ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナノコーティング

2011-10-23 | 日記

ナノ粒子をペイントやスプレイに混入し、ナノ粒子特有の性質を発揮出来る。また、小型の物体にはナノ粒子を交えた特殊コーティングを施すことも出来る。昨日述べたように、ナノコーティングすなわちナノ粒子を用いたコーティングは、ナノテクノロジーの最も初期に実用化されて来た。

たとえば、酸化アルミニウムや酸化ケイ素という材料は、融点が高く、硬くてしかも化学的に非常に安定な材料である。酸化アルミニウムを例えば鉄の表面に付着させると、表面が硬くなることが期待されるが、真空装置の中で酸化アルミニウム分子を形成する必要があるなどあまり簡単ではない。ナノサイズの酸化アルミニウム粒子を混入したペイントで、化学的に安定なまたショックに強いコーティングを施すことが出来る。船のスクリューなどのコーティングにも用いられているようだ。ドイツのBYK社が製品化している。日本にもその支店がある。

アメリカのPPG社のCeramiClearは自動車用のコーティング材料で、塗料と車体との間に粘着性の強いナノ粒子が用いられているようだ。また、アメリカの3M社のColor Stable Window Filmと呼ばれる製品は、特殊加工したポリエステルのフィルムを用いている。このフィルムにはナノサイズのカーボンが含まれている。このフイルムは赤外線を反射する。通常赤外線反射窓には金属フィルムが使われるが、この場合は電磁波も遮断される。特殊加工したポリエステルの場合は、ナノサイズのカーボンが赤外線を反射するが、その間に絶縁性の強いポリエステルが入っているので電磁伝導性が極めて低い。そのため、電磁波を遮断することがない。

ナノ粒子の特性を生かしたナノコーティングは実に多種多様である。水をはじくものやバクテリアを殺すものなど色々なコーティング材料が開発されている。昨日の表現を用いると、能動的なコーティング材料が開発されつつあるようだ。最近の論文の表題を見ると、クロミウム(ステンレスなどに用いられる耐腐食性の強い金属)に勝る耐腐食性コーティング、カーボンナノチューブを含む加熱可能ペイント(凍結防止)、汚れがつかないコーティング、傷がおのずから修復されるコーティングなど興味深いものが多い。このような研究成果が次々と実用化されるであろう。


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