ナノテクノロジーニュース

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ナノテクノロジーと太陽光発電(続き)

2011-10-04 | 日記
昨日述べたpn接合が太陽光を吸収して発電出来ることを説明する前に、pn接合に電圧を加えることによって光を放出することを説明しよう。すなわちpn接合はLEDである。

昨日の図で、右側がプラスに左側がマイナスになるよう電圧を加える。空乏層の右側はn型半導体であるから、ドナーから熱エネルギーによって励起されてきた(9/25参照)電子が沢山存在する。反対に、左側には正孔が沢山存在する。電圧を加えることによって、空乏層の両側の電圧差が小さくなり、右側の電子が空乏層を経て左側へ、左側の正孔が空乏層を経て右側に移れるようになる。これらの電子と正孔が結合する時に光を発する(9/27参照)。この際発せられる光が禁止帯の幅によって異なる。したがって、異なった色の光を発するには、その色の波長に対応する禁止帯の幅を持つ半導体を用いなければならない。

ずっと以前から、緑より長い波長の光を出す半導体のpn接合は作成されていた。しかしながら、青色の光を出す半導体をp型にすることが出来なかった。この方法を見つけ出したのが、ノーベル物理学賞候補に上っているカリフォルニア大学教授の中村修二氏である。

さて、pn接合を太陽光発電に使うには、LEDの場合と逆方向、すなわち右側がマイナスに左側がプラスになるよう電圧を加える。シリコンに太陽光が当たると、価電子帯の電子が伝導帯に励起される。すなわち電子と正孔が作られる。電子はエネルギーの低い方すなわち右側に集まり、正孔は反対に左側に集まる。右側に集まった電子が外部回路を通って左側へ流れる。すなわち発電が起こることになる。LEDの場合とは逆方向に電圧がかかっているため、空乏層の両端のエネルギー差が大きくなっていることに着目してほしい。これによって電子と正孔の逆流を防いでいる。逆流すると電子と正孔とがシリコン中で結合してしまう。

太陽光発電で最も問題なのは効率である。シリコンの禁止帯の幅は約1電子ボルトである。このエネルギーは赤外線に相当する。太陽光には、可視光や紫外線も多量に含まれている。禁止帯の幅より高いエネルギーをもつ光(9/27参照)によって1対の電子・正孔しか作られない。余分なエネルギーは、結局熱エネルギーになってしまう。この効率を上げるのに、ナノテクノロジーの出番がある。