ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

スマートウィンドウ

2012-01-11 | 報道/ニュース

スマートウィンドウとは、暑いときには透過する光の量を少なくし、寒いときには出来るだけ多くの光を透過することによって、冷暖房費を節約出来るようにした窓のことである。吸収した光エネルギーで発電出来るものもある。

デンマークの研究者が提案したスマートガラスの原理を説明しよう。窓ガラスに電気伝導性を持たせ、その外側に蛍光性の染料を混入した液晶の溶液を別の電気伝導性を持ったガラス板ではさむ。窓ガラスとガラス板の間に電圧を加えると、液晶がガラス板と垂直になり光が吸収されない。電圧に応じて液晶が向きを変えて、染料が光を吸収して蛍光を出す。ガラス板が導波管の役割を果たし、蛍光の一部が右端の発電パネル(PV)に導く。

                     

これ以外にもいろいろなスマートウィンドウが提案されている。酸化バナジウムは大変面白い性質を持っている。摂氏68度以下では半導体(9/25参照)で、赤外線、可視光を通す。68度以上の温度では金属となり、赤外線を通さないが可視光を通す。冬は半導体に、夏は金属にしておくと極めて都合が良い。しかしながら、現在までのところ実用に供されるような結果が得られていなかった。中国の研究者たちは、ナノサイズの酸化バナジウム粒子とナノポァー(12/20参照)を含むバナジウム粒子の混合物を用いると、スマートウィンドウとして良好な結果が得られると報じている。
                   
赤外線や可視光線を完全に反射する状態から、完全に透過する状態へ簡単に切り替わるような物質があれば大変都合が良い。最近中国の研究者たちは、ガラスの上に特殊な有機化合物をスプレイしたものに化学処理(水和作用)を施すと、その光透過度が91%から0%に変化すると報告している。

商品化されるにはまだまだ時間がかかりそうであるが、いずれは、窓ガラスだけではなく建物全体にこのような措置が施されるようになるであろう。