炭素原子が1平面上に並んでいるグラフェンはいろいろおもしろい性質を持っている(2/27,6/28,HP2.2A1参照)。ナノエレクトロニクスへの応用にも期待が持て、いろいろな観点からの研究がなされている。
まず、グラフェン膜に作った穴がひとりでに修復されるという研究を紹介しよう。グラフェン膜にパラジウム(Pd)などの原子を少数個(たとえば数百個)のせ電子線を照射すると、グラフェン膜に穴があく。この穴はパラジウム原子が存在する限り続く。電子線がパラジウム原子の移動を促し、穴があいた部分の炭素原子間の結合を切断するようである。穴があいた部分の炭素原子はグラフェン膜のどこかに付着しているのであろう。電子線の照射をやめると、炭素原子が元の穴に戻ってきて、穴がおのずから修復されるという。グラフェン膜にあらかじめ炭化水素を付着させておくと、穴の部分に以前と異なった形状で炭素原子が並ぶという。
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この研究は、イギリスのマンチェスター大学の研究グループによる。高性能の電子顕微鏡を用いて炭素原子が1個1個元の場所に戻ってくるのが観測出来るという。固体の自己修復など、これまで観測されたことがない現象で興味深い。著者たちはグラフェンを好ましい形に変える(テイラーする)のに使えると主張している。
太鼓の皮に張力を加えると音階が変化する。それと同様にグラフェンに張力を加えると電気的性質が変化することをアメリカ国立標準技術研究所(NIST)の研究グループが明らかにした。グラフェンにテントの様な部分を作ると、その部分に電子が集まり量子ドット(4/10,6/6参照)の様な働きをするという。グラフェンナノロッド(1/18参照)とグラフェンとが接続されているもので、デバイスの作成に利用できそうである。
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