復興は三年経っても遅々として進まず、反面
わずか三年ですでに未曾有の震災が風化しはじめているとつくづく思う。
震災から三年目を迎える今日、
東日本大震災で亡くなられた方々への鎮魂と
被災地の一日も早い復興の祈りを込めた「能と文楽」の舞台を拝見した。
敬称略
お話し 林望 ・ 西本ゆか
文楽解説 高原剛一郎
「ゴスペル・イン・文楽 イエスキリストの生涯」
作 川口眞帆子
原詞 丹羽孝
補綴・企画制作 豊竹英大夫
演出 桐竹紋壽
作曲 鶴澤清友
出演 豊竹英大夫 鶴澤清友 桐竹勘十郎ほか
「能 聖パウロの回心」
能作・演出 観世清河寿
台本創作 林望
狂言演出 野村萬斎
協力・助言 高橋みづほ
出演 観世清河寿 野村萬斎ほか
どちらも聖書を題材としたものであるが、つくづく日本の伝統芸能の奥深さを感じた。
俊寛のかしらがキリストそのものに見えてくるし、
オルガンで舞う宗家もまさにGod。
林氏や高原氏のお話によると能に切支丹能というものがあったということと
素浄瑠璃という形でキリストの教えを説いた時代もあったらしいと。
どんな文化にも寛容で良いと思えは積極的に取り入れることができ
それを独自の美意識でさらに研ぎ澄ませ発展させる日本人の感性は実に素晴らしい♪
満開の観世能楽堂の梅の花が青空に映えていた。
被災された方々が明日への不安なく春を謳歌出来る日が一日も早く訪れることを切に願う。
世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
お能を拝見しながら宮沢賢治の言葉が浮かんだ。