前にも書いたが、今、オーディオテクニカのAT-PL50という安いレコードプレーヤを使っている($60ぐらい)。10年ぐらい前、アイワの似たタイプのレコードプレーヤが音が良いと、江川三郎先生が言っていた。タイムドメイン推奨もアイワの後継ターンテーブルだった(恐らく江川先生が先)。それら製品も、AT-PL50もすでに製造中止だし、日本では売ってなかったと思う。AT-PL300が日本で買える同等品と思う。私だったら白を買ってみたい。
江川先生によると、1)イコライザーアンプを内蔵しているので、微弱信号のロスが少ない、2)接点が少ない、3)ベルトドライブ、4)プラスチックのターンテーブル(AT-PL50はアルミターンテーブルだが)、が音の良い理由だったと思う。
江川先生推奨のレコードプレーヤも持っていたが、AT-PL50も負けず劣らず音が良いと思う。同時に比較できないので断定的なことは言えないが、AT-PL50の方がいい音に感じる。エレガントな音だし、音楽が生き生きしている。カートリッジの性能が違うのではないかと思っている。テクニクスのSP-10mk2+クラフトAC-3000というシステムも持っているが、重苦しい音のイメージであまり好きではない。
• ハムについて
これまで購入した3種すべて、ブーンというハム音が聞こえ耳障り。これは簡単に解決できる。アームをアースすればいい。私は細い電線をアームに巻いて、それを、プロケーブルの電源ケーブルを介してアースに導いている。これでハムは消えた。分解して電源ケーブルをプロケーブルのもの交換にした時、音の安定感が高くなった。
• カートリッジについて
付属のカートリッジの音がとても良い。テクニカ製のVMカートリッジだが、単体発売はされていないようだ。最近、針圧系を手に入れたので、測ってみたが、3 g以上あり、測定不能だった。恐らく3-4 gぐらいじゃないかと思っている。針圧が高いのでレコードを傷めないか心配だが一年以上使ってきて、トラブルはない。カンチレバーが太い。カンチレバーを見ると、大雑把な音が聞こえてきそうに思うが、実際は繊細でかつ太い音が聞こえてくる。高域の頭打ち感はない。細いカンチレバーは、高域の伝達がうまくできないという話(Q3参照)もあり、このカートリッジの音を聞くと、実際、そうかもしれないと思いたくなる。
• 針
見た目に差が感じられないとしても、どの針も音の差がある(製品のばらつき)。その差は小さくない。AT-PL50については、手持ちの3本から、高域の延びが良く、かつ音の大きい針を使っている。
AT-PL50が廉価製品だから、ばらつきがあるというわけではない。NHKで使われているデンオンDL-103でもばらつきがある(選別品がNHKに納入されていたという噂もある)。針交換のたびに新しいDL-103の音に一喜一憂した。比較視聴しなければ差が分からないほど小さな差ではないが、私は2個DL-103を持っていたので(ヤフオク事件で3個になったが)、手元に残したDL-103に対する音の差という形でも個体差を確認した。
• イコライザーアンプ
音の味付けの少ないイコライザーアンプが内蔵されている。このイコライザー回路はパスできるので、Allen&Heath Zone 62のイコライザーアンプと比較したが、AT-PL50内蔵のイコライザーアンプの方が音が良い。Zone 62がプロ用で最強という噂があるが、簡単に負けてしまった(笑)。
• アーム
一般的な製品に比べると非常に貧弱に見えるアームが付いている。しかし、このアームも音が良い理由の一つかもしれない。一般的なアームは後ろに重りがあって、その位置を調整して針圧を調整する。しかし、このアームには重りがなく、支点はほぼアームの後端についている。したがって、アームの支点から先端までのすべてのパーツの重さよって針圧を得るしくみになっている。重りにより、アームの両端に加重がかかると、アームに付加がかかるとおもうし、重り自体の固有音も問題にだとと思う。理想的には針とコイルが空中に固定されている状態だと思う。3 gという針圧のカートリッジもこのアームの機構のために必要だったのかもしれない。注意点としては、アームのパイプがクルクル回るため、針交換した後など、カートリッジが水平かどうかチェック・修正する必要がある。
• 軽いターンテーブルとベルトドライブ
金田さんは糸ドライブの音はゆっくりとした周期で音程が変わるので音が悪いと言っている。しかし、これは重いターンテーブルとスリップの生じる糸ドライブの場合の話である。私は金田さんみたいに絶対音感はないし、音程に関して鈍いかもしれないが、AT-PL50が原因で音程が変化していると思ったことはない。古いレコードはカッティングマシーンの回転精度が悪く、ピアノのアタックの後で音程が変化するのがよく分かるが、AT-PL50に原因があって音程が変化していると感じたことは一回もない。つまり、AT-PL50は古いオリジナル盤を聞くのに十分の回転精度があると言うことになる(もちろんゼロが理想だが)。重いターンテーブルはいったん回転スピードが変化すると、それを補正するのに時間がかかってしまう。まして、糸ドライブだとスリップを生じるので余計時間がかかる。AT-PL50はゴムのベルトを用いているので、スリップよりも、ゴムの伸び縮みが問題になる。しかし、ターンテーブルが軽いので、その影響が重いターンテーブルより気にならないのだろうと思う。結局、部品のバランスが重要なのではないかと思っている。金田式ターンテーブルの問題点もいくつか思うところがあるが、別の機会に書こうと思う。
• ターンテーブルシート
音がブヨブヨするので使っていない。もっぱらレコードを聴かない時に、埃よけに使っている。そう言えば、江川先生がこのことを言っていたと思う。彼の功績はすごいと思う。
正直なところ、このプレーヤーを使っていて、全く不満がない。ただ、他の世界にもっと良い物があるのではないかという興味はあり、いろいろ気になってはいる。実は、中古のプレーヤをヤフオクで落札してしまった。2000円で落札し、アメリカへの送料は15000円、また、落ち着いたらアップしようと思う。
もう完全に聴き専です。
Radial EngineeringのJ33は、まず、デザインが良いですね。音も良さそうですね。実は、eBayで中古のAT-PL50を落札しました。フォノアンプを取り出して遊んでみようと思っています。しばらく、お金をかけないようにやってみようと思っています。
Shure TypeIVを使ってましたが、
今ではOrtofonのDJ用のNightClubです。
針圧は2.5gで重めですが、
こっちのほうは中低域がタイトで私好みです。
まえは東京サウンドのフォノイコでしたが、
システムがエセプロケーブル仕様になってから、
どうもいまいちな感じがしてきたので、
カナダのプロオーディオ業界ではかなり有名な
Radial EngineeringのJ33というフォノイコライザーを
自作の真空管マイクプリアンプ経由で使ってます。
MM型しか使えませんが、フォノイコライザーの特性が良く、正直これ以上のフォノイコがいるのか?
って思うほどです。
アメリカでは結構安く手に入ると思います。
ご参考までに。
さすがにMC2000は使ったことがないです。当時、中学生でカートリッジに10万円注ぎ込む人がいるんだと思って雑誌を見ていました。
私の使っていた一番の軽針圧のカートリッジはAT-150E/Gで、記憶が曖昧ですが、1.25gだったと思います。これは最初に買ったカートリッジで、近居の(田舎の)家電屋さんで勧められて買いました。型遅れを12000円ぐらいで買ったと思います。入門用として、なかなか良かったと思います。最近のオーディオはお金がかかるようになりましたね。
私が愛用してた物はYAMAHA MC2000でした。
高感度アームで且つ軽くて丈夫なシェルでないとマトモに定位すら出ない難物でしたが、
バランスが取れると見事に音楽を鳴らしてくれました。
そして出力も0.1mVでしたから普通のプリではノイズだらけ…
こんな所も自作に走った原因です。
しかし、1gというのは凄いですね。
何処か一つでも崩れると音楽が鳴らなくなる気がします。
そんな私は1gと言う超軽針圧愛好者でした。
馬鹿な話ですね。