ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナショナル・ナノテクノロジー・イニシアティブのレポート

2011-10-22 | 日記

アメリカのナショナルナノテクノロジーイニシアティブ(NNI、9/2参照)が「2020年の社会のニーズにこたえるためのナノテクノロジー研究の方向:回顧と展望」と題する膨大なレポート(http://wtec.org/nano2/)を発表した。このレポートは、アメリカ、ドイツ、日本、シンガポール、さらにアメリカで開催されたワークショップをもとにまとめられたものである。

今回のレポートによると、2020年にはナノテクノロジーの市場規模(9/21参照)が3兆ドル達し、600万の雇用を生み出すとしている。アメリカ政府のナノテクノロジーに対する力の入れ方が分かるような気がする。インフォメーションテクノロジーを制したのと同様に、ナノテクノロジーをも制しようとしているかのようである。世界中に現存する約2000社のナノテクノロジー関連会社(8/26参照)の約半分がアメリカにあることからも、その力の入れ方がうかがえる。

レポートには、商品化されたあるいはされようとするナノテクノロジー製品が、5年ごとに区切って分類がされている。2000年から2005年の間は、ナノサイズの金属、高分子、セラミックスなど、既存の材料をナノサイズにしたものがコーティング材料などに製品化されている(10/11参照)。2005年から2010年にかけては、それまでの受動的な手法に加えて、ナノ粒子を積極的に利用した能動的な製品が現れまた現れようとしている。たとえば、3次元トランジスタ、増幅装置、標的に到達出来る薬剤、燃料電池用触媒など特定の目的に利用出来る材料、ナノモーターなど駆動装置が開発され製品化されようとしている。

2010年代にはさらに期待が大きい。前半には、ナノトランジスタなどを規則正しく集め集積回路化する試み、3次元集積回路、新しい多層構造、超小型ロボットなどが予測されている。後半になると、設計された通りに原子や分子を積み重ねデバイスを作成することなどが可能になると予測されている。

どの程度のスピードでナノテクノロジーが進展するかは、今後の研究にかかっている。開発された技術の製品化が研究の進展を促すので、基礎研究、開発研究、生産活動のバランスの取れた進展が必要であろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿