留めるようになったしね。僕は減俸で残れとはいわれたけど…。

昨季、ヤクルトがほぼ自前の選手だけで優勝争いをしたんだから、カープにもできないはずはない。いつもひそかに気にかけてますよ。

~以上~


 スカウト陣やフロントには耳の痛い話かもしれないが、あらためていい企画だと思う。



監督の仕事 緻密さ鍵、もっと指摘を~古葉監督

2012-01-24 18:21:18 | 頑張っとるけ 応援してぇの カープ!
 「広島が6度目のリーグ優勝を飾った1991年から、20年が過ぎた。最近14年間はBクラスに沈み、低迷脱出への兆しは見えない。「強い赤ヘル」の復活に向け、今何をすべきか。OBや他球団の関係者、有識者たちから、再建策を提言してもらう。」

 という主旨で昨年12月に中国新聞に掲載されて始まった企画。その後毎週日曜日の恒例コーナーとなりつつあるが、その第1回目を飾ったのが古葉監督。なんとも含蓄がある言葉の数々、ある意味この内容は野村監督に対する批判のようにも感じるが…。

~以下、全文~

▽将来見据えチーム作り

最近は成績が残せなかったら、コーチを代えていくよね。これが不思議で仕方がない。勝ち負けの責任は、監督以外にない。

1975年の途中で監督をやれと言われたが、その前の3年間は最下位で監督が毎年代わっていた。今年最下位だったら自分もクビになると覚悟した。そんな気持ちで、戦っていくうちに優勝争いに絡み、優勝できた。

戦力は他球団との比較で考えていた。うちの1番打者はあそこに勝っているけど、リリーフは負けているとかね。自分の球団の中だけで満足していては駄目。力で負けるんなら、どんな野球でカバーするかを考える。それはプロも大学野球も一緒ですよ。

▽若い投手成長

今のカープは若い投手が育ってきている。最近のドラフト指名を見ても、まず投手をしっかりしようという方針が分かるよね。ただ巨人や阪神のようなFA補強は難しいし、いずれは選手が出て行く可能性もある。スカウトと話をして、将来をしっかり考えながらチーム作りをするしかないよ。

打者も、本塁打をガンガンうつ打者がいるわけでもない。広島の良さは、足を使った野球ができるかどうかにかかっている。ヒットエンドランやバントを交え、大事な場面でスクイズを決められるか。ゲームに必要な練習をいかにやるか、これ以外にない。

僕から見ると、野村監督はまだベンチで目が光ってない。僕は今も試合中は必ずベンチの隅っこに立つ。あそこが一番グラウンド全体の動きが見える場所だから。学生には「オレもグラウンドにいる。戦っているんだぞ」と言ってね。

投手のボールから目を離したことがない。一球に皆がどれだけ集中し、守りの準備をしているか。球種によって、どんなスタートを切っているか。気付いたことは試合中に指摘するし、集中していない選手には怒る。

特にプロは、大変なお金を払ってファンに足を運んでもらっているんだから。みなさんに納得してもらえるかは、シーズンを通して緻密な野球ができるかどうかにかかっている。野村監督はもっと目を光らせて、指摘してほしい。プロとして、きちんとした野球をしているか、させているかは監督の仕事だ。

▽5割が最低限

勝率5割は最低限の仕事と考えていた。あと5勝できるか、5敗してしまうかで監督の評価は分かれる。そのためにユーティリティプレーヤーを作ったし、高橋慶彦や山崎(隆造)をスイッチヒッターにした。主力の故障に備えてね。野村監督も秋季キャンプで取り組んだそうだけど、当然のことだよ。

当時は僕がゼネラルマネージャー的な役割もやっていた。。故松田耕平オーナーから「責任はお前にある」と言われていたし、現場を一番分かるのは監督でしょう。自分が辞めても、5年間は優勝争いできるチーム作りも目指していた。常に将来のことを考えるのも監督の大事な仕事だよ。

~以上~

 
 「野村監督はまだ目が光ってない。」

 たしかに野村は勝負師ではない。昨シーズンにも数回見られたルール知らずの采配や選手への責任転嫁なんかはその最たるもので、監督自身が全く試合に入り込んでいない。

 「大変なお金を払ってファンに足を運んでもらっている」

 過去に優勝できずにホーム最終戦でファンに対して土下座をした監督もいたが、そこまでしろとは言わないが、「やるからには優勝!」と言い切った挙げ句、2年連続Bクラスなのに最終戦やファン感謝祭での挨拶は全くなし。整列して一礼して終わりでは、ファンも納得いかない。

 そもそも広島経済界が満を持して担ぎ上げた野村監督に対して、2年そこそこでこのような内容の企画が出てきたということは、野村政権もすでに危うし…といったところかな。


育成とは ファーム勝利から学べ~木下富雄

2012-01-20 12:32:20 | 頑張っとるけ 応援してぇの カープ!
 去年の暮れから毎週日曜日の中国新聞恒例となった「カープV逸20年・私の提言」。1回目の古葉監督のフロントや監督には耳の痛い内容でスタートしてから今週で6回目。その6回目は木下富雄氏。これまでの5回も、濃い内容のものだったが特に今回の木下氏の提言はカープが弱体化している原因がよくわかる内容だった。

~以下、全文~

▽隣は敵 厳しい競争必要

 ファームで勝利と育成を両立するのは確かに難しいですよ。2001年に二軍監督を引き受けた時、球団からは「全部負けてもいいから1年間で1人を1軍に上げてくれ」と言われた。

 ただね、僕はカープが強い時期に選手時代を過ごしたから「勝負は勝たなければいけない」との気持ちが強かった。由宇球場での練習も緊張感を感じなかった、これではいけないと思った。勝たないと覚えられないこともありますから。

 03年は1番天谷、3番末永、4番栗原と若手を固定し、育成も重視しながら前期の優勝争いをしていた。そして、残り10試合になった時にスタッフミーティングで「優勝争いの重圧の中でプレーしてこそ、1軍で通用する。この10試合は勝ちにいく野球をやろう」という話をした。

 球団の担当者には「それは困る。球団の育成方針と違う」と反対されました。でも、僕のクビをかけてでも選手に教える時は今しかないと思った。だから全員を集めて「今後は起用方針や作戦が変わる。勝ちに行くぞ」と伝えたんです。

 一つ勝つごとに優勝へ近づくでしょう。そしたら何も言わなくても選手が一生懸命練習をし始めた。1点をどう取るか、どう防ぐかは僕もコーチ陣も考えるんだけど、選手も一生懸命考える。一体感が生まれて、いいムードも生まれてね。そのまま、ほとんど負けずに優勝できた。

 自分の挙げた1打点でチームが勝てば、自信が何倍にも増す。投手も同じですよ。だから負けに慣れちゃあダメ。相手もファームなんだから。カープの黄金期はファームも強かったんです。

 最近は選手同士の仲がすごく良いでしょ。これも伸び悩み、勝てない一因かなと思う。2軍監督時代によく言っていた。「ベンチでお前の隣に座っているやつは敵だ」ってね。人より練習して、成績を残し、初めて1軍入りが近づく。

 僕の現役時代なんかは、皆がバラバラだったし、だから強かったのかもしれない。レギュラー争いの競争じゃなく、レギュラー同士の競争なんですよ。山本浩二さんと衣笠祥雄さんを筆頭にね。野村謙二郎や前田智徳、金本知憲、緒方孝市といった世代も、レベルの高い競争があった。ファームでも、こういう争いをさせなくちゃいけない。

 ファームの指導者に一番必要なのは、情熱でしょう。原石を何としても育てるんだという思い。当時は2軍スタッフが交代で大野寮に泊まり込んで、夜間練習に付き合っていた。苦労を共にした選手が1軍で初めて試合に出たり、ヒットを打ったりした時には、必ず電話がかかってくる。ありがとうございましたと。あのうれしさは忘れられない。

~以上~

   
 これまで中国新聞が球団批判と思われるような内容を掲載することはあまりなかったが、随分と思い切った内容が過去5回を含めて掲載されている。

 今後も随時紹介していきたいと思う。