ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナノテクノロジーによる水の純粋化

2012-01-17 | 報道/ニュース

汚染水を殺菌かつ浄化して飲料可能な水を作成することは、開発途上国にとって極めて重要な問題である。この問題については、すでに少し触れたこともある(10/1,12/5参照)。

アメリカのPuralytics社の水純化装置Solarbag-3は、アメリカの環境保護庁(EPA)が課す基準をクリアしたと発表した。太陽光で駆動する装置で、電源も化学薬品も不要で、持ち運び可能であるという。緊急時や開発途上国で重宝されると期待が大きい。99.9999%の細菌、99.99%のウィルス、99.9%の原生動物を除去出来るという。また、殺虫剤、石油、重金属、種々の薬剤も取り除くことが出来る。

Puralytics社がどのような方法を用いているか明らかではないが、光触媒を用いた水の浄化法を説明しておこう。すでに述べたように(10/18参照)、酸化チタンなどの半導体に光を照射して電子と正孔を作ると、その表面に付着した水分子(H2O)はHとOHに分解する。いずれも反応性が強くラジカルと言われている。この反応性を用いて水を浄化する。酸化チタンのナノ粒子を用いることによって、表面積を大きくし反応性を高めることが出来る。(この反応は、水素燃料を得るには効率が不足するが、水の浄化には有効である。)

アメリカの研究者は、分子サイズのナノブラシを開発したと発表している。ブラシのナノサイズの毛はクラゲの足のようなもので、これにコーティングを施すことによって、細菌を死滅させたりまた汚染物を分解することが出来るという。たとえば、銀ナノ粒子は細菌を死滅させ、また白金ナノ粒子は4塩化炭素などを分解する。企業の協力も得て新製品の開発が進められている様である。