豊橋技術科学大学の研究グループが、川の水の中から抽出した微生物を使って酸化グラファイトを還元してグラフェンを作成する手法を開発した。低コスト、高効率でかつ環境にやさしい高品質グラフェンの製法として注目されている。
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/03/120321152554.htm
後にノーベル化学賞を受賞したGeimらが、2004年にグラファイトにセロテープを貼り付けて剥がすことによって、初めてグラフェンを作成するのに成功した(8/26参照)。それ以来、単層2次元の炭素分子グラフェンが種々の面白い性質を持っていることが明らかになるにつれて(2/27,3/19,20参照)、その製法も進歩して来た。
グラファイトを溶液中で化学的に剥離する方法、有機物をグラフェンに変化させる方法、触媒を使って基盤上にグラフェンを成長させる方法、CVD(9/14参照)、SiCを還元する方法などが試みられた。しかしながら、これらの手法ではセロテープで剥がして作成したグラフェンに品質的に優るものは得られていない。
これらに変わる方法として出現したのが、グラファイトを酸化させ酸化グラファイトにし、これを還元させる手法である。酸化グラファイトは水に溶ける。これをヒドラジンに還元してグラフェンを作成出来る。この手法で作成したグラフは比較的高品質で、しかも大量生産が可能である。
この手法の欠点はヒドラジン蒸気が極めて高い毒性を持つことである。豊橋技術科学大学の研究グループは、ヒドラジンの代わりに、川の水から採取した微生物を用いて酸化グラファイトを還元出来ることを発見した。
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