ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

コンピュータメモリーデバイスに新材料

2012-01-30 | 報道/ニュース

現在用いられているコンピューターなどのメモリデバイスには3種類ある。磁気メモリー(1/14参照)は、強磁性材料に磁場を加えて情報を記憶させる。半導体メモリ(12/22参照)は、CMOSなどのようにトランジスタを組み合わせてメモリに使用するもので、電界を加えることによって作動する。電界で磁気メモリーを動作させるスピントロニックス(1/22参照)やナノサイズメモリーへの挑戦についても説明した。

このほかに、光メモリーがある。CDはその一例であるが、これは高分子材料にアルミニウム薄膜を乗せたものである。焦点を絞ったレーザー光を照射して孔を開け、それによる反射係数の変化を読み取る。最近、DNAを利用した光メモリーの試みが着手されている。台湾とドイツの研究グループは、サケのDNAの上に銀のナノ粒子を乗せたものを2枚の電極ではさんだものが、メモリーデバイスとして使えることを見つけた。光を照射すると銀ナノ粒子が集合する。これによって電極の間に電流が流れやすくなり、光が当たった部分の読み取りが可能となる。この手法は、光メモリーだけではなく銀ナノ粒子を規則的に並べることにも使えそうで、プラズモニックス(11/18参照)への応用も可能であるいう。

最近、理化学研究所の研究グループは、メモリーに使用出来そうな全く新しい材料を見つけだした。以前から強誘電性材料というものはよく知られていた。材料には誘電性がある。すなわち、電界を加えると電子が陽極の方に引き寄せられる。これを分極という。強誘電性材料では、強磁性材料と同じように分極が次々と隣の分子に作用して、材料全体が分極する。電界を除去しても分極がそのまま保たれるものもある。新しく見つけられたのは、強磁性と強誘電性を併せ持つ材料である。この材料は、強磁性を持つマンガンを含む化合物で、その結晶構造がマンガンを立方体の中心付近に位置するものである。マンガンが正確に中心ではなく、中心から少しずれたところに位置するため、電界を加えることによってマンガンの位置が中心からずれた位置をいったり来たりする。これによって、強誘電性と強磁性が同時に発生し、電界を除去しても分極は維持される。

ちなみに、愛知県は、ナノテクノロジなど先端技術の工場を県内に建設する企業に最大100億円を融資すると、本日の朝日新聞が報じていた。