ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

生物医学と炭素:研究室から市場へ

2012-01-26 | 報道/ニュース

イギリスのMAST Carbon社が、EUが資金援助しているProNanoプロジェクトと協力して、新しい’biomedical carbons’を市場に送り出そうとしている。MAST Carbon社は、カーボンに関係したR&Dのコンサルティング会社で、多くのノウハウ持ちながら、これまであまり生産活動には携わってこなかった。今回ビジネスコンサルタント会社の協力も得て、差し当たっては傷の治療と血液フィルター用カーボンナノチューブの商品化を目指すという。

これまでカーボンナノチューブの医療への応用については何回か触れて来た。MAST Carbon社が目指しているのは、カーボンナノチューブをフィルターとして用いるものである。カーボンナノチューブを束ねる方法は前世紀末から開発されている。このような束を一定の間隔で配置することも可能で、これらが種々の目的のフィルター用薄膜として用いられている。傷の治療にカーボンナノチューブをどのように利用するのか不明であるが、おそらくフィルターとして用いるのであろう。

このほか、すでに断片的に説明して来たように、カーボンナノチューブは生体用センサーやドラッグデリバリーなど治療にも用いられている。これらについてはいずれまとめて説明しよう。

カーボン以外にも、種々のナノ粒子の医療への応用が進められている。Global Information社によると、ナノ医学はすでに市場として確立していて、2011年には730億ドル、2016年には1300億ドルの市場に成長するという。その範囲は、心臓血管、消炎、抗感染、中央神経系、抗癌に及んでいる。